日本語字幕:手書き風書体、下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、Panavission)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米PG-13指定)
1835年メキシコの支配者サンタアナ(エミリオ・エチェバリア)の独裁に対して独立を宣言したテキサスは、それを認めないサンタアナが自ら軍を率いて制圧を開始した。トラヴィス中佐(パトリック・ウィルソン)、ジム・ボウイ(ジェイソン・パトリック)、デイヴィ・クロケット(ビリー・ボブ・ソーントン)らが率いる義勇軍や民兵からなる180人ほどはサン・アントニオのアラモ砦に立てこもった。やがて2,400名の正規兵を引き連れたサンタアナが砦の近くに現れる。 |
1960年、ジョン・ウェインは伝説を映画にした。そして2004年、デニス・クエイドが主演した「オールド・ルーキー」(The Rookie・2002・米)の監督ジョン・リー・ハンコックは歴史を映画にした。 で、どっちが映画として面白いかと言えば、当然、伝説の方が面白い。史実に忠実なことは映画としての出来には関係ない。ただ、記録映画的にはいい映画ということになるのだろうが。 たしかに、真実は小説よりも奇なりということはある。その史実が充分にドラマチックで感動的。演出を何も加えなくても、真実を話すだけでエンターテインメントになるということはあると思う。ただ、真実に近くなるほど人物像も謎がなくなり身近なものとなって、マイナス面も見えてくる。それがどうか。 ジョン・ウェインが自らプロデューサーも監督も主演も買って出た「アラモ」は、出演者の顔もみなメイクされてきれいだし、恋物語とかあってめちゃくちゃエンタターテインメントになっていた。一方こちちらは出演者のほとんどが無精ひげで汚い顔。ジム・ボウイなど、自慢のボウイ・ナイフを歴史どおりの形で再現して見せるが、ほとんどベッドに横たわっていて使うことはない。 最近は歴史的な史実の掘り起こしが盛んで、いろんな伝説が事実として研究されているので、伝説のまま描くことは難しくなっているのも事実。そして、ジョン・ウェイン版ではアラモ砦が落ちるまでの話だったのをこちらではアラモ全滅をバネにその後の戦いとテキサス独立までを描いている。ついでに書けば、ジョン・ウェイン版は3時間12分(アメリカ・ロードショー版)だったのに対して、本作は2時間12分。ほとんとどが戦闘シーンに充てられているのは、狙いでもあるのだろう。 本作では、戦闘の様子も、デイヴィ・クロケットの最期も、当時の記録などから忠実に描かれているという。 銃はすべてフリント・ロックで、撃つと主役級の人たちの銃は、まず顔の近くでフラッシュ・パンから火が出て、それから銃口から大量の白い煙とともにオレンジ色の炎が吹き出す。戦闘距離も非常に近く、遠距離狙撃が180メートルというレベルだ。しかし、だからこそ敵が近い分、戦いは恐ろしい。まさに白兵戦という言葉がぴったり。 砲弾もちゃんと導火線が付いていて、飛んできて着地してから転がって行って、燃え尽きると爆発する。昔からただの丸い鉄の玉がどうして爆発するのか不思議だったが、初めて映像でちゃんと描いたのではないだろうか。これは納得できる。しかも、砦の外に向けていた大砲を、中へ進入してきたメキシコ軍に向けるとき、ライオット用に釘やくず鉄を袋に入れて詰めて撃つなど、さらにリアルで怖い。 感動的だったのは、最後の戦いを前に、砦にこもる人々に対してスピーチを行うシーン。これこそがアメリカの建国精神なのだろう。そしてこうして苦労して、何人もの人々が血を流し命を捧げていまのアメリカを作り上げてきたと(もともとはアメリカ原住民の土地だろうという話は置いておくとして)。特にテキサスはメキシコ領だったものが独立して、その後アメリカの州になったという歴史があるだけに、なおのことだろう。 公開初日の初回、銀座の劇場は60分くらい前に着いたらまだ1階のボックスオフィスが開いていなかった。前売り券があっても当日券と換えなければならないので列に並ばなければならない。8人の列に並んだ。男女は半々で、20代らしき青年が1人、あとは中年というより高年者のみ。 なんでも先売り券というのがあるそうで、これがあれば当日並ぶ必要がないらしい。じゃ、前売り券は何なんだ。ただの割引券か。もはやチケット・システムは崩壊している感じだ。 50分前にボックスオフィスが開き、5Fの劇場横の階段室へ。30分前に開場し、場内へ。初回のみ9席×2列のピンクのカバーのレディース・シート以外は全席自由。カバーの席は10席×4列、ぴあ席が10席×1列あった。 最終的には540席の3割りくらい。うーん、人気俳優が出ていないと、西部劇はかなりつらいということか。ビリー・ボブ・ソーントンとほぼ新人のパトリック・ウィルソンだもんなあ。ホントに西部劇とかが好きな人でないと見ないかも。 老若比は8対2で、圧倒的に高齢者が多く、白髪&ハゲが目立っていた。男女比は7対3と男性が倍以上。西部劇だからなあ。 それにしても、またまた20人以上の関係者。客席の後ろにずらりと並んできになった。それだけならまだいいのだが、予告編が終わって本編になってから一斉に出て行くので、場内に光が入って気になってしようがなかった。これでは快適な干渉を妨げているとしか思えない。出て行くなら予告編の内に出ろ。こっちはお金を払っているんだ、なんちゃって。 |