2004年6月12日(土)「ザ・ボディガード」

AVENGING ANGELO・2002・米・1時間38分(アメリカ版は1時間36分)

日本語字幕:手書き書体、下、神代知子/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米R指定)

公式サイトなし


年老いたマフィアのボス、アンジェロ(アンソニー・クイン)のボディガードを幼い頃から務めているフランキー(シルベスター・スタローン)は、ある日ちょっと目を離したスキに敵対するマフィアの殺し屋にボスを殺されて、自分自身も負傷してしまう。アンジェロはボスの遺言に従い、身元を隠して普通の家庭の子として育てられていた一人娘、ジェニファー(マデリン・ストー)の身を守るため彼女のもとに向かう。

71点

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 名優アンソニー・クインの遺作。でも2年も前の作品が今なぜ。DVDが発売されるということか。見たら、その理由がわかったような気はしたが。

 一言で言ってしまえば、アクションを入れた軽いラブ・コメディ。笑えるかどうかは微妙だが、ボクはそこそこ笑えた。しかし、これが笑えないとなるとアクションはメインではないので見所がなくなってしまう。かろうじてマデリン・ストーが、歳を取ってしまったものの美しいのと、動くアンソニー・クインが見られる最後の作品だということだろうか。

 最近スタローンは面白い作品に恵まれず、すっかりB級スターのイメージが板に付いてきた。話題になった作品といえば1996年の海底トンネル脱出劇「デイライト」が最後だったのではないだろうか。みな似たような役で、口数の少ない男のハードボイルド。

 それが久々にコメディに挑んだと。スタローンのコメディといえば、過去に「刑事ジョー/ママにお手上げ」(1992)があるが、IMDbで3.2点などというまれに見る低得点(ラジー賞まで獲得)。それでも、いつものしかめっ面でけだるくしゃべるのよりはいいかもという思いも。

 まあ、見に行ったのはマデリン・ストーが出ていたからだが、その彼女にしてもたぶん初めて。まあ、世に出るきっかけとなった「張り込み」(1987)がコメディだが、彼女自身はコミカルな役ではなかったはず。本作では、ついにコメディエンヌぶりも発揮している。ちょっと無理している感じがしないでもないが、なかなかいいのではないだろうか。

 アンソニー・クインは、この映画の時点で、すでに声はかすれ、映画の中でもあまり動いていない。なんだか、晩年は似たような役が多かったような気もするが、マフィアのボスという貫禄は確かにある。

 監督はTVの脚本をやってきた人で、なんと1987年になかなか緊迫したドラマが展開するピーター・オトゥール主演のカナダ・イギリス合作映画「パワープレイ」を監督している。IMDbでは4.9点とあまり良い評価ではないが、ボクは好きな作品で、あれが撮れる人だから本作をどうにかここまでまとめたのではないだろうか。

 はっきり言って脚本は良くない。穴だらけ。ツッコミどころが多すぎる。家の中で銃を撃っても警察は飛んでこないし、実弾の入ったベレッタで牡蛎を割って暴発させるし……。ドタバタ・コメディなら許せても、この程度のライト・コメディだともう少しリアルでないとノレない。

 ただ、冒頭で殺し屋が使うのがアタッシュケースにサイレンサーとともに納められたVP70という珍しい銃だったり、荒れ狂うマデリン・ストーがステンレスのガバメントを撃つのだが、撃たないときはちゃんとトリガー・フィンガーをトリガー・ガードの外に出していたり、良いところもある。場内はシーンとしていたが、ボクはそこそこ笑えたし。

 公開初日の2回目、75分前に着いたら誰もロビーにいなかった。40分前くらいからポツリ、ポツリと人が来だし、30分前から増え始めた。20分前に列を作らされて、10分前に入れ替えとなった。この時点で30人ほど。ほとんどは中高年で、男女比は6対4で男の方がやや多い。

 ただ、ほとんど宣伝されていない(公式サイトさえない)にも関わらず、予想したよりは人が多い。みんなどこで見てきたんだろうか。最終的には指定席なしの209席の3.5〜4割ほどが埋まった。

 新宿の劇場はイスもトイレも良くなったようだが、トイレの入り口にちょっとした段が出来て、何人か(ボクも)つまずいた。


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