2004年7月31日(土)「箪笥」

薔花、紅蓮(Janghwa, Hongryeon)・2003・韓・1時間55分

日本語字幕:手書き書体、下、根本理恵/ビスタ・サイズ(Arriflex)/ドルビーデジタル(IMDbではドルビーEX6.1)

(韓国12歳指定)

http://www.tan-su.jp/
(音に注意。全国劇場案内もあり)

父ムヒョン(キム・ガプス)の車で、長期入院していた2人の姉妹スミ(イム・スジョン)とスヨン(ムン・グニョン)が自宅に帰ってくると、出迎えたのは若い継母ウンジュ(ヨム・ジョンア)だった。あからさまな敵意を見せる姉妹に、継母も反発、一触即発の状態となるが、父は何もできなかった。そして心霊現象が起き始める。

74点

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 ズハリ書けば、「怖い」の前に「気持ち悪い」。吐き気がするとかではなくて、居心地が悪いというか、気分が悪い。もちろん「怖い」話なのだが、むしろ悲しく、むなしい。ちょっと凹むかも。

 感じでいうと、ニコール・キッドマンが主演しアレハンドロ・アメナバールが監督した「アザーズ」(The Others・2001・米西仏)と「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督の「乙女の祈り」(Heavenly Creatures・1994・ニュージーランド、米)を足して二で割ったような……。

 ただ、本当の心霊現象を期待していくと、ちょっと違和感を覚えるかもしれない。つまり、夢と現実、無意識と自覚の間でゆれるのが本作なのだ。だから、真実がどれなの明確には描かれておらず、わかりにくい。完全に観客に下駄をあずけてしまっているような無責任なことではないけれど、ある程度の判断は観客に任されているのだろう。最後まで見ても、たぶんこういうことだったんだろうなと想像するしかない。

 冒頭、精神病院らしきところで医師から「あの日何があったんだね」と聞かれるところから始まるように、何があったのかこそ、この映画の描きたかったことで、観客に考えて欲しかったのだろう。材料はいくつも与えられるのだから。

 だから人によって解釈はまちまちだろうし、考えようによってはアレはやっぱりいたんだと、ゾーッとすることもあるだろう。すべては妄想で、現実に起こったことではないと考えることも可能だろう。

 監督は、あの恐ろしくてちょっと笑わせる「クワイエット・ファミリー」(The Quiet Family・1998・韓)や未見だが評判の良かった「反則王」(The Foul King・2000・韓)のキム・ジウン。前者は日本で「カタクリ家の幸福」(2001)リメイクされ、後者も「ミスター・ルーキー」(2002)に大きな影響を与えているに違いにない。となると今年4月に公開されたという(マイクロ・シアター単館)未見の「THREE/臨死」(Three・2002・韓、タイ、香)がますます気になる。

 美しい継母を演じたヨム・ジョンアは、「カル」(Tell Me Something・1999・韓)でヒロインを演じた美女。あれではシム・ナウとか言っていたようだが……。今年4月に単館レイト・ショー公開された「H[エイチ]」(H・2002・韓)で主役の女刑事を演じていたらしい。これまた未見……。

 何もできない父を演じたキム・ガプスは見たことあるなあと思っていたら、金大中事件を描いた「KT」(KT・2002・日、韓)でKCIAを演じていた人だった。

 公開8日目の初回、50分前に付いたら、なんと新宿の劇場前は明かりさえついていなかった。もちろん踊り場というか階段の所なのでエアコンも入っていない。めちゃくちゃ暑い。

 40分前になってやって係の人が来て明かりはついたが、もともとエアコンが無いところなので暑いまま。35分前に他にも人が来て6〜7人になり、30分前には10人くらいに。メインは10代後半から20代前半の若い女性。そしてオバサン。男性は3人。20分前に開場した時点で15人くらいに。

 下は中学生くらいから、上は白髪の老人まで。男女比は3.5対6.5で女性の方が多く、老若比は2対8で圧倒的に若い人が多かった。「冬ソナ」の影響かオバサンは多かったようだが。それにしてもオバサンは大声で話してうるさい。あとは若いカップルが目立ったか。最終的には209席の4.5〜5割ほどの入り。

 不思議だったのは、最近劇場で繰り返し「夫婦50割引キャンペーン」のCMを流していること。劇場で流しても、見るのはすでに劇場に来ている人なんだから、口コミがあるにしてもあんまり高価がないと思うんだけど。なんだか予算を消費しているだけのような……。こういうのこそテレビで流さなければ意味がないと思うんだけど。


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