日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、ARRI)/ドルビーデジタル、SDDS
(米PG指定)
1903年、ロンドン。劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は新作でさんざんな批評を浴びてしまう。そしてひとり公園に散歩に出かけ、デイヴィス家の父を失った幼い4人の兄弟と、その母親で未亡人のシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)と出会う。ジェームズは少年たちの心を癒そうと想像力を使って遊びをしようと持ちかける。やがてみんなと打ち解けたジェームズは、一家をモデルに奇想天外なおとぎ話の脚本を書き上げる。 |
IMDbで8.3点という高得点。確かに泣ける。少なくとも3回くらいは涙が流れた。ただし、全体に割と単調で、あくびが出たのも事実。前に座っていたオバサンは途中で寝てしまったほど。涙も感動というよりは、単にかわいそうという感情が強いような……。 なぜか日本版は海外版より6分も短いようだが、どこが違うんだろう。かなり気になる。というのも、ラストはちょっと長いかなと思うものの、途中が何か物足りない感じがするのだ。 もちろんジョニー・デップは良い演技を見せるし、心に傷を負った少年ピーターを演じる13歳のフレディ・ハイモアも涙を誘う名演で可憐でかわいらしい。よく子役と動物とは競演するなというが、デップは両方と競演し、堂々主役の座を守り切っている。素晴らしさは少しも損なわれていないのだ。これは凄い。 フレディ・ハイモアはついこの前、「トゥー・ブラザース」(Two Brothers・2004・英仏)で二頭のトラを会わせる重要な役を演じていた子。天才子役と言われているらしい。イギリスっ子らしい礼儀正しさや、奥ゆかしさ、心の奥に秘めた強い感情を持つ感じなどが、ハリウッドの子役とは微妙に違っていい。今後注目だろう。 良いのは、劇中劇となる「ピーター・パン」の舞台。良い年の役者がぬいぐるみを着て犬の役をするところが笑わせる。これをもっとちゃんと見たかった。上映時間が2時間になってしまうかもしれないが、それでももっと見たいと思わせるよい舞台劇だった。ということは、この劇中劇が見足りなかったのか。 監督は36歳のマーク・フォースターという若い人で、ドイツ生まれのスイス育ち。本作の前にはハル・ベリーとビリー・ボブ・ソーントンの競演で話題となった「チョコレート」(Monster's Ball・2001・米加)を監督している。ボクは見ていないが非常に評判が良いようだし、本作の評価も高いとすれば、今後にも期待が持てる。ちょっと重くじめっとしたテーマを選ぶことが多いようだが、決して暗くないところがいいのかも。 ラストには、最近ふたたび使われ出したTHE ENDの文字が。なんか、いいなあ。 公開初日の初回、日比谷の劇場は時間を間違えて25分前についたらすでに開場済み。しまった。もう612席の6割ほどが埋まっている。これってジョニー・デップの人気なんだろうか。でも「シークレット・ウインドウ」(Secret Window・2004・米)なんかあんまり人が入っていなかったしなあ。とすれば「ピーター・パン」人気か。「ピーター・パン」はどうやって生まれたのか、みんなそれに興味があったのかも。 男女比は3.5対6.5で女性が多い。老若比はほぼ半々で、下は20歳くらいからといった感じ。10分前には7割ほどの席が埋まり、最終的には9割ほどの入り。なかなか好調のようだ。6席×4列の高価なプレミアム・シートにも男3人、女3人の6人が座った。こちらはほとんどが中高年。 関係者らしい1団がいたが、あまり場内に入ってこず、それほど気にならなかった。観客としてはこんな感じでやってもらうといいかも。 |