2004年10月10日(日)「クライモリ」

WRONG TURN・2003・米/独・1時間24分

日本語字幕:手書き書体、下、岡田宗平/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル

(米R指定、日R-15指定)

http://www.cry-mori.com/
(全国劇場案内もあり)

現代のアメリカ、ウエスト・ヴァージニア州の山深い未開地を走る1本の高速道路。古いマスタングを飛ばす医学生のクリス(デズモンド・ハリントン)は、事故渋滞に業を煮やし、高速を降りてベア・マウンテン・ロードという迂回を行くことにする。しばらく進むと道路の真ん中にバンクしたレンジローバーが止まっていて、クリスはCDに気を取られていて突っ込んでしまう。幸いけがはしなかったが、乗っていた5人の若い男女と、歩いて助けを求めることにする。しかし、その山中にはとんでもない兄弟が住んでおり、つぎつぎと旅行者を襲っていたのだった。

70点

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 やられた。「ブレア・ウィッチ」と「スタン・ウィンストン」にダマされた。ごく普通のホラー映画だった。てっきりあのつまらない思わせぶりな「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をスタン・ウィンストンが特殊メイク技術を駆使しておもしろくリメイクしたんだと思った。いや、思わされた。

 実際には「13日の金曜日」を初めとする多くのスプラッター映画の定番どおり、無軌道な若者たちがつぎつぎと魔物のような男に惨殺されていくというお話。たいてい主人公の男女1組が生き残り、ヤツをやっつけて終わるというパターンになる。まさかと思っていたら、まったくその通りで、ほとんど何のひねりもない。

 ただ、ターミネーターのロボットをデザインしたスタン・ウィンストンがかんでいるだけに、異形のもののメイクはすごい。いつから生きていたのかさえわからないような男が古い有鶏頭の水平二連ショットガンを持っていたり、近親結婚を重ねたためなのか奇形となって人並みはずれたパワーまで持ってしまっているという設定はおもしろいが、TVの「Xファイル」でも取り上げたことのあるもので、まったく新しさがない。しかも彼等は人のパーツをコレクションしており、それではほとんど「悪魔のいけにえ」(The Texas Chainsaw Massacre・1974・米)ではないか、っていうかそのまんま。ストーリーも似たような展開を見せる。

 「ブレア・ウィッチ」のヒットメイカーがというのは、製作をプロデュースした人ではなく、配給を手がけたプロデューサーがかんでいるというだけで、たぶん他に売りがなかったのだろう。ただ「ブレア・ウィッチ」の監督とかプロデューサーがかんでいたとしたら、余計に期待できないだろうが。

 とにかくそんなわけで「ブレア・ウィッチ」とは何の関係もない。話も全く違う。定番の話をそこそこサスペンスフルに撮っているという感じ。ただ、のっけから音で脅かすような場面があり、ああ、これじゃダメだなとは思ってしまったが。

 本当に演出力のある監督は、いきなり大きな音を出してビックリさせる(怖がらせるのとは違う)ようなセコイ手は使わない。そして、普通やらないような、やっちゃいけないことをやって酷い目に遭うような構成にはしない。

 劇中、ウェス・クレイヴン監督の「サランドラ」(The Hills Have Eyes・1977・米)って映画を知っているかというセリフがあるが、あれとまったく同じだとも言える。「サランドラ」はウェス・クレイヴン版「悪魔のいけにえ」と言われたわけで……。うーん、真似の真似か……。宣伝に映画に何の関係もない改造牛刀“ジョギリ”を持ってきたという点から、「ブレア……」を持ってきたあたり宣伝手法まで真似かい、と思わず言いたくなるほど。これでずいぶんと印象を悪くしている。普通のホラーだとか、スプラッターだと言われればもっと素直に見られたものを。

 公開2日目の2回目、銀座の劇場は30分前で1人だけ。まあ177席のマイクロ・シアターなのでたくさん来られては困るわけだが。15分前くらいから増えだして、狭いロビーは人でいっぱいに。といっても10人くらいだが。

 12〜13分前に入れ替えとなり場内へ。男性のみで、下は中学生くらいから20代、30代、40代、50代それぞれ同じくらいの人数。その後、高校生くらいと若いカップルも来て最終的には30人くらいに。20代〜30代が一番多くはなった。女性は2〜3人のみ。


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