2005年3月19日(土)「エターナル・サンシャイン」

ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND・2005・米・1時間47分(IMDbでは108分)

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(Ariflex、1.85)/Fuji Reala 500D/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定)

http://www.eternalsunshine.jp/
(全国劇場案内もあり。音に注意)

ケンカ別れした恋人のクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)が自分の記憶を消してしまったことを知ったジョエル(ジム・キャリー)は自分も記憶を消す処置を受けることにする。しかし、処理が始まって彼女との過去のことを1つ1つ思い出して行くうち、いいい思い出がいくつもあり、消したくないと抵抗を試みるが……。

70点

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 ほとんど全編が手持ちカメラで撮影したような感じで、とってもインディペンデントな感じのする作品。良い悪いの前に好きか嫌いかで評価されそうな気がした。ボクはあまり好きではない。アメリカでは大変受けたようで、IMDbでも8.6という信じられないような高得点。でもアメリカの人とは「シャーク・テイル」のように笑いのツボが違うし、「The Juon 呪怨」のように恐怖のツボも違うので、同じように感じられなくてもしようがないように思えるが。

 記憶を消すという面白い設定を使いながら、ただの恋愛映画の域を超えていないところが、現実味があって(感情移入できて)いいところでもあり、小さな話にまとまってしまう残念なところでもある。好きか嫌いか。想像でいうと女性は好きで、男性はそうでもないかも。

 いずれにしても、きわめて「マルコヴィッチの穴」(Being John Markovich・1999・米)風ではある。これは別にわざわざコメディアンのジム・キャリーを使う必要はなかったのではないだろうか。ほとんどギャグもやらないし。ジョン・キューザックあたりが良かったのではないかと思ってしまった。まったく余計なお世話だが。ただ、ジャッキー・チェンによれば、ハリウッドの監督は「君を変えてみせる」が常套句らしいから、あえてコメディアンにギャグをやらせないということにこだわったのかもしれない。

 記憶から彼女が消されていくシークエンスは興味深い。周りが暗闇になって、彼女が引きずられるように消えて行ったり、あるべきはずのものがどんどんデジタルで消えて行ったり、面白いビジュアル表現が随所にあった。手持ちカメラ並にいつも揺れているので、これはロトが大変だったことだろう。

 でもなぜ全編が手持ちカメラなのか。軽い車酔いのような状態に観客をするためか。カメラが止まっていることは最後までなかった。フィクストでも微妙に揺れている。自主作品のようで、ドキュメンタリーのような感じを狙ったのかもしれない。でも、どうなんだろう。照明もそのコンセプトから行くと、ビューティ・ライティングはしていないようだ。スポットライトなど、あえてわざとらしい照明効果を出す時以外、ほとんどアベイラブル・ライティングで、全体的に暗いしキレイでもない。

 しかし、特殊効果部分はわざとらしいし、お話としてもファンタジー、大人のおとぎ話的なのだから芝居的な照明でキレイに作っても良かった気がする。単に予算を節約しただけかもしれないが。

 クリニックの受付嬢を演じている「スパイダーマン2」(Spider-Man2・2004・米)のキルステン・ダンストはめちゃくちゃキュートに撮られている。逆に「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイライジャ・ウッドは一転してセコイ男役。これは損な役回り。

 公開初日の初回、銀座の劇場は初日だけなのか大きい方の劇場に変更されていて、65分前についたら9人の列。女性が5人。20代後半と中年が半々。55分前に15人くらいになり、なんとここで開場。はや! ついついコーヒーをオーダーしてしまった。

 初回のみレディス・シート以外全席自由。2階席189席もすべてOK。15分前から場内案内の上映が流れ、10分前の時点で2階席は5割ほどの埋まり具合。最終的には2階席は6割ほどの入り。

 韓国映画「コックリ」さんの予告が始まったが、これだけでも充分怖い。


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