2004年10月24日(日)「2046」

2046・2004・香/仏/伊/日/中(IMDbでは中/仏/独/香)・2時間10分(IMDbでは2時間9分)

日本語字幕:手書き書体、下、松浦美奈/字幕監修:鈴木真理子/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル

(米PG-13指定)

http://www.2046.jp/
(音に注意)

1960年代初め、シンガポールにいた新聞記者のチャウ(トニー・レオン)は恋多き女スー(コン・リー)と別れ、香港に戻る。小説家となったチャウはやがて女とのつきあいは所詮一生続かないと悟り、女遊びを始める。やがて隣の部屋に越してきた大家の長女(フェイ・ウォン)が日本人タク(木村拓哉)と付き合っていることを知り、それをヒントに「2046」というSF小説を書き始める。

69点

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 SF映画だという紹介と、「ミステリートレインが動き出す」というコピーにだまされた。ごく普通の、それも嫌いなタイプのラブ・ストーリーだった。IMDbでは300票ほどだが8.2などというとんでもない高得点。ボクとしてはまったく納得できない。なにしろ途中、退屈で眠くなって何度か寝たほど。

 とにかく「女遊び」をする主人公は、いくらフラれた経験からだとはいえ、すべての悲劇はそこから来ているわけで、同情できない。たくさんの人に不幸をばらまいている。その不幸の1つを被るのが、アメリカの「ピープル」誌で「世界で最も美しい女性50人」に選ばれた美女チャン・ツィイーだから、よけいに腹が立ったのかもしれないが。

 それでも日本人嫌いの父親に大反対される隣室のフェイ・ウォン演じるジンウェンを助けてやるなど、少しはいい人ぶりも発揮するが、結局最後まで主人公のトニー・レオンは変わらず、また変える気も無いのだ。だったら悩むなっちゅうの。

 愛は愛でも、かなり歪んでいて、もともとこれを愛と呼んでいいのかどうか。所詮はあそびで、本気じゃない。愛にまつわる小説も食べていくために、身の回りのことを題材にしているにすぎない感じまでしてしまう。

 これを、あのいい人のトニー・レオンが演じているからまだ許せるが、ほかの人だったら不愉快なだけかもしれない。

 マギー・チャン(「HERO」の飛雪)が出ていることになっているが、確かに出てはいるもののホンの一瞬。これで出ていることになるのかどうかって言うほど短いし、意味がない。なぜ? ろくにちゃんとした脚本もなく撮り始めてしまったから? 5年もかかって途中で集中力を無くし、方針が変わってしまったから? うーん……。

 アパートの屋上のようなところで景色を見たり、一服したりするシーンがあるが、これがどことなく「ムーラン・ルージュ」に似ている。偽りの愛と本当の愛を描いたという点で、ウォン・カーウァイ監督は意識していたのでは、と勘ぐりたくなる。まあ、どっちでもいいけど。「恋する惑星」(重慶森林・1994・香)は良かったなあ。「花様年華」(花様年華・2000・香)も「ブエノスアイレス」(春光乍洩・1997・香)も見てないけど。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は時間を間違えて65分前についたら、誰もいなかった。最初の予定だった45分前ころから人が集まり出して、まもなく20人くらいに。男女比は6対4で男性の方が多く、中心は大学生くらい。

 25分前くらいに開場。この時点では30人くらい。徐々に女性が増えてきて、4対6と逆転。20代のカップルも増えた。中高年は2割くらい。

 最終的には406席の2.5割ほどの入り。少ねぇ〜。まっ、この内容ならしようがないでしょ。


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