2004年11月14日(日)「マルセイユ・ヴァイス」

GOMEZ & TRAVARES・2003・仏・1時間49分

日本語字幕:手書き書体、下、寺尾次郎/シネスコサイズ(マスク、Panavision)/ドルビーデジタル、dts

(仏U指定)

http://www.m-vice.com/


小さな違反を見逃して小遣い稼ぎをしている刑事のマックス(トィトフ)は、新しくパリからやってきた堅物のカルロス(ストーミー・バグジー)とコンビを組むことになった。そして自殺に見せかけてて殺された組織の会計士の事件を担当することになる。手がかりは、事件後失踪した会計士の娘ポリーナ(エロディ・ナヴァール)と、四つ葉のクローバーのマークだけだった。

72点

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 アクション満載でハリウッド張りに派手なアクション映画のバディもの。しかし、そこはヨーロッパ映画。結末はたいしたことなくても、ストーリーはいろいいろひねって屈折したものとなっている。もっと言うと、アクション・コメディなのに事件解決の過程はわかりにくい。もっと笑えたらもっと高得点だったのに。

 たぶんフランスではギャグが受けたのだろうが、日本で字幕で見るとニュアンスが伝わらないので笑えない。というかマジなのか、笑っていいのか、わからないのだ。まじめな顔で皮肉っぽいことを言うので、判断に迷うのだ。これが惜しい。笑おうと思えば笑えるのに、一歩手前でとどまってしまう。

 小悪党のマックス刑事も、どの程度のワルなのか、日本の観客ははかりかねたと思う。日本の警察のレベルから言うと札束を取るような小遣い稼ぎは、相当な悪徳警官だろう。とても許せるレベルではないと思う。だからのっけからついていけないし、笑えない。途中で、あいつは信用できる警官だ、なんて言われても、どうかなあと思ってしまう。フランスじゃ、あの程度は日常茶飯事で犯罪には相当しないということなんだろうか。

 一方、一見堅物のカルロスも、妻の父の遺産だという豪邸に住んでいて、実は影でギャング組織とつながっているらしいというのも??? みんなワルじゃん。

 そうか、これはコミックで、コミックだから許されるのか……。よくわからん。

 ヨーロッパの映画は、ハリウッド映画では見かけない銃器が出てくるのでおもしろい。本作でも、たしかマックスがSIGのSP2003(たぶん日本のスクリーン初登場)、相棒のカルロスがイスラエルIMIのジェリコ。署長はリボルバーの4インチだったから、たぶんフランスのマニューリンだろう。

 ギャングたちはSIG 551カービン(ひょっとしたら特殊部隊向けのもっと短い552もあったかも)にグレネード・ユニットやドット・サイトを付けたもの。後半、助っ人を頼むラスターマンのボスはこれのハンドガードをとっぱらって、シルバーにしたカスタムを持ってて出てくる。

 ポンプ・ショットガンはレミントンの870ぽかったが、似た形は多種あるので何とも判断しようがなかった。

 もちろんグロック、ベレッタM92、MP5といった定番銃も登場するが、M92に至ってはアラブの王室のガードが使う銃みたいに黄金メッキでピッカピカ。

 ほかにも、刑事が証拠の鍵を握る女にわたすリボルバーが。コルト・ローマン2インチのようだったり、ラスト、ボードで逃げるギャングがベレッタM93Rを持っていたり、銃はかなり楽しめる。

 アクションもたっぷり、ストーリーもひねってあって、あとはやっぱり笑えるかどうかだったなあ。

 1つの疑問は、2人の刑事は殺人事件の捜査にあたるのに、なぜvice(風俗犯罪課)なのかということ。公式サイトを見たら、悪徳という意味で使っているらしい。まっ、確かに悪徳警官の話ではあると。

 公開2日目の3回目、15分前に銀座の劇場に着いたら、ロビーには20代くらいの男性が1人。夕方近かったので、ロビーには開いたドアから近くの定食屋の焼き魚の匂いが漂ってきて……どこなんだろう、ここはって感じ。

 15分前に入れ替えとなって、入ったがこの時点では7人くらい。最終的には指定席なしの177席に15人くらいの入り。若いカップル3組、あとはオヤジと20代くらいの男性3対7くらい。

 問題点は2つあって、1つはピント。予告からレンズを変えてシネスコ・サイズになった途端、わずかにピンボケとなってしまった、ずっと最後まで直らなかった。日本語字幕だけがビンとがあっていて、端の方は像が二重になって見えるほど。……やっぱりこの劇場じゃクォリティは期待できないか。

 もう1つは、故意なのか、フィルム全体の色調が黄ばんでいたこと。どうにも気になった。意味あったんだろうか。解像度とかは高いのに色だけが……。

 全体にフランス語のラップが付けられていたが、意外にピタッとはまっていた。フランス語でも合うんだあ、ラップに。


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