2005年3月27日(日)「ハウス・オブ・ザ・デッド」

HOUSE OF THE DEAD・2004・加/米/独・1時間30分

日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(Super 35)/ドルビーデジタル、dts

(米R指定、日PG-12指定)


http://www.nikkatsu.com/movie/HOD/index.html
(全国劇場案内もあり)

たくさんの若者たちが、現地の人々が「死の島」と呼ぶ孤島でパーティがあるということで集まってきていた。その中の1グループは遅れてやってきたため、連絡船が出た後だった。しかたなく近くの漁船の船長、カーク(ユルゲン・プロホノフ)に大金を払って乗せて行ってもらうことにする。ところが、島に着いて見ると、パーティの跡はあったが誰もいなくなっていた。

67点

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 これは……内容はほとんどなし。オリジナルのセガのゲームを原作というかインスピレーションに作られたというだけあって、「生きている死体」をとにかく気持ちよく次から次へと素手、拳銃、小銃、グレネード・ランチャー、手りゅう弾、ダイナマイト……などによって倒す快感がメイン。若い女のハダカと暴力……超王道B級映画。もっと言えば低俗。あまりに徹底していて、観客の方が恥ずかしくなるくらい。それにしても、IMDbで3,700人もの人が投票して、たった2.3点という驚異の低評価はめずらしい。

 問題は監督に負う部分が大きいと思う。ドイツ生まれの若手でウーヴェ・ボルという人。2000年にハリウッド進出したらしいが、その作品はほとんど日本公開されていない。必要もないのに女性の胸を露出するなど、志の高さがまったく感じられない。観客に受けるだろうと勝手に信じていることをいろいろ入れて、観客さえ呼べればいいと思っているのではないかと疑いたくなるほど。

 それでも次回作は決まっていて、またゲーム原作のものになるんだとか。いいのかなあ、新作撮らせてしまって。勢いだけはあるのは確かだけど……。

 驚くことに、「Uボート」(Das Boot・1981・独)の艦長を演じたユルゲン・プロホノフが漁船の船長で、カークという名(ヘタなジョーク)で出てくる。どうしちゃったんだろ。もうすっかりB級映画のベテランって感じになってしまったようだが。

 理由は不明だがわざわざ上着を脱いで下着状態のようなカッコになるヒロイン(?)に、オナ・グローアーという人。銃の撃ち方はさまになっていたが、あまりスクリーンでは見かけない。TVとかVシネで活躍してきたらしい。ハル・ベリーの「キャットウーマン」(Catwoman・2004・米)にも出ていたらしいが気付かなかった。いや、見た顔だとは思ったが、どこか全く思い出せなかった。

 もっと辛いのが主人公らしい男性。本作の中ではチンピラかケチなストリート・ギャングに見えてしまって、どうにも同情的に見られなかった。もっと観客が助けてあげたいと思うような優男か、むしろ逆にマッチョでガンガン、ゾンビをぶっ飛ばしてくれそうなシュワルツェネッガー・タイプにするか、どっちかでないと、主人公としては押しが弱いのではないだろうか。運命(死神)に追われる恐怖を描いた「ファイナル・デスティネーション」(Final Destination・2000・米)とその続編「デッドコースター」(Final Destination 2・2003・米)に出ていたらしい。

 とても都合の良いことに、犠牲者となる若者を島まで乗せてくれた漁船のカーク船長は密輸をやっていて、ヤクばかりか銃器までごっそり積んでいるのだ。しかもカーク船長ご本人はデザートイーグルなんていう、普通の人が使いそうもないどデカイ拳銃を持っていて、果てにはリボルバー・タイプのグレネード・ランチャーまで持ち出してくる。一体このオッサンは何ものなんだ!

 生き残った若者たちは、木箱に隠されていたそれら密輸の銃を手にするわけだが、ベレッタM92はいいとしても、フルオートで撃っていたと思うがM93Rとか、イングラム・サブマシンガンまでずらりと揃っている。まあ映画的には、こういった圧倒的なパワーを持つ武器で、情け容赦なくすでに死んでいる死体をガンガンやっつけてくれないと面白くないわけだが。

 カーク船長を疑って追ってくる警官はM92のステンレス・モデルだったと思うが、ほかにM16A2まで持ってくるのだ。いったいそれほど武装してまで当たらなければならない容疑者を、女性警官たった1人で、しかも夜に、追うか?

 しかもゾンビを撃ちまくるゲームの映画化ということで、とにかく撃ちまくる。一部でマガジン・チェンジもしたりするが、1匹(?)の間近にいるゾンビにフルオートで10発くらい撃ち込んだりするのはタマの無駄なんじゃないの。まだまだ、うんざりするほどわんさかとゾンビがいるっていうのに。弾を大切にしろよ、と思わず言いたくなってしまうほど。それで、終わりの方になってついに弾の残りが少ないとか言い出して、当たり前だっての。

 公開2日めの初回、40分前に着いたら新宿の劇場は7人が並んでいた。全員が男性で、若い人の方が多い。やはりゲームの映画化ということだからだろうか。オヤジはわずかに2人。

 20分前になってようやく開場。この時点で20人くらい。1/4ほどがオヤジだった。最終的にはスクリーン小さめのアナログ音響350席に2〜2.5割ほどの入り。女性は20代中ころとおぼしき1名のみ。この内容ではしようがないだろう。


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