2004年5月8日(土)「花嫁はギャングスター」

JOPOG MANURA/MY WIFE IS A GANGSTER(原題:組暴の女房)・2001・韓・1時間50分

日本語字幕:手書き書体、下、根本理恵/ビスタ・サイズ(ARRI)/ドルビーデジタル

(韓15指定)

http://www.hanagang.jp/
(音に注意。全国劇場案内は新着情報に)

女だてらにシザー・ナイフとカンフーの達人のウンジン(シン・ウンギョン)が、一人で敵の組員50人を倒し組の危機を救った。それは伝説となると同時に彼女を組長にのし上げた。そんなある日、幼いときに生き別れになった姉(イ・ウンギョン)が見つかったのだが、癌で余命幾ばくもないという。姉は最後の願いとして、自分が生きている内に結婚して子供を産んで欲しいという。ウンジンはさっそく子分たちに命じて、花婿候補を探させるが……。

67点

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 うーん、つまり2001年に作られていながら今やっと日本公開されることの理由がわかった気がする。おそらく、ハリウッドが映画化権を買ったということで、公開されることになったのだろう。たぶんハリウッドは素材として面白くできると読んだのだと思う。と、いうのも……

 この映画の一番の肝は、公務員という堅い職業の夫と、ヤクザの組長という正反対の位置にいる妻とが、どう心を通わせるかだと思う。見合いをことごとく失敗しているもてない35歳男カン・スイルの方が一方的にホレたとしても、どこかに本当に心を引きつけるエピソードがないとラストの行為はいまひとつ納得できない。それがいくらコメディ・アクションだとしても。

 ほかにもそんなところが多く、単に笑わせるため、ここは感動させるためといった、連携性のないエピソードが幹となるメイン・ストーリーにくっついている感じ。ということは、各エピソードをもっとうまく構成し直し、納得できるものにすれば、面白くなるということだ。プロデューサーならそんな部分を感じ取ったのではないか。

 公式サイトのチョ・ジンギュ監督のインタビューを読むと、もともとの脚本はあったくのアマチュアのカン・ヒョジンという人が書いたものを、発想が面白かったのでプロの脚本家のキム・ムンソンが70%くらい書き直したとあった。

 監督はこれがデビュー作らしいが、主役のウンジンを演じたシン・ウンギョン、どこかで見たことがあるなあと考えていたら、そうだ「SSU」(BLUE ・2003・韓)だ。あれで大韓民国海軍海難救助隊の2人の隊員に惚れられ三角関係の元となるカン・スジン少佐を演じていたのがシン・ウンギョンだ。日本では「SSU」の方が先に公開されてしまっているが、本作の後だったこともあって、もう少し女っぽい役をやりたかったのかもしれない。

 ひょっとして、ウンジンの子ども時代を演じていたのは、チョナン・カンの「ホテルビーナス」(The Hotel Venus・2004・)のサイを演じたコ・ドヒでは……公式サイトで確認したところ、オッ、あるではないか。やっばり。それとラストの敵を演じていたのは、「リベラ・メ」(Libera Me・2000・韓)や「ソウル」(Seoul・2002・日/韓)のチェ・ミンスではないだろうか。だとすると、友情出演とか特別出演なのだろう。振り返ってからほんの1〜2秒の出演。それでもやっぱり表情とか演技は、全出演者の中で一番うまかったような気がする。

 ただ、コメディのレベルもドタバタに近く、狙いなのか、出てくる方々もヤクザ役ながら皆さん育ちの良い感じで、あまり怖さがないしリアリティもない。この辺を丁寧に作り直せばスゴイ映画に化けそうだ。

 いいのは、ウンジンが凶器として使うハサミのデザイン(痛そう)と、姉役のイ・ウンギョンとウンジンに化粧を教えるホステスを演じていた2人の美しい女優さん。また見てみたい。

 公開初日の初回、新宿の劇場に行ったら初回のみ日本語吹き替え版での上映だという。え、こんなに暴力満載のヤクザ映画が日本語吹き替えで上映? 納得できなかったが一端家に帰って出直すことにした。

 2回目、昼寝をしてしまって遅れたので、着いたのは次回上映の25分前。すでにロビーに行列ができていて、30人くらいが並んでいた。半分は18〜30歳くらい、半分は40〜60歳というところか。女性は5人。

 20分前に入れ替えとなり、最終的に下はハイ・ティーンくらいから上は白髪の老人まで、まんべんなく幅広い客層となった。男女比も4対6で女性の方が多くなった。これは韓国TV「冬のソナタ」のヨンさま効果だろうか。

 初日プレゼントで、カップ麺の“辛ラーメン”をもらった。限定200個という話だったが、良かった。吹き替え版の初回はお客さんがそんなに多くなかったらしい。単純に嬉しい。日本の韓国風ラーメンより、やっぱり本場の“辛ラーメン”の方が辛さに深みというかうまみがある。単純に嬉しい。


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