2004年12月25日(土)「エヴァンジェリスタ」

BLESSED・2004・ルーマニア/英・1時間35分

日本語字幕:手書き書体、下、風間綾平/ビスタサイズ(1.85)/ドルビーデジタル

(米R指定)

公式サイトなし

ニューヨーク、子供に恵まれないクレイグ(ジェイムズ・ピュアホイ)とサマンサ(ヘザー・グラハム)は医師の勧めに従い1カ月の休暇を取って、車で2時間ほどの郊外にあるレイクビューに家を借り人工授精の手術を受ける。めでたく妊娠したサマンサだったが、その子供には遺伝子技術を使い、保存されていた殺された天使、ルシファーの血が混入されていた。

65点

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 スバリ、一言でいえば出来の悪い「ローズマリーの赤ちゃん」(Rosemarry's Baby・1968・米)。そしてスケールの小さな「オーメン」(The Omen・1976・米)。なんでも製作中の仮タイトルは「サマンサの子供」だったそうで、ますます「ローズ……」を目指したのではないかと思えてくる。が、もちろんそこまで達していない。日本の公式サイトどころかイギリスにさえサイトがないのが、製作会社の力の入っていなさを証明している。ただ、その後もこの作品の監督は映画を撮っていることの方が理解できない。これでは期待できないだろうに。脚本のせいということか。IMDbではなんと3.6点という低得点。

 せめて、ちゃんと物語は完結させてて欲しかった。やりっぱなしはいけないと思うのだが。謎をいくつもちりばめながら、その答えを用意しておかないのは、卑怯というか続編を作るつもりだったのか。この程度の出来では続編は無理だろう。わずか95分の作品なんだから、せめて110分くらいにして(観客が寝てしまうかもしれないが)ちゃんと落とし前くらいは着けて終わって欲しかった。

 主演が、あのただのH映画「キリング・ミー・ソフトリー」(Killing Me Softly・2001・英)のヘザー・グラハム。当然ベッド・シーンはあるがごく普通でありふれたもの。「オースティン・パワーズ」(Austin Powers: The Spy Who Shagged Me・1999・米)までは良かったのに。今回もなんだか普通。ただ、彼女が出ていなければ本作は見どころがないかも。

 夫役が「バイオハザード」(Resident Evil・2001・独、英、米)で“ハイブ”の入口警護のためミラ・ジョボビッチと偽装結婚していた裏切り者を演じたジェイムズ・ピュアホイ。

 ゲスト出演のようにちょっとだけ出てきて存在感を見せるのは、「ロード・オプ・ザ・リング」(The Lord of the Ring・2001・米、ニュージーランド)で3D-CGのゴラムの元を演じ、「デス・フロント」(Deathwatch・2002・英)でエキセントリックな兵士を演じてうまい人だとよくわかったアンディ・サーキス。

 監督はなんと、これが劇場長編映画初監督のサイモン・フェローズという人。うまいのか、ヘタなのかよくわからないが、確かにサスペンスな感じは良く出てていたとは思う。この脚本でもよくぞここまでということか。プロデューサーか製作会社の受けが良かったのか、新作が2本ほどあり、1本はポスト・プロダクションに入っているウェズリー・スナイプス主演の「7 seconds」、もう1本は2003年にアナウンスされ、いまだ進行していないらしい「Malice in Sunderland」。本当に製作されるのだろうか。

 1番の問題は予算だったのかもしれないが、次に問題だったらしい脚本は、ロバート・メアーンズとジェイソン・ロスウェルの2人。ロバートは初めての脚本で、ジェイソンは監督作品もある人だが評価はあまり高くない。

 なぜこの組み合わせで映画が実現したんだろうか。誰か一人飛び抜けた人がいるならわかるのだが。

 公開初日の初回、30分前に銀座の劇場に着いたら、ちょうど開場したところ。クリスマスとは言え7〜8人は寂しいかも。逆にこの程度という見方もあるかもしれないが。中年の夫婦が1組。

 なぜかこのガラガラ状態でもぴあ席が1席あったが、結局誰も座らなかった。ほぼ真ん中あたりにあったが、この劇場の場合、混んだらどの席に座ってもスクリーンはよく見えないのだ。前の席を空席にしてくれるというのなら意味があるかもしれないが。

 最終的にはヘザー・グラハム作品ということか、130席の7割ほどが埋まった。男女比はほぼ半々。上は老人までいたが、中心は20代後半。

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