2004年8月7日(土)「リディック」

THE CHRONICLES OF RIDDICK・2004・米・1時間58分(IMDbでは1時間55分)

日本語字幕:丸ゴシック体、下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米R指定)

http://www.riddick.jp/
(音に注意。全国劇場案内もあり)

宇宙の制覇を目指す超巨大軍ネクロモンガーは、次の標的としてヘリオン星系へ侵攻しようとしていた。そのころ、UV星系第6惑星にいたリディック(ヴィン・ディーゼル)は、自分のクビに賞金を掛けた男がいることを知り、真意を質すためヘリオン星系第1惑星へ向かう。リディックが到着すると間もなくネクロモンガーの大軍による侵攻が始まった。

74点

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 物語や主人公の生き方に感動するというのではないが、その映像に感動する。素晴らしいビジュアル、美術、デザイン、SFX……まさにエドガー・ライス・バローズのSFオペラみたいな異世界にどっぷりと浸かることができる。ここまで異星人や別世界の惑星をキッチリと描かれ、007を超えるスーパー・ヒーローの、キザでカッコイイ歌舞伎のようなキメキメの世界を作り上げられたら、それを楽しむしかない。

 2時間15分くらいに感じるほど大作、大河ドラマ風だったが、きっちりとその間、世事を忘れて没入できた。ただ、乗り遅れたり、途中で疑問とか感じると、楽しめないかも。導入部分などうまいし、疑問を感じさせずに突っ走るジェットコースター・ムービーになっていると思うが、ノレない人もいるかもしれない。

 とにかくネクロモンガーの美術がいい。ボスのロード・マーシャルが被っている兜のようなヘルメット、鎧スーツ、宇宙船、すべて素晴らしい。プロダクション・デザイナーはホルガー・グロスというドイツ生まれの人。「ユニバーサル・ソルジャー」(・1992・)や「スターゲート」(・1994・)を手がけた人なので、ぴったりの人選だったのだろう。衣装デザイナーはエレン・ミロジニックという女性。いろんな作品を手がけているが「スターシッフ・トゥルーパー」(・1997・)でサターン賞衣装賞を受賞したというから、彼女もまた本作向きの人だったのだ。

 そしてヴァーコ司令官のヘア・スタイルがいい。サイド刈り上げ真ん中総立ち(?)は突っ張っている感じが良くでていてピッタリ、しかもカッコいい。演じているのはカール・アーバン。「ゴーストシップ」(Ghost Ship・2002・米)や「ロード・オブ・ザ・リング」の2と3に中つ国の人間のエメオル役で出ていた人。印象が全然違う。本作はインパクトも強く、若く見える。今後はこのセンがいいのではないだろうか。

 脱出不可能といわれる刑務所にいるリディックにあこがれている少女を演じているのが、フランス生まれでニューヨーク育ちという、モデル出身の新人アレクサ・タヴァロス。劇場映画初出演ということだが、なかなかどうして堂々とした演技っぷり。体を張ったアクションはキレがあって素質を感じさせる。今後注目かもしれない。

 ロード・マーシャルを演じたのはコルム・フィオール。「シカゴ」(Chicago・2002・米)や「タイタス」(Titus・1999・米)、「ペイチェック 消された記憶」(Paycheck・2003・米)に出ていた人で、冷たく非情な感じ、冷酷なキャラクターを演じさせればビカイチという人。もちろん悪役を憎たらしく演じていて良い。今後もドンドン出てきそうだ。

 監督は、脚本家出身で、あのスマッシュ・ヒット作「グランド・ツアー」(Grand Tour : Disaster in Time・1992・米)を撮ったデヴィッド・トゥーヒー。その後もSFアクションの面白い「アライバル―侵略者―」(The Arival・1996・メキシコ/米)を撮り、ついには舞台が地球から宇宙へ飛び出し「ピッチビラック」(Pitch Black・2000・米)で低予算ながら楽しめるSFホラーを撮った。デヴィッド・トゥーヒー・ファンのボクとしては本作は見るしかないという作品。

 本作はその「ピッチブラック」の主人公、リチャート・B・リディック年代記の続編なんだとか。間にアニメでDVD発売された「リディック・アニメーテッド」で「ピッチブラック」から「リディック」に至るストーリーが語られているんだとか。

 ネクロモンガーというのはやはりネクロノミコン(死者の掟の書)あたりからきているんだろうか。ハーフ・デッドや不死という言葉が出てきて、宇宙船のモチーフが棺のようなものだったりすることから、無関係とは思えないのだが。

 スペクターSMGのように見える銃もあったが、銃は全て着ぐるみのような装飾が付けられているので、オリジナルが何かはまったくわからなかった。

 公開初日の初回、銀座の劇場は60分前に着いたら、エレベーターは動いていて、5Fの劇場へ。驚いたことにすでに50人ほどの行列。老若比は6対4で中高年の方が多く、男女比はほぼ半々。暑い日だったが劇場横の階段室は冷房が漏れてきていて、扇子などなくてもしのげるほど。しかし55分前には開場してくれて涼しい場内へ。嬉しい。

 初回のみ全席自由で、10席×4列の指定席と10席×1列のぴあ席も自由。ただし右列の中央付近にある10席×2列のピンクのカバーの席だけはレディース・シートで女性限定。ちゃんと劇場係員が来てチェックしていた。
 予算の関係でコーヒーは飲まないようにしているのだが、さすがに55分前くらいに開場されるとがまんができなくなる。まわりでみんな何かおいしそうに飲んでいると、ついつい釣られてしまう。ここのコーヒーは200円でうまいし。くーっ、お金が……。

 30分前で540席の1/3ほどが埋まった。それが20分前には1/2となり、15分前に8割、10分前に9割、最終的にほぼ満席となった。すごい。びっくりした。


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