2005年4月16日(土)「インファナル・アフェアIII 終極無間」

Wu Jian Dao 3(Infernal Affairs 3: End Inferno)・2003・香・1時間58分

日本語字幕:手書き風書体下、監修・鈴木真理子、翻訳・松浦美奈/シネスコ・サイズ(レンズ)/ドルビーデジタル




http://www.infernal.jp/index_top.shtml
(全国劇場案内もあり)

潜入捜査官のヤン(トニー・レオン)の殉職事件の後、内務調査部のラウ(アンディ・ラウ)は査問にかけられ無罪となったものの数カ月の庶務部配属を命じられてしまう。やがて内務調査部に復帰したラウは、捜査対象者リストの中から保安部のエリート、ヨン警視(レオン・ライ)がまだ署内に残っている組織のボス、サム(エリック・ツァン)の派遣した潜入スパイの1人ではないかとにらみ、捜査を開始する。

75点

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 とても志の高い映画だと思う。たんなるエンターテインメントではない。といってお涙頂戴のメロドラマでもない。潜入(インファナル・アフェア)という警察と犯罪組織両方にとって過酷で必ず裏切らなければならなくなる仕事は、携わったものを無間地獄へ落としてしまう。決して幸せなものではないが、結末はちゃんと付けられる。これが結構辛い。かかわったもの、誰もが不幸だ。

 ただ、過去と現在が交錯し、時間の流れが非常に分かりにくい。最大の原因は表現や演出といったことよりも、単に公開年が香港では2003年だったものが日本では2005年に公開されているためだ。「現在」の話は2003年と出るから2005年の日本の観客はそれ自体も過去に見えてしまう。2002年の過去の話も2005年からすればどちらも過去だ。たいして違わないからごっちゃになってしまうのだ。

 簡単に言えば、1、2、3と間が開きすぎて細部まで覚えていないのだ。だからその細部を活かして続編とされているものを見ても、いまひとつピンとこない。また興味もそこまで持続できない。ボクは直前に1のTV放映を見てから劇場に行ったのだが、それでもやっばりピンとこないところがあった。これは惜しい。それに2の若い頃の話の役者がトニー・レオンとアンディ・ラウに似ていないから、よけいにこんがらがる。名前も顔も覚えにくい。ラウと別れると話しているマリーは、いったい誰だったか。ヤンが1で街ですれ違う子連れの女はどうなったのか。

 トニー・レオンとアンディ・ラウがいいのは当然として、今回は保安部の冷酷なまでにクールなエリート、ヨン警視を演じたレオン・ライがいい。イーキン・チェンと共演した「ヒロイック・デュオ 英雄捜査線」(双雄・2003・香)も良かったが、本作もなかなか。

 また、本土から来たというギャングのボス、シェンを演じるチェン・ダオミンもいい。どう見てもヤクザな感じなのに「HERO」(英雄・2002・香/中)では、まったく始皇帝にしか見えなかったもんなあ。使っていたのはたぶんトカレフ。設定は中国の五四式というところなのだろうが。ちなみにアンディ・ラウはS&Wのチーフのようだった。
 一番良かったのはケリー・チャンで、とにかく美しい。美人だなあ。そして良い役。日本に3年留学していたというし、関係ないけど。

 公開初日の2回目、20分前についたら新宿の劇場はちょうど列を作らされたところ。50人くらいで、男女は半々、35歳で分けるとしたら老若比は4対6でやや若者が多い感じ。特に女性層は若い。

 15分前に入場になって入ると、この時点で763席の3.5割ほどが埋まった。中央の白いカバーの指定席は11席×3列と11席×1列のぴあ席。

 最終的には6.5割ほどの入りで、まあまあというところか。ぴあ席に1カップル、指定席に3人。

 カーテンはシネスコ・サイズで開いていて、1.85で予告が始まったが、暗い。最近は新しいスクリーンにして、反射率が良いのか明るいところが増えたから、この暗さは気になる。

 それにしても、「レモニー・スニケットの世にも不幸な物語」の予告で出てくる水の中を進む電車っていうのは、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」のあの電車のイメージだと思うんだけど……。ダーク・ピット・シリーズの「サハラ」の予告も。「デンジャラス・ビューティ2」も面白そう。


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