日本語字幕:手書き書体、下、雨宮 健/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米PG-13指定)
FBIの捜査の手を逃れタイに逃れていたバイカーのケアリー・フォード(マーティン・ヘンダーソン)が6カ月ぶりに街に帰ってきた。バイク・ショップを経営する彼女のシェイン(モーネイ・マザー)とよりをもどすためだったが、事件直前に麻薬を隠したバイクをフォードに預けた暴走族グループの1つヘリオンズに知られ、バイクを返せと迫ってくる。そんな中、もうひとつの暴走族グループ、リーパーズのリーダー、トレイ(アイス・キューブ)の弟がチェーンで絞殺され、ヘリオンズのメンバーの目撃者がフォードが犯人だと証言する。 |
IMDbでたったの3.0点だが、おもしろい。アメリカでは「スクービー・ドゥ2」のような映画の方が評価は高く4.6点で、日本人とは感覚が違うような気がする。あえて一言でいえば、ヴィン・デーゼルの人気を一気に高めた「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米)の車をそのままバイクに置き換えたバージョン。「でも」なのか、「だから」なのか、おもしろい。デジタル・サウンドが大迫力なので、やっぱり劇場の大音響で見た方が臨場感があって興奮できると思う。曲も抜群にノリが良い。 とにかくスピード感満点で、バイクに乗ったことがある人なら、だれでもカッコいいと思うに違いない。ボクもまたバイクに乗りたくなった。そしてちょっと暴力的なというか粗暴な気分になったかもしれない。バイクに乗ったらちょっとスピードを出したかも知れない。そんな映画。 たしかにストーリーはなおざり。見せ場とリズムと作るための進行役的な役目しか与えられていない。が、この徹底した格好いい凝った取り方と編集の妙はそれを補って余りある。 各キャラクターもちょっとステレオタイプながら、いかにもそれらしくてグッド。ヒロイン役のモーネイ・マザーもいいけれど、ボクが注目したのは悪側のヒロイン、チャイナを演じたジェイミー・プレスリー。あまり大きな作品には出ていないようだが、化粧の感じもいいし、憎たらしい感じが良く出ていた。しかも美人でセクシー。今後注目かも。強いイメージにするためだろうか。日本語の入れ墨を入れているのだとか。 ちなみに悪のヘリオンズのNo.2らしきルーサーのバイクは、ハンドルの付け根にリボルバーのSAAが2挺交差して飾られている。なかなか見事な作り。 銃はS&W M60チーフス、グロックのシルバー・スライド、ベレッタM92などが登場。 バイクはてっきり日本車ばかりかと思っていたら、メインはほとんどイギリスのトライアンフだそうで、アプリリラ/RSVミレとか、トライアンフ/デイトナ955i、トライアンフ/レジェンドTTなんていうのが出ていたらしい。これらロード・レーサーで荒れ地を突っ走るのだからまた凄い。 「ワイルド……」でおなじみとなった、エキパイの穴からエンジン中まで進入していく、たぶんフルCGのカメラワークも健在。男同士、女同士の中世馬上槍試合を模したかのような漫画チックなバイク対決もおもしろい。 のっけからタイトルの見せ方がいちいちカッコいい。メタリックな文字が飛んできて、飛び去っていく。スピード感があって、リズムも実に良い。うまいなあと思っていたら、クレジットにピクチャー・ミルとあった。「パニック・ルーム」のまるでそこに本当にあるかのような摩天楼に浮かぶ文字をデザインした会社だ。 監督はこれが劇場長編デビュー作となるジョセフ・カーン。公式サイトによればミュージック・ビデオの世界では非常に有名人で、評価も高いらしい。エミネム、U2、ブリトニー・スピアーズ、デスティニーズ・チャイルド、ジャネット・ジャクソン、エアロ・スミス、DMX、バックストリート・ボーイズ……そうそうたるアーティストの名が並ぶ。もちろん本作に出演しているアイス・キューブのクリップも手がけている。なるほど、なんとなく納得。 たぶん監督自身バイクに乗り、バイクが好きなのではないだろうか。タイトルバックの映像などバイクの楽しさ、カッコ良さがストレートに伝わってくる。もしバイクに乗らないとしたら、この監督の想像力は超人的だと思う。今後、要注目だ。 ぶっ飛ぶのは、エンジンにヘリコプター用ターボジェット・エンジンを搭載したというモンスター・マシン、Y2K。超絶スピードで視野が狭くなる感じとかうまく表現されている。しかし実際このスピードでちゃんと運転できるのだろうか。サーキットならいざ知らず、一般公道で。 作ったのはマリーン・ターボ・テクノロジー社とあったから本当に存在するらしい。最高時速はなんと400km/h。これが世界に10台もあるというのだから驚く。一体どこで走るというのだろう。 公開2日目の初回、銀座の劇場は45分ほど前に着いたら、当日券との引き替えが必要になっていて、ビルの外のボックスオフィスに並ばなければいけなくなっていた。この寒空に、ビルの外で待つのかよ。いままでは下のロビーで待てたのに……。 着いた時点では30歳くらいの男性が一人。25分前くらいに窓口が開き、同時に開場。この時点で15人くらい。35歳くらいで分けて、中高年とそれ以下の比はほぼ半々くらい。女性は……見あたらない。 10分前になって20人くらいに。やっと女性が2〜3人。若い子ばかりで、カップルで来場。 初回のみ全席自由で、カバーの掛かった指定席はなかった。スクリーンにカーテンはあったが。最終的には435席に50人くらいの入り。あらら。女性は7〜8人。残念、おもしろいのに。 画面に撮影防止(トレース)のためのドットあり。 |