日本語字幕:丸ゴシック体、下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(IMDbでは1.85)/ドルビーデジタル
(米PG-13指定)
密輸組織“スネークヘッド”のボス(ジュリアン・サンズ)は、不死を得ることが出来るというメダルと少年(アレックス・パオ)のことを記した書物をついに発見した。その少年が香港にいることを突き止めたボスはすぐに香港に向かうが、香港警察のエディ・ヤン刑事(ジャッキー・チェン)はインターポールのワトソン捜査官(リー・エヴァンス)と協力して、密輸組織“スネークヘッド”を追っていた。そして少年がいる寺院に急襲チームを送り込むことにするが……。 |
ジャッキー・チェン生誕50周年記念、ジャッキー・チェン映画日本公開50本記念、というダブル・タイトルの映画。特にスゴイわけではないけれど、しっかり楽しめてジャッキーの魅力も炸裂。アクションもさえ渡り、決して期待を裏切らない。また、そこそこ笑えて、なにより日本では「ジョー・ブラックをよろしく」(Meet Joe Black・1998・米)以来、久々の美女&いい役のクレア・フォラーニがいい。 ストーリー的には「バレット・モンク」(Bulletproof Monk・2003・米)とたいして変わらない。エディ・マーフィーの「ゴールデン・チャイルド」(The Golden Child・1986・米)と自身作「タキシード」(The Tuxedo・2002・米)を足して2で割ったような感じ、とも言えるかもしれない。いずれにしても、ストーリーはあまり問題ではない。 アメリカとの合作なので絵作りがハリウッドっぽい。コントラストがハッキリしていて、色のノリも良い。撮影は香港の人でアーサー・ウォン。金城武が主演した馳星周原作の「不夜城」(1998・日)や、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが出たツイ・ハークの香港映画「ノック・オフ」(Knock Off・1998・香)、香港・台湾・アメリカ合作のレオン・カーフェイのホラー「ダブル・ビジョン」(Double Vision・2002)など、話題作をたくさん撮っている。もちろんジャッキー作品も多い。本当にうまい人なのだと思う。 監督はゴードン・チャンという人。ジャッキー・チェンが加山雄三を迎えて作った「デッドヒート」(Thunderbolt・1995・香)を撮った人だ(脚本も)。その後日本ではずっと劇場未公開となっていたが、数年前、沖縄を舞台にした「恋戦。OKINAWA Rendez-vous」(OKINAWA: RENDEZ-VOUS・2000・香)がちょっと話題になったが、たしかマイクロ・シアターでの限定公開だったような……。結構、日本が好きな監督なのではないだろうか。自分が脚本も書いたものに日本と関係したものが多い。 本作は残念ながら、ゴードン・チャンも脚本に関わってはいるが、メインは原案のアルフレッド・チョンという人。彼は俳優もやっていて、ジャッキー・チェンの「アクシデンタル・スパイ」(The Accidental Spy・2001・香)に出ていたらしい。どの人か分からないけど。本作でも中国人の教授役で出ているのだとか。あれれ。でも、あの傑作、岡村隆史が主演した「無問題(モウマンタイ)」(無問題・1999・香日)の監督・脚本を担当した人。なるほどなあ。「ストーリーはあまり問題ではない」と思わせる何かを持っているのだろう。 アクション監督はサモ・ハン・キンポー。デブゴンだ(失礼!)。ちょっと前にアメリカのアクションTVドラマ「LA大捜査線/マーシャル・ロー」(Martial Law・1998〜2000・米)に出ていたっけ。日本ではあまり放送されなかったようだけど。もっと見たかったなあ。 銃はインターポールがグロック・ピストルとレーザー・サイトの付いたMP5(たぶんA3)サブマシンガンを装備しており、“スネークヘッド”の1人はシルバーの(ステンレス?)ベレッタM92。ジャッキーが素早い動きで銃から弾を抜いてみせる。そして、銃を奪ってもジャッキーは人を撃たないし、誰も殺さない。ただ、実銃を西部劇みたいにくるくる回すのだけはやめて欲しかった。暴発するって。 フォラーニはどうやらS&Wのオート。チラッとしか写らないのでよく分からなかったが、たぶん9mmだろう。ただ持ち方はとてもヘタ。銃を撃ったことがないに違いない。監督とかだれかがちゃんとアドバイスしてあげればいいのに。これじゃ捜査官に見えない。本当のインターポールは書類を扱うのがメインらしいが……。他に定番のウージーやM4カービンも使われていた。 例によって、エンディングはジャッキー映画お約束のNG集。すぐに席を立たないように。それにしても、クレア・フォラーニって明るい人のよう。まあ「タキシード」のNG集でも共演のジェニファー・ラブ・ヒューイットもそうだったから、ジャッキーがそうさせているのか。 とにかく、雰囲気がとても良く、殴るシーンでは本気でジャッキーを殴ってあやまったり、結構笑わせてくれる。そして、死体安置所で死んだと思われたジャッキーの額にフォラーニがキスするシーンでは、動かないはずのジャッキーが唇を突き出してフォラーニを待っていてね直前で気付いたフォラーニが吹き出すという場面も。このとき、フォラーニはジャッキーの口に軽くキスしてあげるんですな。大女優の余裕か。それがとても自然でかわいく、とってもGOOD。ますますファンになってしまった。 公開初日の初回、新宿はワーストの部類に入る劇場での公開。悲しい。ここでは混まないだろう……ところが、初日、日本オリジナルの限定ポスター(ジャッキーの日本公開作品全50本のポスター掲載)プレゼントがあるということからか、45分前に着いたらすでにかなりの長蛇。この劇場でこんなに列ができていたのは初めて見た。たぶん50人くらい。せめて初日くらい大きな劇場でやってくれればいいのに。人が来るのは分かりそうなものだが……。しかもピンあま。とほほ。 8割は20代の男性で、残り2割は同年代の女性。オヤジは数えるほど。やがてもっと若い観客も来て、下は中学生くらいから。この劇場は銀座のマリオンと同様に待ち列を階段に作らせるのだが、足の悪い人や高齢者にはこれだけ長い列ができていると辛い。数人が諦めて上で待っていた。 暑い日だったせいか35分前に開場したが、初日プレゼントがあるアナウンスがない。待っている客にそれを知らせるくらいの義務はあると思うが。渡し方も下手で、入り口が混乱し、入場にかなり時間がかかった。 この時点で指定席なし(どの席からもスクリーンが見にくいので当然)の272席の6割ほどがうまった。ここは混むとよりスクリーンが見にくくなるので、こんな人気作を掛けてはいけないのだ。子どもはもっと辛いだろう。しかもシネスコ。前席の人の頭でスクリーンの何割かは見えない。下に出る字幕を読むのも大変だ。 15分前で9割の入り。この劇場でこんなに混むなんて……。最終的にはほぼ満席。オジオバも増えたが、大半は20代の若い男性だった。 |