2004年9月26日(日)「隣のヒットマンズ 全弾発射」

THE WHOLE TEN YARDS・2003・米・1時間38分

日本語字幕:手書き風書体、下、風間綾平/ビスタ・サイズ(Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://www.gaga.ne.jp/hitmans/
(全国劇場案内もあり)

1961年に逮捕されたマフィアのボス、ラズロ(ケヴィン・ポラック)が2003年出所するという記事が新聞に掲載された。彼は前作でプロの殺し屋ジミー(ブルース・ウィリス)が葬ったヤンニの父親だった。ラズロはすぐに復讐のためジミーの居場所を知るであろう歯科医のオズ(マシュー・ペリー)の妻シンシア(ナターシャ・ヘンストリッジ)を誘拐する。

72点

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 前作の続編ということだが、すでに「隣のヒットマン」(The Whole Nine Yards・2000・米)から4年経っているため、見ていない人でもわかるように作られている。前作はもう少しシリア胸雰囲気が有ったような気がするが、本作ではほとんどコメディの味付けになっている。

 だから、前作の雰囲気を期待すると少し肩すかしを食うかもしれない。初めからアクション・コメディだと思ってみれば、けっして悪くはない。ただ、前作はアメリカでR指定(18禁)だったのに対して本作はPG-13だから、アクションはコメディ度に応じて激しいものの漫画的になっている。撃たれてもあまり痛そうではないし、怖くもない。前作は笑いの中の怖さがあった。で、どっちが面白かったかと言えば、やっぱり前作でしょう。

 メインの出演者はほとんど同じ。冷血な殺し屋ジミーにブルース・ウィリス、その妻で殺し屋志望のジルに「アイデンティティ」(Identity・2003・米)のアマンダ・ピート。隣の歯科医にTVの「フレンズ」のマシュー・ベリー。その妻で、ジミーの前妻であるシンシアに「スピーシーズ 種の起源」(Species・1995・米)のナターシャ・ヘンストリッジ。前作で葬られたマフィアで出ていたケヴィン・ポラックという面々。

 監督は前作のジョナサン・リンから交代したハワード・ドイッチ。「プリティ・イン・ピンク」(Pretty in Pink・1986・米)で監督デビューした人で、「大混乱」(The Great Outdoors・1988・米)「ラブリー・オールドメン」(Grumpier Old Men・1995・米)「おかしな二人2」(The Odd Couple II・1998・米)と笑える作品を作り続けてきた人。スポ根ものの傑作「リプレイスメント」(The Replacement・2000・米)も彼の監督作品だ。ということは、本作もつまらない作品になることはなかったわけだ。

 またまたポスターの銃の写真が裏焼き。こんな銃があるか。たぶんアメリカの銃の知らないデザイナーが、構図優先で写真を裏焼きにしたのだろう。一流のデザイナーならやらないはず。映画会社としてはあまり力が入っていないのだろう。

 タイトルに「全弾発射」とあるだけあって、銃撃シーンはたくさんある。ブルース・ウィリスはM16A2を乱射しているし、アマンダ・ピートはS&Wの1世代前のオート、形からするとM4006かM5946らしきものを使っている。口径が9ミリでないのは使いにくいと思うが、セフティはあったような気がするし……M4006か……。ほかにも家を守るためにガン・マニアになってしまったらしいマシュー・ペリーの家には武器庫があるし。SIG P228らしい銃や、USPも登場する。いよいよ乗り込むというときには、アマンダがマシューの武器庫でMP5Kを発見して「MP5Kじゃないの」とはしゃぐシーンまである。持ち出す銃にはFAL、M1カービン、M1ガーランドなどの古い銃まで入っている。

 公開2日目の遅めの初回、新宿の劇場はこの地区でもかなりつらいところ(都内はすべてつらい劇場だが)。スクリーンがまあまあ大きめなところだけが救われるところで……。なんでも午前中は「ディーブ・ブルー」を1回だけ上映しているらしい。本作はなかなか酷い扱いだ。

 劇場に着いたらちょうど予告が終わるところ。あわてて場内にはいると、指定席無しの272席に3割りほどの入り。ほとんどは中高年の男性で、何度も書いてきているがもうブルース・ウィリスでは若い客は呼べないのだ。男女比は9対1で、女性はわずか数人。うーむ。


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