2004年5月30日(日)「ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン」

THE RUNDOWN・2003・米・1時間44分

日本語字幕:丸ゴシック体、下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米PG-13指定)

http://www.uipjapan.com/rundown/index.htm


ベック(ザ・ロック)はギャングのボスに借りがあり、仕方なく取り立て屋をやっていた。絶対に銃を使わず、紳士的に振る舞うことで、つとめて一般人でいようとしていた。彼は自分のレストランを持つことが夢だった。この仕事に嫌気がさしたベックは、最後ということで失踪したベスの息子トラビス(ショーン・ウィリアム・スコット)を連れ戻す仕事を引き受けるが……。

73点

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 うーん、何なんだろう。おもしろい。B級映画の王道。それほどお金もかかっていないし、ザ・ロックとクリストフゥー・ウォーケン以外スターも出ていないし、内容はそれこそ今までイヤと言うほど作られてきた定番そのままなのに。

 一つには「バレット・モンク」(2003)に見る軽薄なカンフーおたくの存在。ショーン・ウィリアム・スコットなど、ほとんど同じ役で両方に出ている。超人的な男(チョー・ユンファ=ザ・ロック)に連れ回される、ちょっとだけカンフーをかじったコテコテのドジ・バカ男。

 一つには今やB級映画の代名詞となったマイケル・パレの主演作のパターン。たしか南米あたりから男を連れ戻す話があって、同じようにジャングルの山道をジープで走っていて、車から落とされていたような記憶が……。タイトルが思い出せない。

 普通はそれらを使った時点で失敗するのだが、本作ではうまくいっている。パターンばかりの展開なのに、なぜか楽しめる。これはなぜなのか。

 たぶん、主演のザ・ロックの魅力と、ピーターズ・バーグ監督の演出のたまものだろう。同じ話でも小さなエピソードの1つ1つがいいから、全体としては似たものができあがっても印象が違う。ストーリーはありあれていても、脚本が良かったのかも。と思ってスタッフを見れば、傑作「閉ざされた森」(The Basic・2003・米)の脚本家、ジェームズ・バンダービルトも参加していた。

 主人公のキャラもいい。これがたぶんザ・ロックの人柄なのだろう。最終的には暴力で解決を付けるのだが、まじめで、常に争いごとを避けようとする。オレがオレがという押しの強いいやらしさがない。それで、「ハムナプトラ2」(2001)でちょっと出ただけなのに観客に好印象を与えたのだろう。

 もちろんクリストファー・ウォーケンは文句なくいい。何か爬虫類的なヌメヌメとした嫌らしさと冷血さが良く出ている。アクションものは悪役がうまくて、憎らしいほど面白くなる。

 監督のピーターズ・バーグは、むしろTVの「シカゴ・ホープ」や「コップランド」の役者としてしられている人。1964年生まれというから今年40歳。監督としてはまだまだ若い。これから注目かもしれない。低予算でこの映画が作れるならOKだろう。

 銃としてはウォーケンの部下がバギーとジープに据え付けられたM60マシンガン、MG74マシンガン(たぶん)などで、ゲリラがAK47か74を筆頭に、第二次大戦当時のPPSh-41サブ・マシンガンなど雑多な銃を装備している。ザ・ロックが使うショットガンはレミントンのM870あたりか

 とにかく都内は酷い劇場でしかやっておらず、配給会社の期待度が低いことがよくわかる。しかし映画の出来は決して悪くない。しっかり楽しめる。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は45分前に着いたらオヤジが1人。35分前に開場して、このとき5人。うち4人は初老に近いオヤジ。女性0。あれれ、いいのかこれで。宣伝不足だろうか。前作の「スコーピオン・キング」(2002)だって面白かったのに。大作にばかり広告予算がいってしまうと、そういうことか。

 最終的には指定席なしの272席に25人ほど。ちょっと寂しいんでないかい。でも、この劇場ではなあ。天井に余裕があるんだから後ろを2mくらい高くして床に傾斜を付け、座席を千鳥は位置すればそこそこスクリーンも見やすくなるだろうに。惜しいというか、もったいない。ただ、この劇場で込むと現状ではスクリーンがよく見えなくなるので困るのだが。

 20代は3〜4人。オバサン2人。あとは中高年。しかし、上映が始まってから入ってきた奴ら、何なんだ。ストーリーもわからないだろうに、5人くらいいた。


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