日本語字幕:手書き書体、下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビー・dts
(米PG-13指定)
南極でラルセンB棚を調査中の気象学者のジャック(デニス・クエイド)は、氷河が割れるという現象を目撃する。国際会議で異常気象が地球規模で発生する可能性を訴えるが、各国が経済的に深刻な打撃を受けるとアメリカの副大統領から公表を抑えられる。しかし4カ月後、世界各地で複数の竜巻同時発生や巨大雹などが発生する。ニューヨークは高潮に襲われ、たまたまニューヨークを訪れていたジャックの息子サム(ジェイク・ギレンホール)はクラスメート共に公立図書館に閉じこめられてしまう。さらに異常気象は進み、同時発生したハリケーンが合体し、超巨大ハリケーンとなって極低温の寒気団をニューヨークへ運んでいこうとしていた。 |
パニック映画の王道の作り。大災害をリアルに、ダイナミックに、臨場感たっぷりに描いている。そして、これまた王道の、脱出劇。いかに危機を逃れサバイバルするのか。見所たっぷりの2時間4分。 それは古くは「タワーリング・インフェルノ」(1974)、「大地震」(1974)で描かれたもので、近くでは「ダンテズ・ピーク」(1997)や「フラッド」(1998)、「ツイスター」(1996)などで描かれたもの。小さな異変を積み上げて、徐々に大災害へ持って行く手法はこれらのディザスター・ムービーに匹敵するか、あるいはそれ以上で、素晴らしいとしか言いようがない。これだけでお金を払って見る価値がある。もちろん、できるだけ大きな劇場で。 しかし、なぜかわからないが、世界規模の大災害なのに、最終的にはとても小さい話に収斂してしまう印象がある。もちろん群像として描くと「ディープ・インパクト」(1998)のように散漫になってしまいがちだし、まとめるのは非常に難しい。ただ、「ダンテ……」も最後は1つのファミリーの脱出劇になるのに、テンションが下がらないのと対照的だ。本作もファミリー脱出劇になるのに。どこが違うんだろう、どんどんテンションが落ちてしまう。惜しいなあ。 とにかく異常気象の表現が素晴らしい。たぶん今まで作られたどの映画よりもリアルで説得力があったのではないだろうか。映画はついにここまで来たか。大寒気団がやって来て、ビルなどが上から徐々に凍っていく感じは、下に人がいるだけに恐ろしく、はらはらドキドキさせられた。はためいている星条旗がそのまま凍るさまも驚異だった。 それでもあえて難をいえば、ガラスのヒビは「ロスト・ワールド/ジョラシック・パーク」(1997)だし、高潮というか津波が襲うのは「ディープ・インパクト」だし、でかい嵐は「パーフェクト・ストーム」(2000)だし、竜巻は「ツイスター」(1996)だし……と、元ネタのようなものを探せないこともない。つまりオリジナリティをあまり感じないというか……すでにほとんどの天変地異は描かれ尽くしているというか……。 前半は素晴らしい。ただ後半でしぼんでいく感じ。感動はある。最後まで人々を救おうとする消防(救急)隊員、子どもとの約束を死んでも守ろうとする父……。でも、何か物足りないのだ。 監督はハリウッド版「GODZILLA」(1998)のローランド・エメリッヒ。でもボクとしてはアメリカ独立戦争を描いたメル・ギブソン主演の傑作「パトリオット」(2000)が一番いいと思うけれど。一般的には「インディペンデンス・デイ」(1996)の監督として知られているかもしれない。いずれにしても、いわゆる大作を手がけることが多い監督。さすがにまとめか違うまい。 公開初日の初回、新宿の70mm劇場は60分前で前売り券の列に10人、当日券の列に10人といったところ。前売りは7割が20代くらいで、男女比は半々。一方、当日はなぜか7割が中高年。しかも女性はたった2人。宣伝量から考えると少ないなあと思っていたら、2〜3分でどちらの列も倍以上になった。 つゆ直前の暑い日で、その配慮からか50分前には開場。これは嬉しい。時間があったので、ついついコーヒーを買ってしまったら(だから早く開けた方が良いと思う)、これがなんとオーダーを受けてからいれてくれる本格レギュラー・コーヒー。マジでうまかった。 初回のみ全席自由で、12席×5列の指定席もOK。45分前で100人くらいの入り。男女比はほぼ半々で、老若比は4対6で若い人の方がやや多かった。30分前で1,044席の4割ほどが埋まった。 近くに座ったファミリーの話を聞くともナシに聞いていたら、お父さんとお母さんは20年ぶりくらいに劇場へ来たという。この映画なかなか吸引力があるらしい。 最終的にほぼ満席はさすが。客層も下は小学生から上は白髪の老人までかなり幅広い。やっぱりお金をかけたバニック映画は昔から人気があるということだろう。 タイトルの氷河が浮かぶ海面に浮いているように現れるキャストやスタッフの名前は、なかなか素晴らしいデザイン。エンド・クレジットを注意していたら、ピクチャー・ミルとあった。なるほど納得。ここは最近、イマジナリー・フォースと並んでいい仕事をしている。今後要チェック。 |