日本語字幕:手書き書体、下、根本理恵/2.2ワイド(70mm比率、IMDbでは1.85)/ドルビーデジタル
(韓15指定、香IIA指定)
一本気な女性警官のヨ・ギョンジン(チェ・ジヒョン)は「泥棒」の声に、目の前を走っていった男(チャン・ヒョク)を「違う」という声に耳を貸さず、強引に現行犯逮捕してしまう。警察署で男が高校教師のコ・ミョンウとわかるが、ギョンジンはいっこうに謝る様子はなかった。しばらくして、青少年非行防止の見回りで、ギョンジンとミョンウはコンビを組むことになり、急速に親しくなっていく。 |
主人公の飛び降り自殺から始まるという、昔のフランス映画のような始まり方。 ちょっと涙が……。実際かなり悲しい話。でも、それをジメジメと描かず、コメディ・タッチのラブ・ストーリーにし、アクションもしっかりと入れて、最後には元気が出る映画に仕上げている。それがスゴイ。日本だったら、ただ、ひたすらお涙ちょうだいの映画になってしまうところではないだろうか。そして、POPSからクラシックまで、素敵な曲が満載。なんとX-JAPANの日本語の曲までが、重要な場面で使われている。いやあ、ビックリ。ちょっと悲しいがクリスマス前のこのシーズンに見るには、ちょうど良いかもしれない。 前半はコメディ調が強く、大げさでコテコテのシーンが続くが、中盤から次第にコメディ調が薄くなり、事件がシリアスになってきて、ラブ・ストーリーへと自然に誘導される。そして転調が起こって、アクションは危険度を増し、悲劇へと姿を変える。定石では、ファースト・シーンに戻って、自殺してしまう主人公が描かれて終わる。ところが、本作では、その後の彼女が描かれるのだ。悲しみで破れかぶれになりながら、何度も自殺を試み、しかし、大きな喪失感の中から希望を見い出し、新しい人生のために一歩を踏み出す彼女の姿。そしてタイトルの「僕の彼女を紹介します」という特別ゲスト(たぶん)のナレーションで終わる。いやあ、参りました。印象的なシーンもたくさんある。「雨に唄えば」のように雨の中ではしゃいだり、「タイタニック」のようにてっぺんで両手を広げて風を感じるとか。 前半は緩くても、次第に硬派になってくるとがぜん良くなってきてアクションも気合いが入っている。ラブ・ストーリーだからといってアクションをいい加減に作っていない。銃撃シーンなどかなりリアルで、怖いくらい。音も凝っていてサラウンド感も良好。 韓国警察官の標準装備銃が何か知らないが、この映画では主人公はS&Wのチーフらしきリボルバーで、しかも2インチというショート・バレル。普通4インチくらいのリボルバーを装備しているのではないかと思うが、できるだけ軽いものをという配慮なのかもしれない。ただ、後半では大型拳銃のベレッタM92SBを使って見せるが。 ギャングたちはいろんな銃を使っていたようだが、カットが短くてよくわからなかった。 主役のチェ・ジヒョンは日本でも大ヒットした「猟奇的な彼女」(My Sassy Girl・2001・韓)でスターとなった人。もとはモデルをやっていたらしい。最近、デビュー当時の作品も劇場公開された。やたらに映画に出演せず、作品を吟味して絞っているそうで、本作の前の作品は「4人の食卓」(THE UNINVITED・2003・韓)。彼女の演技は素晴らしかった。さすが女優で、あれとはまったく印象が異なる。 相手役のチャン・ヒョクは、「火山高」(VOLCANO HIGHT・2001・)で主人公の超能力者を演じていた人。これまた全く印象が違う。本作では、ちょっとドジだがとても“いい人”を自然に演じている。ちょっと感じが小泉考太郎に似ているかも。前半のコメディ・パートは「火山高」を彷彿とさせるが。 たぶんゲスト出演で、町のごろつきでビルの間の狭い隙間に挟まってしまう男と、後半にちょっとだけ出てくる救急隊員だか刑事だかの2役を「アタック・ザ・ガス・ステーション」(Attack the Gas Station・1999・韓)や「火山高」でチャン・ヒョクと共演したキム・スロが演じている。 またセリフなしの絵と、ナレーションのみでチャ・テヒョンが出演。いいところを持ってってます。 監督・脚本は「猟奇的な彼女」のクァク・ジェヨンという人。ボクは「猟奇的な彼女」も「ラブストーリー」(The Classic・2003・韓)も見ていないので、コメントする資格もないが、とても映画好きな人なんではないだろうか。随所に良い映画へのオマージュのような部分が感じられた。 公開2日目の初回、銀座の劇場は定員入れ換え制で、先売り券というのを持っていない限り、前売り券を持っていても当日券との引く替えが必要で、55分1Fのボックス・オフィスにはオヤジが4人が並んでいた。エレベーター前には先売り券を持っている人なのだろう、エレベーターが動き出すのを女性も含む5〜6人が待っていた。 寒い日で、雨もかすかに振るような状態。40分くらい前に窓口が開き、エレベーターも動き出す。場内は10席×3列のカバー席も初回のみは自由。ただし、右の列中央の赤いカバーのレディース・シートはどんな時も女性専用。この時点では20人くらい。 30分前くらいになって人が増え出し、50人くらいに。オヤジに若い女性、オバサン、それにわずかに若い男性。下は女性の場合、中学生くらいから。男性は大学生くらいから。上は白髪の老人まで。年齢層を35歳くらいで分けるとすると、半々くらい。男女比は4対6か3.5対6.5くらいでやや女性が多い。 最終的には、540席に3割弱くらいの入り。予告編はあったが、1.66で1.85も上映していたので、上下に黒いマスクが入っていた。シネスコというか70mm比率になってから「バットマン」の予告あり。直前にはHBLのスピーカー・システムのデモも。 上映前に携帯電話の電源を切るようにという(携帯ホタルの)注意と、録音・録画お断りの注意書きが出た。そして画面にあの録画対策ドットが、明るいシーンになると見えてしまっていた。 |