日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(by OTTO、マスク。2.2?)/ドルビーデジタル
(米R指定)
1943年大西洋戦線。アメリカ海軍の潜水艦ソードフィッシュ号は、新しい若い艦長サリバン(スコット・カーン)のためにドイツ軍のUボートとの戦闘で撃沈され、逆に救われる羽目に。ところが次の補給でドイツの補給船に引き渡されるはずが、補給船が現れず、アメリカの駆逐艦が現れ爆雷によって片方のエンジンが停止してしまう。やがてドイツ軍の艦長はアメリカ本土が近いことから降伏して乗組員を救おうと決心するが、伝染病によって人員が足りなくなり、捕虜のアメリカ兵の力を借りなければ航行できなくなってしまう。 |
もっとB級かと思ったら、意外にハラハラドキドキおもしろい。パターン通りの結末とはなるが、ちょっぴり感動してあやうく涙が……。ただ映画というよりテレビのスペシャル的な印象はあるが。 敵同士が協力しなければならなくなって、友情まで芽生えるというのは、いかにもアメリカ人好みの話かもしれない。しかしそれが無理なくそうなる設定で、こじつけがないため、そのまま素直に受け入れることが出来る。うまい。 とにかく物語の構成が巧妙だ。米軍の潜水艦は新任の若いやる気満々の艦長を、ベテランの兵士達が迎える。すでにここに対立構造があるわけだ。そして実戦ではなく厳しい訓練ばかりの日が続く。やっと実戦を行える時がやって来ると、逆にやられて捕虜となってしまう。そして、……こんな具合に意外な展開と、対立構造が常に作られ、物語は観客がわずかに追いつけないくらいの早さで展開していく。つまり先が読めない。しかも置いてきぼりにはならない。 ちゃんとドイツ軍側が描かれるときはドイツ語をしゃべっていて、なかなかリアル。普通ならドイツ側はドイツ風なまりの英語が話されるのだが、ちゃんと言葉を分けたところに製作者のスタンスが表れており、好感が持てる。観客に迎合しようとしていないというか。観客を無視しているのとは違う。 配役は地味ながらなかなか豪華。アメリカ海軍潜水艦“ソードフィッシュ”の若い艦長が、「オーシャンズ11」(Ocean's Eleven・2001・米)のスコット・カーン。何とあの名優ジェームズ・カーンの息子だという。 その片腕となるチーフは、「ファーゴ」(Fargo・1996・米)や「カラー・オプ・ハート」(Pleasantville・1998・米)の名バイプレーヤー、ウィリアム・H・メイシー。この人は味のある脇役がうまい。二枚目ではないが、とても個性的な顔で印象に残る。 ドイツ海軍のUボート、U429の艦長に「ドリブン」(Driven・2001・米)のクールなドライバー、ティル・シュヴァイガー。副艦長に「戦場のビアニスト」(The Pianist・2002・仏/独/英/ポーランド)で音楽好きのドイツ軍将校を演じたトーマス・クレッチマン。 紅一点、チーフの美しい妻には、「タービュランス」(Turbulence・1997・米)でガッツあふれるスチュワーデス、客室乗務員を演じたローレン・ホリー。一時期ジム・キャリーとも結婚していたことがある人。 監督はトニー・ジグリオ(All Cinemaではギグリオ)という人で、日本劇場未公開の「サッカー・ドッグ」(Soccer Dog: The Movie・1999・米)で監督デビューしたらしい。しかしIMDbでわずか4.0、しかも投票数がわずかに272票。なぜ本作を撮ることができたのか謎だ。本作の出来はなかなかなので、新作が撮れるのは納得できる。現在ポストプロダクション作業中だそうで、痛快アクション「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏/米)のジェイソン・ステイサム、無軌道若者が体験する恐怖を描いたホラー「ラスト・サマー」(I Konow What You Did Last Summer・1997・米)のライアン・フィリップ、そして最新作「アウト・オブ・タイム」(Unstopable・2004・米)でもアクションばりばりでがんばっていたB級の帝王ウェズリー・スナイプスが出演するアクション・スリラー「Chaos」がそれ。脚本も手がけているそうで、これは結構楽しみだ。 公開初日の初回、銀座の劇場は初日プレゼントがあるということで、用心して45分前に行ったらすでに開場済み。寒い日だったので、これは嬉しかった。プレゼントは個数限定の食玩。軍艦コレクションで、開けてみたらUボートだった。これまた嬉しい。得した。 初回のみ全席自由で、場内にはオヤジが8人ほど。女性は0。30分前になって25人くらいになり、中年の夫婦連れが数組、30代から40代くらいのオバサン1人、20代らしき男性2〜3人。 その後20代の若い女性もちょっと来たが、ほとんどは白髪とゲーハーの目立つ高年齢者。最終的には183席の9.5割ほど、ほぼ全席が埋まった。 例によって、関係者らしい一団が7〜8人。気になった予告編はロバート・デニーロとダコタ・ファニングのホラー「ハイド・アンド・シーク」。ダコタ・ファニングにしか見えないチャーリーが、本当にいるのか、いないのか。なかなか怖そう。そして予告編の作り方がうまい「セルラー」。TVのコマーシャルで見たら2週間の限定公開だとか。面白そうなのに。さすがにラジー賞候補の「世界で一番パパが好き」はビデオ予告。画質が酷い。 |