2004年10月23日(日)「ブラインド・ホライズン」

BLIND HORIZON・2004・米・1時間39分

日本語字幕:手書き書体、下、岡田壮平/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

(米R指定)

公式サイトなし(!!!)


メキシコとの国境近くのアメリカの小さな町、ブラック・ポイントで、崖から落下したらしい男(ヴァル・キルマー)が発見された。病院に収容されやがて意識を回復するが、銃撃されその弾丸が頭部をかすめたことから記憶喪失に陥っていた。かろうじて思い出したのは、大統領暗殺の言葉のみ。看護婦のリズ(エイミー・スマート)の献身的な看病で順調に回復するが、男の前に自分のフィアンセだという女クローイ(ネーヴ・キャンベル)が現れる。

73点

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 IMDbで5.4点、公式サイトもなし。しかし、なかなかおもしろい。ありきたりでハリウッドのB級映画にありがちなストーリーだが、「JFK」(JFK・1991・米)や「激流」(The River Wild・1994・米)とかの編集助手から編集マンになったF・ポール・ベンツの細かなエピソードをつなぐまさに編集のような構成の脚本と、マドンナのビデオ・クリップなどを手がけた監督のマイケル・ハウスマンのこれまた細かなカットの積み重ねが、B級ながら小粋な作品にしている。

 見終わった後で「映画をガッツリ見た」というような感想は持たないと思うが、たぶんガッカリしたり損をした気分にはならないと思う。ハリウッドらしいエンディングだとは感じても、だまされたような気はしないはず。これは大事。

 銃はヴァル・キルマーが撃たれるのがグロック。本人はH&KのUSP、バックアップ用にシルバーのワルサーPPK/S。保安官だったかが持っているのがS&Wの357マグナム4インチ。ほかにSIG P228も出てくる。クローイはS&Wのオートマチック。リアー・サイトが大きく、トリガー・ガードは丸形、たぶん2列弾倉だろう。

 ライフルは狙撃用なのでそれなりに工夫が凝らされていて、普通の吊るしのライフルではない。1挺は薬室部分から二分割できるテイクダウン・ライフル。カスタムなのか……H-Sプレシジョン社のプロ・シリーズ2000にも見えたが、短くて形を覚えきれなかった。もう1挺はたぶんオートマチックだったと思うが、これも短時間で……たしかストックがグリーンで先台部分にすべり止めらしき黒いパーツが入っているタイプ。最新型のライフルかもしれない。

 当然、スコープも凝っていて、ノブが3つあるレオポルドMk 4のM1ミルドット・スコープのような感じ。ちゃんとレティクルまでスクリーンに映る。このへんの細部にもこだわっているところが素晴らしい。

 ヴァル・キルマーと言えば「トップガン」(Top Gun・1986・米)でトム・クルーズのライバル、アイスマンを演じたことが有名だが、以降だいたいもの静かなクールな役が多い。有名なところでは「トゥームストーン」(Tombstone・1994・米)のドク・ホリデイ、「バットマン・フォーエヴァー」(Batnman Forever・1995・米)、最近では「レッド・プラネット」(Red Planet・2000・米)に出ていたが、それ以降あまりぱっとしなかった感じ。それがいきなりB級扱いだから、ちょっと厳しいなあと。

 ネーヴ・キャンベルはちょっと損な役を演じているが、「スクリーム」(Scream・1996・米)で注目された女優さんで、その後「スクリーム」シリーズ以外にも「ザ・クラフト」(The Craft・1996・米)「ワイルドシングス」(Wild Things・1998・米)などに出演しているものの、やや似た傾向のものが多かった。本作はその中ではちょっと毛色の変わった感じで、イメージ脱却を図ろうとしているのかもしれない。

 田舎の小さな町のシェリフにしては偏らない柔軟な思考のできる人物を好演しているのが、サム・シェパード。一番有名な出演作はたぶん「ライトスタッフ」(The Right Stuff・1983・米)だと思うが、最近では「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)でむちゃな命令を出した将軍を演じていた。存在感というか、本当にいそうな感じがいい。

 ちょい役だがいかにも怪しい人物を演じていたのが、大女優のフェイ・ダナウェイ。ピアース・ブロスナンの傑作アクション「トーマス・クラウン・アフェア」(The Thomass Crown Affair・1999・米)やミラ・ジョボヴィッチががんばっていた「ジャンヌ・ダルク」(JEANNE D'AR・1999。仏米)にもチラッと出ていた。きれいな人だったのに……。代表作といえばやっぱり「俺たちに明日はない/ボニーとクライド」(Bonnie and Clyde・1967・米)だろう。

 ただ一番良い印象を残すのは、若き看護婦役のエイミー・スマート。ダバコを吸うのが似合わなかったが、比較的清純な感じのする女優さん。日本未公開の劇場版「スタスキー&ハッチ」にも出ているらしい。「スターシップ・トゥルーパーズ」(Starship Troopers・1997・米)にも出ていたそうだ。ローワン・アトキンソンのコメディ「ラットレース」(Rat Race・2001・米)にも出ているらしい。しかしどれも印象にない。これからが注目ということか。

 洒落た文字の見せ方のオープニング・タイトルはトーマス・コッブのデザイン。今後注目かも。

 公開初日の2回目、30分前についたらロビーにはオヤジが1人。20分前から増え出して、10人くらいに。20代〜30代前半2人、中高年のオヤジ8人といったところ。開く直前にオバサンが1人。

 10分前に入れ替えとなり、入ったらオヤジが5〜6人残っていた。最終的には177席にほとんどオヤジが20人といったところ。ちょっと寂しい。宣伝していないからなあ。結構面白いのに。


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