日本語字幕:手書き風書体、下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG-13指定)
1890年、野生の名馬“ヒダルゴ”を駆るフランク・T・ホプキン(ヴィゴ・モーテンセン)は、スー族を監視する第七騎兵隊に1通の手紙を届けた。しかしそれがきっかけとなってスー族の大虐殺を招いてしまう。数ヶ月後、フランクは生活のためにバァッファロー・ビルの“ワイルド・ウェスト・ショー”に加わり、世界一の名馬“ヒダルゴ”とのパフォーマンスを観客に見せていた。そして、同じショーでは、数ヶ月前のスー族の大虐殺を戦いとして騎兵隊の活躍を描く演目が上演されていた。アルコールにおぼれるフランクの前に、ある日、サウジアラビアで開催される世界最高の名馬を決定するレース“オーシャン・オブ・ファイヤー”への招待が届く。 |
これぞ冒険談。これぞエンターテインメントという映画。しかもそれがフランク・T・ホプキン本人による原作の実話に基づくというのだから驚く。 この馬のレースは1000年の歴史を持つといい、王の血族と純粋なアラビア馬しか参加することが許されないという。コースは南イエメンのアデンから隊商の通らない砂漠のコースを約4,800キロにわたって走破し、イラクのダマスカスへ至るという過酷なものだ。参加者の多くがレース中に命を落とすという。 これは、今でいえば(馬のレースは今も続いているのかも知れないが)、パリ・ダカのラリーみたいなものかもしれない。地図もなく(!)、朝日と共に出発し、ただひたすらチェック・ポイントを目指して日没まで走り続ける(実際には歩いていく感じだったらしい)というレース。途中にはサソリもいれば、巨大な砂嵐も発生し、流砂にはまり、バッタの大発生に遭遇する。それだけではなく、ライバルの妨害まであって、おそろしく困難なレースとなる。 とにかく茶と白のまだら模様のヒダルゴがいい。まるで人間の言葉がわかるかのような演技(演出)は絶品。馬が笑っていたり、あきれ顔をしているかのように思えてくる。だからいつしかヒダルゴに感情移入して、ラスト・シーンには涙が出そうなほど感動する。原題が「ヒダルゴ」なのがよくわかった。 キャストも豪華で、主人公に「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings・2001 米/ニュージーランド)のアラゴルンこと、ヴィゴ・モーテンセン。砂漠の民の長シーク・リヤドに往年の名優、「アラビアのロレンス」(Lawrence of Arabia・1962・英)のオマー・シャリフ。ライバルとなるイギリスのサラブレッドのオーナー、レディ・アンに「タロス・ザ・マミー 呪いの封印」(Taros the Mummy・1998・米)でヒロインの考古学者の孫娘を演じたルイーズ・ロンバード。その夫に、ちょい役ながら「ブルーサンダー」(Blue Thunder・1983・米)の敵役マルコム・マクダウェル。オマー・シャリフの娘につきそう宦官のボディーガードに、たしか「ティアーズ・オブ・ザ・サン」(Tears of the Sun・2003・米)で、軍に追われる要人を演じていたピーター・メンサー。で純血アラブ馬の名馬アル・ハタルを駆る王族の息子に「フューチャー・ゲーム」(Gamer・2001・仏)のサイード・タグマウイ、といった具合。 監督は傑作青春もの「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)やハラハラ恐竜巨編「ジュラシック・パークIII」(Jurassic Park III・2001・米)のジョー・ジョンストン。さすが手堅くまとめてくる。うまい。ただ、主人公がいつもコルトSAAをファニングで撃つのはどうなんだろう。あれって、ほとんど当たらない撃ち方なんだけど。 主人公の付き人になる男が、参加者は皆、旗印を持っているからアンタも持てとスー族のお守りを手作りで旗にしてくれる。不細工な手作りの旗は、ひょっとしたら黒澤明の「七人の侍」(1954・日)からの引用かもしれない、そんな気がした。 公開2日目の初回、新宿の大劇場は50分前で15人。なんと10人が若い女性で、オヤジが5人。やっぱり若い女性はアラゴルン目当てなんだろうか。 35分前に開場して、場内に。最近改装したらしく、新しいシートの臭いがプンプンする。全席にカップホルダーが付いたのは嬉しい。中央に大きなペア専用ラブラブ・シートが2席×2×左右の全8席16人分ドーンとあって、ここ以外は全席自由。中央のやや大きな色違いシートの指定席10席×3列×左右と10席×1列×左右のぴあ席ともに自由。しかし、あのでかいペア・シートの後ろの席はスクリーンが見にくいだろうなあ。指定席でも前の席にちょっと座高の高い人が座ると見えにくくなるのだから。音響効果は間違いなく良いだろうけど。うーむ。 最終的には1,288席の4割ほどの埋まり具合。いまどきは、まあまあの出足なんだろうか。面白いのに……。男女比は4対6といった感じで、まぎわになって中高年が増えた。 |