2004年6月20日(日)「テッセラクト」

THE TESSERACT・2003・日/タイ/英・1時間36分

日本語字幕:手書き書体、下/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタルEX

(米R指定)

http://www.tesseract-jp.com/
(音に注意。全国劇場案内もあり)

タイ、バンコクの薄汚れた安ホテルでイギリス青年ショーン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、運び屋の仕事でブツが届けられるのを待っていた。同じ頃、女殺し屋(レナ・クリステンセン)が腹に銃弾を受けて下の階に潜んでいた。さらに、息子を亡くした心理学者のローザ(サスキア・リーブス)が子どもの夢の調査のため同じホテルにチェック・インしてくる。そしてローザはホテルで働く少年ウィット(アレクサンダー・レンデル)にインタビューを開始する。

74点

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 「レイン」(Bangkok Dangerous・2000・タイ)の監督らしいハードなアクション。「レイン」のCG雨粒のように、銃弾が降り注ぐ。その痛そうな感じ、凶暴さはさすがオキサイド・パン監督。ちょっと「マトリックス」(The Matrix・1999・米)も入っているかも。全体の雰囲気は同じ原作者による「ザ・ビーチ」(The Beach・2000・米)に近い。

 タイトルの“テッセラクト”とは「四次元立体」のことだそうで、ここで実際に動かして見ることができる。

 公式サイトによれば、「一次元は二次元の展開図である。二次元は三次元の展開図である。ならば三次元は四次元の展開図となる」だという。この四次元の4つめの軸が時間だとすると、確かにこの映画は時間軸がバラバラ。「メメント」(Memento・2000・米)や「アレックス」(Irreversible・2002・仏)的作り方。視点を変えて、もう一度おなじシーンが描かれるので、次第に起こっていたことが明らかになってくる。さすがはオキサイド・パン監督、なかなか面白い。失敗すると陳腐なものになってしまうが、見事に成功している。

 四次元ということで意識したのか、ここぞというところで時間の流れ方が自在に変わる。早くなったり、ゆっくりになったり。これがまたオキサイド・パンらしく良い雰囲気を出している。AVID編集のたまものか。

 そして、多用される神の視点、俯瞰ショット。これも四次元を象徴しているのかもしれない。確かに展開図的ではある。

 舞台の芝居のような構成で、あるボロ・ホテルに次から次へといろんな客がやってくる。いろんな客が泊まっている。彼らは微妙にずれた時間で関わっていて、とんでもないラストへつながっていく。大人の世界に踏み込んでしまった少年。犯罪の世界へ踏み込んでしまった青年。異世界(異次元)に踏み込んでしまった異邦人。たくさんの命が失われることになる。

 イギリス青年はメダリオンの付いた木製グリップを付けたベレッタM92を持っている。なんだか「リーサル・ウェポン」(Lethal Weapon・1987・米)の「1」の銃のようだが、まさか同じブロップ・ガンとか……。「007」のハル・ベリーのようにピンで映画ができそうなほど魅力的なブーツを履いた女殺し屋は、ノーマルのベレッタM92だったような。ちゃんとプロらしくトリガー・フィンガーを撃たないときはピンと伸ばしている。組織の手下たちは、ウージー・サブマシンガンだ。

 弾着がうまい。人体弾着でも煙が出ずに血糊だけが飛ぶ。その血糊がまた黒くて怖い。

 公開2日目の初回、渋谷の劇場は改装があるとかで、書かれた案内がわかりにくく、どこに並んだらいいのかわからない。もう少しうまく説明できないものなんだろうか。

 55分前に6Fの劇場チケット売場前に着いたらオヤジがひとり。初日プレゼントがあったらしいから、見たい人は初日に来たのかも。ほとんど宣伝もしてないし。

 35分前、案内があってチケット売場から入り口へ移動。30分前の時点で7〜8人。オヤジ2人で、あとは20代。うち女性は2人。25分前になったら急に増えて20人くらいになって、ようやく開場。自販機1台しかないのが寂しい。

 最終的には、指定席なしのカップホルダー付きゆったりシート221席の2〜2.5割ほどしか埋まらなかった。渋谷という場所柄か9割は20代という感じで、男女比は7対3で男性の方が多かった。

 途中、スクリーン下にマスクが見えるシーンがあったが、これは上映の際のマスク・ミス?2.35ではなく2.2にしてしまったとか……。うーむ。


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