2004年12月18日(土)「エイリアンVS.プレデター」

ALIEN VS. PREDATOR・2004・チェコ/加/独/米・1時間40分(IMDbでは101分)

日本語字幕:手書き風書体、下、林 完治/シネスコサイズ(マスク、Super 35)/ドルビー、dts

(米PG-13指定、吹替版もあり)

http://www.foxjapan.com/movies/avp/
(全国劇場案内もあり)

南極大陸のすぐ近くの小島で、突然、地下600mで熱源が発見された。それがピラミッド型をしていることから、最初に発見したウェイランド社は、世界中からその道の専門家を集めると、社長のウェイランド自信も謎を解明するため600mの地下に降りることにする。

75点

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 面白い。しかし短い。もっと言うと食い足りない。テンポも良く、面白いんだけれど……あまりに短すぎで、ヒネリがたりないし、登場人物のキャラクターもほとんど描ききれていない。一癖も二癖もありそうなのに、ただ出てきて殺されるだけなんて。でも、よくできたアクション映画には間違いない。

 とにかく期待を裏切らない。「エイリアン」(Alien・1979・米)の基本を押さえ、「プレデター」(Predator・1987・米)のコンセプトもきちんと守り、しかも1本の別な冒険談に仕上げて見せた。さすがは「イベント・ホライゾン」(Event Horizon・1997・米)や「バイオハザード」(Resident Evil・2001・独、英、米)のポール・アンダーソン。最近はほかの人と間違われないように、ポール・W・S・アンダーソンと言っているようだが。

 特に畳み込むように南極近くの小島に特別編成チームを送り込むまでのワクワク感がたまらない。これから何が始まるんだという期待感でいっぱいになる。ただ、その後があまりにあっさりしていて、物足りないのだ。予算がなかったのかもしれない。もうひとひねり、いったんモンスターたちの攻撃を回避して、全員がどこかに集まって対策を練り直すような、ブレイク・ポイントを作って、その後意外な展開を見せてからクライマックスへ持っていって欲しかった。

 ジェットコースターで言えば、最初の上り坂と一気に下るところは良かったのに、その後それをはるかに上回るようなアップダウンがなかった感じ。腹八分目がベストということはあるにしても。

 「エイリアン」のコンセプトである女性の主人公としては、今回はイェール出の才女、美人黒人女優のサナ・レイサンが抜擢されている。この人はつい最近「タイムリミット」(Out of Time・2003・米)で不倫相手の人妻役でデンゼル・ワシントンと共演していた。

 てっきり相手役と思った二枚目の考古学者セバスチャンはどこかで見たなあと思っていたら、シルベスタ・スタローンのアクション・コメディ「ザ・ボディガード」(Avenging )に出ていたラウル・ボヴァという人。どちらでもいまひとつパッとしなかったかも。

 ウェイランド社のオーナーを演じたランス・ヘンリクセンはもう堂々としたもので、画面に登場するだけで独特の存在感が漂う。ただ今回はそれだけで、いい味を出しているのにそれ以上が無かったのが残念。てっきりアンドロイドか何かだと思ったのに。彼をモデルにアンドロイドが作られたということか? ビショップっていうミドル・ネームが入っているし。でもなあ、活躍してないし。

 「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」(Charlie's Angels: Full Throtlle・2003・米)の悪役、顔に傷のあるクセものキャラクターのトミー・フラナガンも何もないままやられちゃうし、ボーイッシュな髪形で遺跡(?)に武器のM92をあからさまに持ち込む女性隊員アデルを演じたアガト・ドゥ・ラ・ブライユもかつやくしないし。特殊部隊の隊長は「バイオハザード」でも特殊部隊の隊長を演じた、コリン・サーモン。これだけのキャラクターがいながら、もったいない。

 武器は特殊部隊が最近定番のG36C。そしてサイドアームがモンスター・ガンのデザートイーグル。しかしプレデターが持っている武器の方が面白く、自然に絞まっていく獲り網(?)によって網の目に傷ついたエイリアンが後々まで出てくるのがいい。

 プレデターの使う赤い文字が緑のアルファベットに変わるスタッフ&キャストの見せ方はうまい。クレジットではタイトルはモモコ/マクガフィンとあったようだが。

 公開初日の3回目、新宿の劇場は65分前でロビーに5人ほど。若いカップルと若い男の子。45分前から列を作るように案内があって、この時点で30人くらい。15分前に入場となったが、なんとすでに指定席なしの406席の3.6割程が埋まってしまった。下は小学生から、上は白髪の老人までいたが、メインは高校・大学生くらい。8割は男性だった。まっ、当然か。

 10分前に406席がほぼ満席。凄い人気。うーん、やっぱりわかりやすいってことと、「バイオハザード」でも若者に大きな支持を得て実績があるということなんだろう。劇場の係員は空いている席に物を置かないよう注意して歩き、空いている席があると「こちら1名様どうぞ」と声を掛けていた。なかなかよろしいんではないだろうか。気持ちが良かった。

 それにしても、これだけの話題作を封切る劇場がいずれもあまりパッとしないというのはどうだろう。できればこういう作品は大きなスクリーンで、デジタル・サウンドで見たい。


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