シネスコ・サイズ(マスク、2.2?)/ドルビーデジタル
(日PG-12指定)
監察医の白川真言(東山紀之)は、半年前に最愛の妻を亡くしていたが、霊が見えるという特殊能力のために事件解決の手がかりを見つけることができ、刑事の四条(哀川翔)に重宝がられて、事件があると司法解剖を白川に依頼してきたため忙しくしていた。そのため白川はあえて、死に際に妻が彼に言おうとしていたこと知ろうとしなかった。しかし、ある事件をきっかけに、白川は妻の死の直前に起きた事件を調べて見る気になる。 |
哀しく切ない話。もちろんメインとなる夫婦間の愛の物語も切ないが、それより母と子のエピソードにこらえ切れず涙が流れてしまった。これは哀しい。小さな子は思いがストレートなだけに、本当につらい。 原作は1998年にフジテレビでも放映された連続ドラマ「きらきらひかる」の原作、郷田マモラのコミック「きらきらひかる」(講談社ミスターマガジン刊)。原作では主人公は女性監察医(ひかる)で、刑事も女性であるが、本作ではどちらも男性に変えられている。それが良かったかどうかは、TV版「きらきらひかる」を見ていないので何とも言えないが、評判はおおむね良かったらしい。ただし、原作は死者の霊が見えるといった超能力は出てこないようだ。監察医研修生の主人公の成長から、人の死や命の尊厳などを描いて行くものだったらしい。おお、原作とTV版が見たくなってきた。 しかし本作の面白いところは、そこに死者の霊が見えるといった超能力を取り入れたことで、それゆえ同時にまた大きなリスクも背負っている。一歩間違えばゲテものになってしまう恐れもある。それをどうにか回避して、映画らしいサスペンス・スリラーにすることに成功している。そこがうまい。 ただ、この結末はどうなんだろう。わざわざ霊になって戻って来てまで伝える必要のあったことなんだろうか。ここに疑問が残る。伝えたかった本人は心残りが亡くなってスッキリしたかもしれないが、そんなことを伝えられた主人公はどうすればいいのか。これから希望を持って生きていくことが出来るのか。映画はとてもあいまいだ。ボク個人としてはどんなに悲惨で哀しい話でも、希望を描いて欲しいなと思う。立ち直る力、諦めない心、強く歩み出していく姿を描いて欲しいと思う。 監督は「踊る大捜査線」の脚本家、君塚良一。脚本も自身が手がけている。「踊る……」はとても面白いと思うけれど、「恋人はスナイパー」はどうなんだろう。ボクにはよくわからない。本作は悪くないと思う。エンディングというか、メインの謎がどうにも……なだけで。 キャストはとにかくスゴイ。スゴイのになぜ劇場が銀座以外はイマイチなのか。 まず主役が少年隊の東山紀之、その妻が和久井映見、親友らしい刑事が「ゼブラーマン」(2004)で新境地を開いた感じの良い味を出している哀川翔。同僚の監察医にさばさばした男のような感じのキャラを出している室井滋。新米監察医に、まだまだ子どもだと思っていたらHシーンまで演じていたベッキー。幼児虐待の母に河合美智子、重要な舞台となるギャラリーのオーナーに小堺一機、浮気相手に別所哲也、刑事のボスに佐野史郎。娘に死なれた父に武田鉄矢、妻が務めていた大学の上司にオペラ歌手の中島啓江……。という具合で、豪華。 これだけ豪華でも、あまり単なる顔見せというふうに見えないのは、さすが本職、脚本家。 公開2日目の初回、銀座の劇場は50分前で4人。3人は中年で、1人が20代。全員男性だった。45分前オバサンもやってきて、中年の夫婦も並び10人くらいに。40分前には20人くらいになり、男女比が半々に。 35分前に開場し、初回のみ2F席も含めピンクのカバーのレディース・シート以外、全席自由。2Fにはぴあ席が11席×1列あったがそれも自由。 最終的に189席の2階席には40人くらいの入り。意外に少ないかも。土曜が舞台あいさつがあったというから、昨日はこの銀座の劇場は大変なことになっていたのだろう。その反動か、今日はちょっと寂しい感じ。 予告は「亡国のイージス」に、いよいよイーストウッドの「ミリオンダラー・ベイビー」、3D-CGロボットが活躍する「ヒノキオ」のちゃんと動く予告編が。ジム・キャリーの失恋の記憶を消してしまうお話「エターナル・サンシャイン」は見たいかも。 |