2004年9月7日(火)「ヴァン・ヘルシング」

VAN HELSING・2004・米/チェコ・2時間13分(IMDbでは2時間12分)

日本語字幕:手書き書体、下、林 完治/ビスタ・サイズ(1.66上映)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://www.vanhelsing.jp/
(全国劇場案内もあり、音に注意)

1890年、パリにいたヴァン・ヘルシング(ヒュー・ジャックマン)はバチカンに呼び戻され、ドラキュラ(リチャード・ロクスバーグ)を倒せとルーマニアのトランシルバニアに派遣される。そこで、武器発明のエキスパート、カール(デヴィット・ウェンハム)を連れて向かうと、代々ドラキュラと戦ってきたヴァレリアス一族のアナ王女(ケイト・ベッキンセール)が待ち受けていた。そこへ3人のドラキュラの花嫁たちが襲いかかってくる。

74点

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 おもしろい。さすがは「ハムナプトラ」を撮ったスティーブン・ソマーズ監督。ツボを心得ている。多少つじつまの合わないところや、疑問に感じるところもないではないが、それを感じさせる前に次のイベントが起きて強引に最後まで観客を引っ張っていく。それがスゴイ。

 一言で言えば、まるで劇画みたい、ということになるだろうか。想像力を駆使して自由奔放に描いた世界がそのままリアルな絵として描かれ、しかも動くという感じ。これはもう圧倒されるばかり。かつて「ジェームズ・キャメロンの映像力学」という本があったけれど、まさにこれは「映像力学」の世界かもしれない。

 特に絵としてすばらしいのは、空を飛び交う3匹の女ドラキュラとの戦い。コウモリのように翼を使って自由自在に高速で飛び交う奴らに対して、我らがヴァン・ヘルシングは007のQ(に相当する役を「ロード……」で執政官の父デネソールに見捨てられた弟を演じていたデヴィット・ウェンハムが好演)が作ったようなTOJOブレードとか、マシンガン・アローといった秘密兵器を駆使して戦うところは圧巻。すごいスピード感。これぞ映画だ、と思わず思ってしまう。

 映画ファンに嬉しいのは、ちゃんと過去に作られたモンスター映画を下敷きにしていること。開巻冒頭はモノクロで、村人たちが大挙して松明を持って怪しい城に押しかけるという、その手の映画のラスト・シーンから始まる。おっ、やってる、やってる。わかっているなあって感じ。おそらく監督のスティーヴン・ソマーズは1962年生まれというから、当時のモンスターものはリアル・タイムでは見ていないはず。きっと学生時代とかにたくさんのモンスター映画を見て研究したのだろう。この前に作っている「ハムナプトラ」(The Mummy・1999・米)もよく古い映画が研究されていたし。

 とにかくマシンガン・アローが秀逸なのだけれど、他にもパーカッションの単発銃のようなものが武器展示室のようなところにあったりするかと思えば、見たこともないようなフック付きのロープを打ち出すことができるでかいリボルバー(オープン・トップでシリンダーにジグザグが……なんだろう)、ポンプ・ショットガンなど、銃器もちゃんと登場する。

 敵の下っ端は、なんだか「スター・ウォーズ」のジャワスのようで、やっぱり監督は映画好きに違いない。「スター・ウォーズ」で熱狂した口だろう。

 公開4日目の初回、平日なのでガラガラかと思ったら、銀座の劇場は25分前で22〜23人の行列が。さすが東京。火曜が休日の人もいるだろうし、営業をさぼってきた人、学生、リタイアした人、事情はそれぞれだろう。

 男女比はほぼ半々で、20代以下は1/5くらい。ほとんどは中高年。しかし下は高校生くらいからいたが。20分前に開場し、この時点で50人くらい。17席×2列にカバーが掛かっていたが、初回のみ全席自由。

 最終的には654席に1/6ほどの入り。 たぶん平日の1回目としては多い方ではないだろうか。


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