日本語字幕:手書き風書体下、大田泰子/ビスタ・サイズ(1.66上映)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米PG-13指定)
東京で大学に通う恋人ダグ(ジェイソン・ベア)について日本にやってきて福祉を学ぶカレン(サラ・ミシェル・ゲラー)は、同級生のヨーコ(真木よう子)が連絡が取れなくなったため、代わりに訪問介護に出かけることになる。その家はかつて一家心中のあった家で、現在はアメリカ人一家が住み、わずかに痴呆の症状がある老婆エマ(グレイス・ザブリスキー)が介護を必要としていた。 |
怖い。でも日本で撮った「呪怨」そのまま。舞台も日本だし、日本で撮影されているし。主人公や主要な登場人物をアメリカ人に置き換えただけ。とは言いつつも、ハリウッドの資本が入っただけあって、日本版よりもかなりわかりやすくなっている。時間の流れは日本版同様に前後させてあるがこちらの方がわかりやすく、エンディングも、ほとんど同じながら、まあ納得はできる終わり方。怖がらせるだけに終始してはいない。作品としてちゃんとまとまったのではないだろうか。 まず最初に文字が出て「呪い」が何か説明される。そしてとても強い呪いの場合、それに触れるだけで呪われてしまうと。なるほど、そういう解釈だったのか。あまり納得は出来ないが、そういうことなら全く関係ない人までが襲われたことの説明は可能だ。ただ、超常現象が起こってもいいが、それが全く関係ない人にまで害を及ぼすどころか殺してしまうのには、ちょっと動機が不足している感じはした。誰にも助けてもらえず、一般の人々に恨みを持って死んだというのならまだしも、勝手な片思いによるイメージだけの(肉体関係どころか言葉さえ交わしたことのない)妻の浮気(というかプラトニックな気持ちの揺らぎ)で、父が一家道連れの惨殺・心中というのは、どうにも納得できない。さらに、それで一家3人が祟って霊として現れて、すこしでも関わってきた人を呪い殺すというのは、ちょっと……。「八つ墓村」で描かれていたような、村八分にされ一村惨殺事件を起こす事件だったら、なんとなく理解はできるが……。 キャストは、主人公のカレンに、なんと「バフィー〜恋する十字架〜」の美女、サラ・ミシェル・ゲラー。プロデューサーを務めるサム・ライミに説得されたらしい。その恋人役は「ロズウェル/星の恋人たち」や「カラー・オブ・ハート」(Pleasantville・1998・米)のジェイソン・ベア。越してくるアメリカ人一家の夫が「サスペクト・ゼロ」(Suspect Zero)にも出ているウイリアム・マポーザー。その妻ジェニファーが「パラサイト」(The Faculty・1998・米)で強烈な印象を残し、「アイデンティティー」(Identity・2003・米)でも目立っていたクレア・デュバル。とばっちりを受けるその姉か妹のスーザンがまもなく公開の「アナコンダ2」(Anacondas: The Hunt for the Blood Orchid・2004・米)に出ている美女ケディ・ストリックランド。さらに痴呆の老婆エマを演じたのは全米騒然のTVドラマ「ツイン・ピークス」で恐るべき妻を演じたグレイス・ザブリスキー。この人、出てくるだけで怖いもんなあ。さらにさらに、自殺してしまう大学教授に「インデペンデンス・デイ」(Independence Day・1996・米)で大統領を演じたピル・プルマンが、かなり長めの日本語にも挑戦しているのだ。おまけに、プロデューサーのサム・ライミの末の弟、「スパイダーマン」2()にも出ているテッド・ライミが、日本の大学の職員を演じ、なかなかすばらしい絶叫を披露してくれている。 日本側は日本版とほとんど同じ配役。あの白塗りの怖い男の子を、三度、尾関優哉9歳が演じている。うまい。さらに、ラストがあまりにもあっけなさすぎるが、事件の捜査にあたるベテラン刑事に、流ちょうな英語を披露していた石橋凌。一家惨殺の上、自殺する父に「ガンコン」へも毎回来てくれるベテラン・バイプレーヤー松山鷹志……そうそうたるキャストなのである。 脚本はスティーブン・サスコで、これが初めての劇場作品らしいが、このわかりやすさはなかなかの手腕かも。2006年公開の続編「The Juon 2」の脚本も手がけるという。ただ「呪怨2」を見ていないので何とも言いようがないが。 公開2日目の初回、新宿の劇場は50分前くらいに着いたら、看板が出ていて開場時間までお待ちくださいとあった。45分前7〜8人に。しかし、別なドアから入って行く人がいるので、おかしいなと思ってドアを押して入ると、下に列が出来て7〜8人並んでいる。あれ……ちょうど係員が上がってきたので「入っていいんですか」と聞くと「ハイ」といウではないか。じゃ、上の看板は一体何? ホントにここの劇場(系列)は客さばきというか接客に問題アリだ。 上で待っていた人達も降りてきて、40分前に30人くらいに。下は中学生くらいから、上は白髪の老人まで。中心は20代の男性で、女性は全体の1/4くらい。オヤジは1/3くらい。 20分前に開場し、場内へ。初回のみ全席自由で、10席×3列の白いカバーの席(この劇場もスクリーンが低く、やや下が見づらいのだが)と10席×1列のぴあ席も自由。だいたい指定でもみやすくないのに、よほど混雑する映画でない限り指定席に座る意味などあるのだろうか。 最終的に763席に2.5割ほどの入り。まあ、日本版と同じ内容だから、前作を見た人は見ないだろうなあ。結論がなくて…… 同じ感想をもつことになるだろうから。ただ、本作の方がわかりやすいが。 予告に「鉄人28号」の新予告があったが、ほとんど3D-CGで、なにか実在感がない感じだが、大丈夫なのか。もう前売りを買ってしまったのに……。 |