2005年2月26日(土)「セルラー」

CELLULAR・2004・米・1時間35分(IMDbでは94分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(マスク、Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://www.herald.co.jp/official/cellular/index.shtml
(全国劇場案内もあり)

高校の生物の教師ジェシカ(キム・ベイシンガー)は、ある朝、突然侵入してきた謎の男達にさらわれ、どこかの部屋に監禁されてしまう。早くアレのありかを言えという。彼女は全く身に覚えが無く、知らないと答えると息子を誘拐すると出ていってしまう。彼女は壊された電話機をいじって、とにかくコードをでたらめにつないで、何通りも試しているうちに、ある若者ライアン(クリス・エバンス)の携帯につながる。

75点

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 はらはらドキドキ、ついつい物語に引き込まれて手に汗握ってしまった。ハリウッドらしいある種パターンの映画なんだろうけれど、物語の核となる携帯電話の使い方がとにかくウマイ。だから話に引き込まれるのかもしれない。

 事件の鍵となる「アレ」とは、実はヒッチコックのいうマクガフィンと同じ。物語上、実は何でも良いのだけれど、ちゃんと納得いくものにされているからエライ。

 こういう類いの話は、重要な登場人物にあまり有名な俳優を使うと失敗する。役によって展開が読めてしまうからだ。ところが本作は大物は誘拐される主婦で高校教師のキム・ベイシンガーだけ。途中で、まさか誘拐犯よりもしたたかで悪いのはキム・ベイシンガーだったりして……と思わないでもなかったが、もしそうなっていたらかなり評価は低くなっていただろう。良かった、ヘンなヒネリがなくて。ちなみに誘拐犯たちが持っていたのは、たぶんIMIのジェリコ941。

 とにかく良かったのは、偶然にも電話がつながってしまう相手ライアンに、ほとんど無名のクリス・エバンス。どんな人か誰も見当がつかないので、先がどうなるか全く読めないのだ。最初ナンパをしているあたりは、本当にバカな若造にしか見えないが、自分の携帯に電話を受けてからは一生懸命、素性のしれない相手を助けようと奔走する。そのひた向きな感じに好感が持て、いつしか応援してしまう。これは演出もあるだろうが、クリス・エバンの持ち味でもあるのではないだろうか。

 ライアンがよりをもどそうとする美女はジェシカ・ビール。なかなか怖かった「テキサス・チェーンソー」(The Texas Chainsaw Massacre・2003・米)で、最後まで薄いタンクトップ一枚で逃げまくっていた人。近々公開されるだろうウェズリー・スナイフプスの吸血鬼映画「ブレイド3」(Blade: Trinity・2004・米)にも出ているらしい。期待したい。

 誘拐犯のリーダーは、気持ちの良いアクション「トランスポーター」(The Transporter・2002・仏/米)のジェイソン・ステイサム。快作アクション「ミニミニ大作戦」(The Italian Job・2003・米/仏/伊)でもさわやかな役だった。その彼が初の(?)悪役に挑戦。みごと怖い役を演じ切っている。使っていた銃は、たぶんあの銃口の大きさは.45口径だろうから、S&WのM4506ではなかっただろうか。新作も多数控え、これからますます活躍しそうだ。

 唯一、警察側でライアンの言葉を気にしてくれるのが、怖いミステリー「ファーゴ」(Fargo・1996・)や、心が暖かくなるファンタジー「カラー・オブ・ハート」(Pleasantvill・1998・米)、最近「Uボート最後の決断」(In Enemy Hands・2004・米)にも出ていた、ウィリアム・H・メイシー。この人、決して派手ではないが、どこにもいそうでいて独特の味のある感じが良い。本作ではベレッタM92Fを片手にリアルな撃ち合いも見せてくれる。

 うまいなあと思うのは、途中で電池が無くなったり、ビルの中やトンネルなどで電波が切れそうになったり、実際よくある携帯のトラブルを良く取り込んで物語を展開させて行っていること。だれでも経験があるだろうから、ライアンやつながっているジェシカの気持ちがよくわかるのだ。しかも、偶然につながった電話で、ジェシカの方は壊れているから、一度切れたら二度とつながらないという制約がある。これでハラハラ度は一気に高まっている。面白い。

 ラスト近くに、ジェシカは生物の教師というメリットを活かして、犯人の1人の動脈を切って逃げようとする。なんでも人間には表面に出ている動脈は5本しかないそうで、その1本を切ったというのだ。そうなのか。でもあと4ヵ所ってどこだろう。

 公開初日の初回、銀座の劇場は45分前でオヤジが7人。風の強い寒い日で、長時間待つのは辛い。と、間もなく係員が現れて当日券と前売り券の列をわけた。この時点で、当日券3人、前売り券10人。

 寒いことを配慮してくれてか、40分前に早々と開場。良かったあ。思わずホット・コーヒーをオーダーしてしまった。初回のみ6席×4列のプレミアム・シート以外全席自由。この時点で20人くらい。若いカップル1組、オバサン3人と女性もやや増えた。

 20分前に30〜40人。ほとんど中高年。女性は2割くらいだろうか。30代以下は2人という感じ。最終的には612席に3.5割くらいの入り。席は結構空いているのに最前列で見ている人がいたが、なぜなんだろう。疲れると思うが。

 カーテンがある劇場で、開演で左右に開く。やっぱり雰囲気があっていいなあ。


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