日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/ビスタ・サイズ/ドルビー
(米R指定)
ボスニア紛争で親友を失った元特殊部隊員のディーン・ケイジ(ウェズリー・スナイプス)は、戦争後遺症で任務遂行不適格となり退役した。そして親友の妹でボルチモア市警の刑事エイミー(ジャクリーン・オブラドース)とつきあっていた。ある日、エイミーと待ち合わせのため街の食堂で待っていると、FBIの捜査官と間違われて政府機関から盗み出された開発中の特殊な麻薬を打たれて誘拐されてしまう。 |
IMDbで4.7と低評価。しかも投票たったの423票。でもボクは面白かった。変に芸術ぶったところがなく、B級と割り切って一生懸命観客を楽しませようとしているところが良い。 ウェズリー・スナイプスはたぶん警察沙汰になる事件を起こさなければ一流俳優になっていた人ではないだろうか。「追跡者」(U.S. Marshals・1998・米)あたりまでは良かったのに……。すっかり格闘技とかに目覚めて、私設軍隊まで作ろうとして……映画と現実の区別がつかなくなってしまったのだろうか。 元特殊部隊の隊員というのはハリウッドのB級にありがちな設定で、スティーブン・セガールとかジャン=クロード・ヴァン・ダム、シルベスター・スタローン、ジャッキー・チェンなんかがやりそうな役。ただ、8時間以内に解毒剤を打たないと死に至る強烈な幻覚作用を持ち、暗示誘導のために使われるという特殊な麻薬を持ち出してきたところと、否応なく事件に巻き込まれてしまうという設定に説得力がつけられていて、楽しめる。 しかも夜間に事件が発生し、派手なカー・スタントや銃撃シーンがあるために、規制の多いアメリカ国内ではなく、何と良く使われるカナダでもなく、舞台となるボルチモアの雰囲気に近いブルガリアのソフィアという街で撮影されたという。それで銃器に、たぶん日本のスクリーン初登場のアーセナル・シプカ・サブマシンガンなんていうブルガリアの政府の造兵廠で作っている銃が登場する。これには驚かされた。 しかもヘリにはM134ミニガンが積んであって、「ターミネーター2」(Terminator 2: Judgement Day・1991・米)か「マトリックス リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米)のような掃射もある。狙撃銃はH&KのPSG-1だ。ブルガリアで撮ったおかげか、大作並の予算が銃器関係にかけられている。 たぶんアクション映画としてはうまい作り方なのではないだろうか。前半でストレスをためさせておいて、後半で一気に開放する。カッコいい男と美女、派手な銃撃戦と格闘シーン、カー・チェイスと爆発……だいたいハリウッドのアクション映画はどれも一緒で、これをいかにありそうにリアルに、かつカッコ良く、ハラハラドキドキに描くことができるか。勝負はそこだろう。そして本作はそれに成功している。というか、ボクにはピンときた。 良いアクション映画には、必ず良い悪役がいるもので、本作ではそれが3人。ボスがスチュアート・ウィルソン。「マスク・オブ・ゾロ」(The Mask of Zorro・1998・米)でゾロの敵役を演じた人。その第1の部下でドジばかり踏んでいるピーターソンに、久しぶりの決闘西部劇「ワイルド・レンジ 最後の銃撃」(Open Range・2003・米)でも悪役をやっていたキム・コーツ。ホント憎らしい感じがうまい。そしてその相棒というか下の男もいい。どこかで見た覚えがあるのだが、誰だかわからなかった。これだけ嫌らしい敵役がそろえば、主人公もいじめられがいが、やっつけがいがあるというものだろう。 相手役の美女はジャクリーン・オブラドースという、ヴィン・ディーゼルの骨太アクション映画「ブルドッグ」(A Man Apart・2003・米)で、麻薬組織に殺される主人公の妻を演じていた人。刑事の役なので銃も扱うわけだが、これがなかなかサマになっている。なにだ、キレイなだけじゃなく、アクションもいけるんだ。 監督はイギリスのTV「シャーロック・ホームズ全集」シリーズやアメリカの「スタートレック:ネクスト・ジェネレーションズ」シリーズなど、TV界で活躍してきたデヴィッド・カーソン。劇場作品では「ジェネレーションズ/STAR TREK」(Star Trek: Generations・1994・米)やパトリック・スウェイジが久々活躍したスリラー「ボイスレター」(Letters from a Killer・1998・米)などなかなか面白い作品を撮る人。若干、最初からB級という感じがしないでもないが、TV界のベテランだけにうまいのだと思う。今後映画界での活躍を期待したい。 公開初日の3回目、銀座の小劇場は25分前でロビーにゴマシオ頭のオヤジが3人。その後もやってくるのはオヤジばかり。オヤジは後10本ほどで前回が終わるというのに、わざわざドアを開けて中の人の迷惑になるというのに入っていく。それでまた出てくるんだから何をやっているんだっ。 15分前ほどに入れ換え。この時点でロビーにオヤジが20〜25人。若くて35歳くらいがわずかに1人。女性は0。いや、みごと。 最終的には指定席無しの177席に40〜50人。夫婦2組ほどでようやくオバサンが2人。やっぱりB級アクションはオヤジのものなのか。 予告はラジー賞候補に上がった「アナコンダ2」(面白そう!!)と、これが最後となるのかスティブン・セガールの「一撃」。この前の「沈黙の聖戦」(Berry of the Best・2003。米)が酷かっただけに、次作も酷かったらもう観客が見に来ないかもしれない。内容はほとんど「沈黙の聖戦」と似ているようだが、少なくとも予告では自分で動いているようだし、面白そうな感じもチラリと……。 「渋谷物語」の予告はガッカリ。銃があんなに出てきてアップにもなるのに、いまどきスライドも動かない電着。うーむ。ジャン=クロード・ヴァン・ダム「レクイエム」はなんとやる気があるとは思えない画質のビデオ予告。これじゃ見たくなくなる。逆効果なんじゃないかなあ。 |