日本語字幕:手書き風書体、下、風間綾平/ビスタ・サイズ(Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米R指定)
元CIAのエージェント、ジェイク(スティーヴン・セガール)に、タイを友人と旅行中の娘ジェシカ(サラ・マルクル・レーン)が誘拐されたとの知らせが入る。友人というのが上院議員の娘で、彼女が目的の誘拐らしかった。テロリストと政府は交渉しない方針であることから、ジェイクは単身タイへ渡り、かつての同僚で、今は僧侶となったスンティ(バイロン・マン)のもとを訪れると、協力を求める。 |
うーん、まったく精彩を欠くスティーヴン・セガール。こんなに太ってしまって……。いくらガバメントを使っても、顔は下膨れとなり、「刑事ニコ/法の死角」(Nico・1988・米)の頃とは天と地ほども違っている。それが歳以外の問題という気がするのが最大の問題点。そのおかげでお得意の合気道に説得力がなくなり、しかも格闘シーンにスタントマンというか吹替の人を使っているので、もはや彼である必要さえなくなっている。こんな映画が成立するだろうか。ということは、アクションが自分でできる人と置き換えても、この映画はできてしまうわけで、むしろ有名俳優を配した方が(出てくれればだが)ヒットするのではないだろうか。 監督はチン・シウトンという香港のアクション系の人。日本劇場未公開でボクはビデオで見たが「サイキックSFX/魔界戦士」(奇縁・1985・香)、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(倩女幽魂・1987・香)、「スウォーズマン/女神伝説の章」(東方不敗・1992・香)などという強烈なアクション作品を撮っている。最近では「HERO」(英雄・2002・香/中)、「LOVERS」(十面埋伏・2004・中)のアクション監督を務めているのだ。ということは、監督が問題というより、脚本とかプロデューサーとかスティーヴン・セガール自身が問題なのでは? それで、それらを見てみると、原案にスティーヴン・セガールとあり、プロデューサーにもスティーヴン・セガールとあった。あらら。脚本はこれがデビュー作のジェームズ・タウンゼント。どこかで聞いたことがあるような名だが……。 まっ、アクションで有能な監督を迎えつつも、結局はほとんどワンマンで撮ったありふれた作品ということになってしまったのだろう。 公開2日目の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら、エレベーターホールの明かりさえついていなかった。当然劇場も真っ暗。締め切られているせいか、かなり暑い。この劇場はいつものことだがまったくやる気が感じられない。日本で一番かもしれない。 明かりがついて開場の準備が始まったのは25分前になってから。それまでに来た人はほとんど帰ってしまっている。かろうじて「15分前開場」の札がかかっているだけ。みなさんそれを見て出直すのだろうか。 当然、並んでいる人の整理になど来ないから、人は適当にたまりだした。ちゃんと並んでいる人もいるし、足の悪い人は階段に並ばずエレベーターを降りたところで待っているから、さらに後から来た人はどこに並んで良いかわからず、まますます列は乱れていく。ああ、どうなることかと思っていると、本当に15分前に開いた。遅い。 最終的には、客席がフラットでどの席も前席がじゃまになる209席の3.5割ほどが埋まった。ほとんどは中高年の男性で、まだ「刑事ニコ」や「沈黙の戦艦」(Under Siege・1992・米)の幻影に惹かれている人たちだろう。あまりに「沈黙……」のインパクトが強かったから、こんな作品にまで日本で勝手に「沈黙」と冠しているのが、かえって悲しい……。 中年カップルが2〜3組、若いカップル1組。つまり女性はほとんどいないということ。うーん、もうスティーヴン・セガールはだめかも。 |