日本語字幕:丸ゴシック体、下、風間綾平/シネスコサイズ(マスク、Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米R、日PG-12指定)
FBIの潜入捜査官フランク・キャッスル(トーマス・ジェーン)は、捜査の過程で意図せず仲間の1人を失ってしまう。その男が麻薬密売組織のハワード・セイント(ジョン・トラボルタ)の息子だったことから、ハワードはフランクの殺害を命じる。しかしその妻リヴィア(ローラ・ハーリング)は家族の皆殺しを希望し、キャッスル家がプエルトリコで休暇を楽しんでいるところを襲撃。フランク一人が瀕死の重症で一命をとりとめる。フランクは復讐のため父の銃を手に取る。 |
アメリカではすでに続編の製作が決まったという。そこまで良かったかどうかはちょっと疑問だが、いかにもハリウッド的なアクション映画で、逆に言えば安心してみることが出来る。まあ、安心してお金を払ってみることが出来るというか。 ちゃんとキャラクターを描き、有名スターがたくさんでていて、銃撃戦があって、爆発もある。これ以外に何が必要なんだって感じ。感情も動かされる。よく典型的なハリウッドのプロデューサーが口にする内容そのもの。これで美しい女性のヌードでもあればまさにコテコテのハリウッド映画。もちろん美女は出ているが。 ただ、何か物足りない感じがする。いまひとつビンとこない。胸を撃たれていながら生き残って、すぐに復活を遂げるところも納得いかない。オマエはX-メンかっていう。しかも息子を殺された復讐でギャングのボスが刑事を殺そうとし、今度は刑事がその復讐で(復讐ではなく、戒めということになっているが)またボスを殺そうとするというのでは、どこまでいってもどうどう巡り。キリがない。ネバー・エンディング・ストーリーだ。 プロデューサーが元ジェームズ・キャメロンの奥さんのゲイル・アン・ハード。うーん、「ターミネーター」(The Terminator・1988・米)とか「トレマーズ」(Tremors・1989・米)とか「アビス」(The Abyss・1989・米)とか良かったけど……最近はいまいちか。 たぶん、話としては、最初の事件をきっかけとして刑事が闇の処刑人(というか戒め人)にならないと成立しないのだと思う。法律では取り締まることが出来ない悪党どもを戒めるのでなくては、ただの復讐劇で、それは憎しみの連鎖を生むだけでイカン。江戸時代なら仇討ちが認められていたとしても、今の世の中……ねえ。 つまり「戒め」といいながら「復讐」にしかなっていないからいけないのじゃないだろうか。ドルフ・ラングレン版「パニッシャー」(The Punisher・1989・豪)の方がそのあたりは描かれていたと思うが……。 とにかく映画に重みを加えているのはジョン・トラボルタ。さすがに彼がいると厚みが出た気がする。冷酷なビック・ボスなのに妻への浮気の疑いから自らを滅ぼしてしまうという陳腐な役でも、説得力が出るから不思議だ。 そして驚いたのが、ほんのチョイ役で、出てきてすぐ殺される主人公の父役に、あの「JAWS/ジョーズ」(Jaws・1975・米)や「オール・ザット・ジャズ」(All That Jazz・1979・米)、「ブルーサンダー」(Blue Thunder・1983・米)の名優、ロイ・シャイダーが出ていること。どうしちゃったんだろう。嬉しい反面、悲しくもあった。最近はB級ばかりが多かったからなあ。 どんなに大騒ぎして、銃撃戦をしようとも警察さえやって来ないアパートの美しい隣人に、「X-メン」(X-Men・2000・米)や「ファム・ファタール」(Femme Fatale・2002・仏/米)のレベッカ・ローミン=ステイモス。 アクション物に欠かせないもう1人の憎たらしい悪役に、最近よく見かけるウィル・パットという人。主役という感じではなく、名わき役というところだろうか。どちらかというと刑事とかCIAのような役が多いと思うが、本作では悪く見えるように、またゲイに見えるようにヒゲを生やしている。見かけはわざとらしいが、憎たらしさはなかなかのもの。この人、今後もっと出てくるかもしれない。 ぜいたくに派手に暮らすボスの妻は、デビッド・リンチ監督の衝撃作「マルホランド・ドライブ」(Mulholland Drive・2001・米)でナオミ・ワッツと激しいラブ・シーンを演じたローラ・エレナ・ハリング。たしかそのプロモーションで来日を果たしていたと思う。今回はこれまたハリウッドらしい胸の大きく開いたドレスでその片鱗をのぞかせている。 登場する武器としては、「ランボー/怒りの脱出」(Rambo:First Blood Part II・1985・米)のようなアーチェリーが面白いが、出てくるのはちょっとだけ。メインで使うのは父のコレクションだったガバメント・ベースのロング・スライド・カスタム2挺。ショルダー・ホルスターに吊るして、2挺拳銃で撃ちまくる。ただ、めちゃくちゃに撃つのではなく、ちゃんと交互に左右を見ながら撃っていたので、まあ当たるかも。 FBIの特殊部隊はH&KのG36C。対するギャングはPPKとかグロック、イングラム、MP5、M4カービン、KG-9のようなサブマシンガンで武装している。うーん、派手。ほかに主人公はモスバーグのようなソードオフのポンプ・ショットガン、S&Wの44か357の4インチのステンレス・リボルバーをテーブルの下に隠している。 公開2日目の初回、新宿の劇場は40分前に着いたらオヤジが1人。35分前に若いカップル1組、若い男性などで5人に。劇場側が整列に来ないので、てんでんバラハバラ。20分前になってやっと開場した時は、オヤジ3人、若い男性4人、オバサン1人、若い女性1人がさらに加わって14人。 指定席はないが、最前列以外どの席からもスクリーンの見えにくい劇場で、混まないように心から願っていたが、15分前くらいからぞろぞろと人が増え出して、最終的には272席に50人ほど。それでも、前の席に人に座られ移動する人が移動する姿があちこちに。20分くらいで尻が痛くなるし。うーん、つらい。せめて座席が千鳥配列なら……。 女性はトータルで7〜8人ほど。老若比はほぼ半々。 空薬莢が落ちていくというオープニングのアメコミ風アニメとエンディングのスタッフ・クレジットは、ジュリオ・フェラリオという人のデザイン。「ヴァン・ヘルシング」(Van Helsing・2004・米)のタイトルもデザインしているというから、今後ちょっと注目かも。 意外に音が良かったが、ついにここも音はデジタル対応になったのだろうか。 |