2004年10月30日(土)「ソウ」

SAW・2004・米・1時間43分(IMDbでは英版1時間42分、米版1時間40分)

日本語字幕:丸ゴシック体、下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(1.85、with Panavision)/ドルビー

(米R指定、日R-15指定)

http://www.sawmovie.jp/
(全国劇場案内もあり)

アダム(リー・ワネル)が目覚めると、廃屋のようなバス・ルームにいた。しかも足を部屋の片隅に鎖で止められている。部屋のもう一端にはゴードンと名乗る男が同じようにチェーンで止められていた。そして部屋の中央には拳銃自殺した男の死体。お互いのポケットにはメッセージがあり、ゴードンは6時までにアダムを殺さないと家族が殺されるという。

75点

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 怖い。残酷描写はかなりのもの。これがR-15でいいのかは疑問だが、大人向きの映画としてはこれくらいえげつないほうが、異常さが出ていいと思う。もっと言えば気持ち悪くなるほど。この血糊はガン・アクションやできの悪いホラーで流されるものとは比較にならない。怖くて生々しいし、傷みを伴う感じがある。

 冷静になって考えてみると、直接的な表現はあまり多くない。実際に刃物が体に当たって血が出るという表現は、たぶん2ヵ所しかない。それなのに、ほとんどの流血シーンに刺さったところまで想像させてしまうウマサがある。

 そして死が迫る恐怖がある。モンスターなどいないし、できの悪いハリボテの人形が出てくるだけだが、これがまた怖い。もちろん音で脅かすことはない。ただ、音もなく突然現れたりするだけ。ホラーを撮ろうという人は参考にすべきだ。もちろんプロも。

 そしてスゴイのは、ちゃんと謎のヒントを映画の中に入れていること。マジシャンのような絶妙なミスリーディングによって、注意が別な方向に引きつけられているだけ。だから注意深い人というか、猜疑心の強い人には犯人がわかってしまうかもしれない。ただし、それではこの映画は楽しめない。主人公と一緒になってハラハラドキドキしなければもったいない。

 これがオーストラリアの27歳のメルボルン大学の映画学科を出たばかりの若者2人(ジェームズ・ワンが監督、アダム役のリー・ワネルが脚本と出演)で作った映画とは思えない。うま過ぎてベテランの作品という風格さえ漂う感じ。

 どうやら「サンダンス映画祭」や「カンヌ国際映画祭」で上映されたオリジナル版はもう少し長く、残酷シーンが多いらしい。しかしそれでは過激過ぎて上映できないというようなことになって、編集し直したものが全米公開版で、R指定(17歳以下は成人の同伴が必要)に落ち着いたらしい。

 日本ではオリジナル版の上映は東京ファンタスティック映画祭での1回のみとなり、国内一般公開は全米公開版が使用されることになったという。うーん、それだったら見たかったぞ、東京ファンタ。

 想像するに、予告編では(チラシや前売り券でも)メイン・ビジュアル的に切断された足首が使われていたので、それに関係するシーンがあるのではないかと思う。本編では刃を当ててちょっと切り込むところまでで、あとはズボンの裾に隠れて見えないようになっている。

 ちなみに最初からある自殺死体が手に持っているのはS&W・M686の4インチ・モデル。医師の妻と娘を誘拐する男が持っているのは、ガバメントのフレーム・シルバーのコンバット・カスタム。どういう設定なのかよくわからないが、趣味で射撃競技に出ているのかもしれない。刑事のタップ(ダニー・グローバー)が持っているのは、わざとなのか「リーサル・ウェポン」シリーズで相棒のメル・ギブソンが持っていたベレッタM92。医師の妻アリソン(「スパイダー」の美女モニカ・ポッター)が護身用に使うのがワルサーPPK/Sのシルバー・モデル。

 公開初日の初回、池袋の小劇場は45分前についたら15人ほどの行列ができていた。男女は半々で、1人オバサンがいたのを除けばほとんどは18〜25歳という感じ。35分前に25人位になったときに開場。やがて中高年も増え出して、最終的には1〜2割程度に。

 指定席はなく。全席自由。ただしフラットな床なので全席に座高の高い人が座ると×。サイド・スピーカーはあるが、リア・スピーカーはなし。ということは6.1chは再生できないということか。

 最終的に280席の5割りほどしか埋まらなかった。

 非常口灯が上映中消えるのはいい。関係者らしい人が1人というのもいい。しかし温度調節は×。寒い。天気が悪く雨模様だったのだからこんなに寒くする必要あったのか。映画に集中できなかった。

 オリジナル・メニューらしい「おこげ揚げ」はおいしそうだった。こういうのは大歓迎。我慢したが。


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