日本語字幕:手書き書体、下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panvision[IMDbではSuper 35(マスク)])/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG-13指定)
ピーター・パーカー(トビー・マグワイア)はまた遅刻し、ピザ屋の配達の仕事をクビになる。さらに、デイリー・ビューグル紙のカメラマンも、最近スパイダーマンの写真を撮らないということでクビになりそうだった。アパートの家賃は滞納し、大学の授業も遅刻が多く、リポートも大幅に遅れていた。すべては犯罪や事件・事故から一般市民を守るため密かにヒーローとして活躍していたからだった。やがて思いを寄せる幼なじみのメアリー・ジェーン(キルスハティン・ダンスト)は、新しい彼氏ができたとピーターに告白する。しかし、いつも敵につけ狙われるスパーダーマンとしては、彼女に愛を打ち明けることはできなかった。そんなある日、オクタビウス博士(アルフレッド・モリーナ)が核融合の実験中にロボット・アームに支配され暴走を始める。 |
感動した。もっとスーパー・ヒーロー活劇だと思っていたら。普通の生活が送れずに悩む若きヒーローがテーマだった。特に前半はイライラするほどヒーローでない時の情けない主人公の姿が描かれる。そして体は健康なのに、精神的な問題からクモの糸が出なくなってしまう。まさかの展開。実生活とのギャップに苦しむヒーローが描かれようとは。だから、ヒーロー・シーンが超人的でSFX満載であればあるほど、実生活はリアルに描かれている。 あの優しい育ての親の叔母さんも家賃滞納で立ち退きを迫られているような状態。それなのに、誕生日になけなしの20ドルをくれるが(ボクにも似たような経験があるが、泣かせるのだ)、それさえも大家からひったくられてしまう有様。こんな情けなく、生活感たっぷりのヒーローなんて未だかつて描かれたことがないと思う。 ピーターは悩んだあげく、スパイダーマンを辞める決心をする。この辺の葛藤が素晴らしく、ただ観客にもファンタジーの世界から現実世界へ引き戻されるような感じがあって、大賛成というわけにはいかないのだが。 特に感動的なのは、怪人と化したオクタビウス博士が暴走させたニューヨークの高架線を走る電車を止めるシーン。火が点きそうになってマスクを脱ぎ、乗客らに顔を見られ、傷つきながらもどうにか電車を止める。この時の乗客達の行動が泣かせるのだ。(映画が終わって帰り際、大学生くらいの男性二人が「あれ絶対子ども達はしゃべるよな、しゃべらないって言っておいて」と言っていたが、ボクもそう思う) そして、恋の行方。ピーターの悩みの一つがこれであり、比重も高い。愛するがゆえに、愛を伝えることができない。悪の手が必ずスパイダーマンの大切な人へと向かうからだ。この辺も観客は事情がわかるだけにもどかしい。 本作でついにほとんどの人にスパイダーマンの正体がわかってしまう。そしてラスト、新たな敵の出現の予感が……。 合成は驚異的だ。スパイダーマンはコスチュームを付けているのでいかにもCGっぽいが、生身の体にロボット・アームがへばりついたドクター・オクは、やっぱりCGなんだろうけれど、本当に壁に張り付くようにして撮影したように見える。本当にスゴイ。これは大画面で見るのにふさわしい。摩天楼をバックに戦う怪人とスパイダーマンは、比率でいうととても小さいからだ。 タイトルはアクリル絵の具で描いたようなイラストで構成されており、それも前作の場面から取られているので、なんとなく前作の復習ができてしまう。で、なぜかメアリー・ジェーンのみモノクロ写真を使ったカットがある。そしてタイトルの最後にはそのメアリー・ジェーンのカラー・イラストが徐々に写真になって、それがビルボード(大看板)になると、それをピーターが見上げているという導入。なんとカッコいいと思っていたら、カイル・クーパー(「セブン」(se7en・1995・米)のタイトル・デザインは特に有名)のデザインだった。 ただ、結構、強引な展開で、核融合が起こり異常磁気でまわりの金属(路上の自動車、鉄骨の柱など)を強烈に引き寄せるのに、すぐ近くにいる長い金属の手を6本も付けたオクタビウス博士は倒れていても微動だにしないのだ。オール・ステンレスだとしても、配線やモーターなども入っているはずで引きつけられないはずがないと思うんだけど。 これが気になるのは、日常のあるスーパー・ヒーローを描き、しかもそれをリアルな日常として描いているからだ。日常のないスーパー・ヒーローならしようがないとなるんだけど……。 公開初日の初回、新宿の劇場は85分前に着いたにもかかわらず、すでに25人ほどの列。まもなく劇場の人が出てきて当日券と前売り券の列を分けて、前売り16〜17人、当日券の列には8人ほどとなった。年齢的には15歳から25歳くらいの若い人がほとんど。若い女性も2人いた。 劇場の人は10分おきくらいに出てきて列の整理をしていたが、なかなか結構。後から来てもわかりやすい。 かなり暑い日で、60分前には早々と開場してくれた。嬉しい、扇子まで出して扇いでいたが、とても足りない暑さ。早く開かないと倒れる人が出るのではないかと思ったほど。良かった、良かった。しかも、早く開いたため、ついついコーヒーを、経費節減の折、飲むまいと思っていたのに香りに惹かれて飲んでしまった。このへん商売がうまい。コーヒーは香りだからなぁ……。 開場時点で60人ほどの人。全席自由で、12席×5列の白いカバーの席も自由。初日プレゼントがあって、輸入版の「スパイダーマンNo.54」コミック・ブック(日本の感覚ではカタログのようなブックレット)をもらった。これはお得。2度嬉しい。 続々と人が増え、次第に中学生らしき子も増えてきた。全体の1割くらいはいるだろうか。15分前で1,044席の8割が埋まった。女性は3.5〜4割ほど。中高年は2割くらいか。最終的には9.5割ほどの入り。ほぽ満席といっても良いか。さすがの人気。でも、これは劇場で見る価値があるでしょ。 |