2005年4月16日(土)「コンスタンティン」

CONSTANTINE・2005・米・2時間01分

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコタ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定)


http://constantine.warnerbros.jp/
http://constantine.warnerbros.jp/japansite/index.html(日本限定サイト) (日本限定サイトには全国劇場案内あり)

エクソシストとして活躍するコンスタンティン(キアヌ・リーブス)は、双子の妹が死亡した事件で自殺ではないと主張する女性刑事のアンジェラ(レイチェル・ワイズ)の訪問を受け、地獄から来た悪魔の仕業だと説明する。まったく信じないアンジェラだったが、超常現象を目にし事実を受け入れる決心をする。ちょうどそのころ、天国の勢力と地獄の勢力の人間界におけるバランスが崩れようとしていた。

76点

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 驚くべきビジュアル。それだけでも見る価値はあるが、それを含む世界観が素晴らしい。さまざまの宗教的(キリスト教的)概念や遺物をうまくとりいれて全く違う異世界を作り上げている。それは、神のいる世界である天国と悪魔達のいる地獄の間に人間界があって、人間界には神も悪魔も直接入ることはできない。ハーフ・ブリードと呼ばれる半分人間のもののみが人間界に存在することができる。しかし規律を守らないものは、コンスタンティンが容赦なく地獄へ送り返してしまう……そんな世界。

 感動するとかいうのとはちょっと違うが、2時間の間、信じられない様なその異世界を体験し、正と邪の戦いを目撃する。たいていは世界観がステレオタイプだったり陳腐だったりしてなかなかのめり込めないものだが、本作はトリップできる。

 画面のあちこちにキリスト教的なものがちりばめられているようだ。シンメトリーな構図、十字架の配置……結構怖い。冒頭の悪魔払いはまさに「エクソシスト」そのもの。天国は出てこないが、「ターミネーター2」のジャッジメント・デイの後、原爆が投下され廃虚となった街のような景観で、セピア調の色でいつも強い風が吹いている地獄もちゃんとある。そして磔にされたキリストの体を貫いたという槍、「運命の槍」(別名「聖なる槍」またはエヴァンゲリオンで有名な「ロンギヌスの槍」)、バルサザール、堕天使ルシファーに大天使ガブリエル……。多少日本人的には難しい部分があるかもしれない。

 面白いのはコンスタンティンが使う武器。ベースはリボルバー・タイプのグレネード・ランチャーだ。これが最初にスクリーンに登場したのはたぶん「ワイルド・ギース」(The Wild Geese・1978・英)だったと思うが、迫力がありまさに映画向き。これを金色にして十字架の形状を取り込んだと。連射する時はシリンダーごとチェンジするところもカッコいい。公式サイトによれば、“ストリート・スウィーパー”という銃がベースになっているそうで、発砲用が2挺、プラスチックのダミーが2挺、ゴム製のアクション用が4挺が作られたという。デザインは美術監督とともに小道具担当のカーク・コーウィンが行い、製作には8人で7週間かかったとある。これを気に入ったキアヌー・リーブスは、撮影終了後に1挺追加注文し、監督に贈ったのだとか。

 一方、女刑事アンジェラが使う銃はS&Wのオートマチック。ちょっと小型の6906だったような気もしたが4516かもしれない。S&Wはとにかくわかりにくいんで……。使っているPCはどうやらPowerBook。

 主役のキアヌ・リーブスとヒロインのレイチェル・ワイズは以前にも「チェーン・リアクション」(Chain Reaction・1996・米)で共に逃げる役で共演している。監督はミュージック・ビデオ界で活躍し、最優秀監督賞をはじめ数々の賞をモノにしたフランシス・ローレンス。劇場長編映画はこれがデビュー作。ビジュアルの凄さは折り紙付きというわけだ。世界観の構築もミュージック・ビデオで鍛えたものだろう。これに感動的なドラマ作りが加われば、最強の監督が誕生するかもしれない。今後に注目したい。

 ちなみに原作はDCコミックの大人向けバーティゴ・レーベルの「ヘルブレイザー」シリーズだとか。

 コンスタンティンが蜘蛛をコップに閉じこめ、タバコの煙を吹き込んで「ようこそ、オレの世界へ」と言うシーンがある。しかし、これは予告編で使われたカットのアングルと違っていた。おそらく何パターンか撮影され、予告編の監督にはそのカットが渡されたのだろう。本編では監督は別なものを選んだと。そうなんだ。

 エンド・クレジットが出るとすぐに席を立ってしまう人が多いが、すべてのクレジットの後に「えっ、そうだったの」というカットあり。これを見なくても大勢に影響はないが、見ることでもうちょっと笑顔で劇場を後にできると思う。場内が明るくなる前に出るのは、一見「ツウ」っぽいがホントは映画を良く知らない人がやること。もったいない。

 公開初日の初回、銀座の劇場は60分前についたらちょうど開場するところ。えっ、は、早い。2階席も自由で、この時点で30人くらい。1階のレディース・シート以外すべて自由。2階には後方の中央11席×1列がぴうせきのカバーがかかっていた(ここも自由)。8割は20代という感じで、みな若い。女性は1/4〜1/5くらい。

 60分もあるので、またまたコーヒーを買ってしまった。うむむ。できればもっとウマイ、本当の入れ立てレギュラー・コーヒーが飲みたいけど……。

 スクリーンにカーテンはなく、1.66でセットされていた。15分前から場内案内が上映されるかららしい。30分前で2階は3.5割くらいの入り。15分前で6.5割、最終的には7.5割の入り。男女比は7対3くらいで、老若比は1対3くらい。若い人が多かった。


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