2004年8月1日(日)「キング・アーサー」

KING ARTHUR・2004・米、アイルランド・2時間6分(IMDbでは2時間10分)

日本語字幕:手書き書体、下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米PG-13指定)

http://www.movies.co.jp/kingarthur/index.html
(画面極大化)

5世紀、多くの国がローマ帝国の支配下に置かれ、各村々から男子はある年齢になると何名かが15年の兵役に就かなければならなかった。サルマートからもからも多くの兵士がローマ軍として戦っていた。そのリーダーがアレトリアス(アーサー、クライブ・オーウェン)で、円卓の騎士と呼ばれる優秀な騎士達が従っていた。そして彼らの15年の兵役が解ける最後の任務として、ウォードの地に孤立してしまったローマ司教一家を救出するように命じられる。

71点

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 本当にこれが「アーサー王と円卓の騎士」の物語なのだろうか。映画は言う「ほとんどのアーサー王伝説は15世紀頃の話としているが、実際にはそれより1000年は古く、歴史的な証拠もちゃんとある」と。

 誰も抜くことができなかった岩に刺さった剣、エクスカリバーを引き抜くエピソードは、ほんの一瞬回想の中で出てくるだけだし、予言者にして魔法使いのマーリンはローマ軍の邪悪な(感じの)魔術師になっているし、円卓もマーリンの薦めではなくアーサーの案になっているし、雰囲気だけは残されているものの妻グウィネヴィアとランスロットの不倫もないし……。つまり、2時間程度の映画の枠に収まらない壮大な物語の精神だけ残し、映画枠に収まるわかりやすい物語に作り替えたと、そういうことだろう。

 映画はほとんど戦闘シーンで構成されている。そして、最後に希望を象徴するような結婚式で終わるという「パール・ハーバー」と「バッド・ボーイズ2」のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーらしい作品ということもできるか。まっ、良い作品もあれば、そうでない作品もあるさということで。それより作品を作り続けていくことが凄いことなのだ。

 よくまとめられ、激しい戦闘シーンの連続する素晴らしいエンターテインメントになっているとは思うが、あまり感情が動かされなかった。「ティアーズ・オブ・ザ・サン」(Tears of the Sun・2003・米)の監督アントワン・フークワらしく、とてもまじめに描いているものの、各登場人物のキャラクターがわかるような細かなエピソードがないため、最後まで主人公のアーサーさえもが他人のようで、感情移入できない。

 アーサーと円卓の騎士の絆も省略されているから、なぜラストで死を覚悟してアーサーを助けにもどってくるのかがわかりにくい。当然、感動も薄い。戦友が死んでも、いまひとつ悲しくない。また、エクスカリバーを引き抜くエピソードもチチラリとあるだけ。彼らとの出会いも、なぜリーダーとして認めているのかもわからない。そして、それほど立派な行いもあまり描かれていない(ちょっとだけあるが)から、立派に見えないのだ。時間が足りないことはわかるけれど……。今はやりの3部作とかで作らなければダメなんじゃないだろうか。IMDbて6.0はそれでも高い評価の方だろう。

 配役的にどうなんだろう。主役の「すべては愛のために」(Beyond Borders・2003・米)のクライブ・オーウェンは、伝説の王を演じるにはカリスマ性というか、人を惹きつける何かが足りないような気がする。いい人という感じはとてもするんだけど。それと、アップになったとき、耳たぶにピアスの穴の後らしきものが見えてしまうのは、どうなんだろう。5世紀なんだし。昔もあったとか。デジタルで消せばいいのに。それと監督の指示だろうが、妻となるグウィネヴィアを助け出すとき、一緒にいる子どもは人に任せてまっすぐ若い女の所に行ってしまうのは、リーダーとしていかがなものか。

 キーラ・ナイトレイは「スター・ウォーズ エピソード1」(1999・米)でアミダラ王女の替え玉を14歳の時に演じ、「ラブ・アクチュアリー」(Love Actually・2003・英、米)や「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pear・2003・米)と良い作品に恵まれてで注目を浴び、本作への出演が決まったらしい。本作でも剣や弓の扱いなどさまになっていて、非常に頑張っていると思う。

 ランスロットを演じているのは、先頃、主演したTV番組「ホーンブロワー 海の勇者」のDVDが発売されたばかりのヨアン・グリフィス。キャメロンの「タイタニック」(Titanic・1997・米)でもまっすぐな乗組員を演じていた人で、そんなキャラクターなのに、本作では細いひげを生やしているために、なんだかインチキくさい、詐欺師のような印象になってしまった。本作ではアーサーを裏切らないのだから、こんな感じにしなくても良かったのでは。

 印象に残るのはむしろ悪役で、サクソン軍の指揮官を演じたステラン・カルスゲート(「ドッグヴィル」)もいいが、その息子を演じたティル・シュヴァイガーがいい。同じアントワン・フークワ作品、チョウ・ユンファがヒットマンを演じた「リプレイスメント・キラー」(The Replacement Killers・1998・米)や「ドリヴン」(Driven・2001・米)や「トゥームレイダー2」(Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life・2003・米)にも悪役で出ている。

 公開9日目の初回、新宿の劇場は50分前に付いたら5〜6人の人。40分前に30人くらいになったが、劇場の係が整列に来ないので、いつも前売りと当日で分けられているのが1列になっている。いいのか。35分前くらいになってやって整列に来た。遅い!! それで、前売りに10人くらい、当日に30人くらい。えっ……そうだった、毎月1日は映画の日で、当日入場料金が1,000円になるのだった。しまった……。

 日差しの強い日だったが、開場したのは20分前くらいになってから。遅い。倒れる人が出たらどうするんだろう。

 4席×2列×左右あるペア・シート以外は全席自由(映画の日だからか、2回目もそう言っていたが)。10席×4列×左右(うち、ぴあ席1列×左右)の少し広い指定席もOK。ペア・シートには何組か座っていたようだ。

 最終的に1,189席の3〜3.5割の入りは、まあ妥当な線だろう。1/3が男性中高年、1/3が女性、1/3が20〜35歳くらいの若い層。意外と白髪が目立った。

 それにしても冷房が効きすぎで、寒かった。暑いようでは困るが、半袖で行ったら時々出ている腕をこすってやらなければならないというのはイカンでしょ。いくら雪が降るシーンがあるとはいえ……。


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