日本語字幕:手書き書体、下、戸田奈津子(監修:松田祐介)/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG指定)
ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)が新学期のためホグワーツ魔法学校に帰ったのと同じ頃、アズカバンの刑務所から凶悪な殺人犯のシリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)が脱獄した。ハリーの両親をヴォルデモート卿に引き渡したのがシリウスで、ヴォルデモートの敵を討つためにハリーを殺すために脱獄したというもっぱらの噂だった。そしてシリウスを捕らえるため、ディメンター(吸魂鬼)がホグーツに表れる。 |
原作を読んでいないおかげか、いままで作られた3作の「ハリポタ」シリーズの中で一番面白かった。もちろん3本の中で寝た時間も一番短かったし(なんだもやっぱりまた寝たのかいって……今回はごく僅かです)。 監督が替わって、ちょっとダークな感じに変わったけれど、映画としては本作が一番良くできていると思う。驚くばかりの魔法の世界、まね妖怪ボガート、バックビーク、夜の騎士のバス、怪物本、占い……などなど。映画を見ている間、異次元というか異世界での冒険談にどっぷりと浸ることができる。これは大人でも、子どもでも、たぶん関係なし。日頃の嫌なこと、悩みなど忘れて、しばしファンタジーを堪能したい。 その監督はアルフォンソ・キュアロというメキシコ生まれの監督。主な作品に「リトル・ブリンセス」(A Little Princess・1995・米)、「大いなる遺産」(Great Expectation・1998・米)、「天国の口、終りの楽園」(Y Tu Mama Tambien・2001・メキシコ)などを撮ってきた人。残念ながらボクはどれも見ていない。しかし本作を見る限りとても繊細かつ大胆で、うまい監督なのではないだろうか。これだけの大きな作品の指揮を執って、まとめあげるのはそう簡単なことではない。今後に期待できる監督だと思う。 SFXは相変わらず素晴らしく、いまさら言うこともないが、これらはそれだけでも見る価値がある。それも大きなスクリーンであるほど良い。 残念なのは、主要キャストの3人がどんどん成長していることで、観客のイメージにある成長速度を超してしまっていることだ。思った以上に背が伸び、大人っぽくなっているので、だんだんファンタジーというかおとぎの世界が似合わなくなっている。そろそろ反抗期で、夢だの冒険だのと言う前にファッションだ、異性だ、勉強だと、社会と関わりだして現実的なことを口にする年齢。妖精だ、魔法だという言葉がしっくりこない。プロデューサーたちは変える気がないようだが……。どうなんだろう。 公開2日目の初回、新宿はたくさんの劇場で時間をずらして、しかも吹き替え版と字幕版を分けて上映しているので、多少とも混雑は緩和されているらしいが、それでも90分前で5人並んでいた。しかも数分ごとに人が増えていく。 最初は男女比は2対8で圧倒的に女性が多かった。それもほとんどがハイティーン〜20代前半。暑い日で少し早く45分前に開場してくれた時点で、400席の3〜3.5割が埋まってしまった。30分前には7〜7.5割が埋まり、最終的にはほぼ満席。さすが「ハリポタ」。 最終的な男女比は4対6でやはり女性の方が多かった。老若比は予想どおり2対8くらいで圧倒的に20代以下が多い。それで、白髪のオヤジはしっかり見に来ていたけど。下は小学生くらいからいたが、吹き替え版でなくて大丈夫か。ま、早く慣れておくに越したことはないと思うけど。 カーテンのある劇場で、さすがにスーッと開いていったときにはドキドキした。やっぱり劇場はこうでなくっちゃ。最初から開いていて、いきなりパッと映ってもなあ。もったいを付けてくれないと。テレビだって、昔はどの家庭も「緞帳(どんちょう)」を垂らしていたものだ。古すぎて分からないか。いや、失敬、失敬。 |