2005年4月24日(日)「ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ」

HIDE AND SEEK・2005・米・1時間42分(IMDbでは101分)

日本語字幕:丸ゴシック体、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビーデジタル、dts

(米R指定)


http://www.foxjapan.com/movies/hideandseek/
(劇場案内がクリックできない)

母親がバス・タプで手首を切って自殺した現場を目撃し、すっかり自分の殻に閉じこもるようになってしまった一人娘のエミリー(ダコタ・ファニング)のために、ニューヨークの郊外に引っ越す決心をした心理学者のデビッド(ロバート・デ・ニーロ)。しかし、それからエミリーにチャーリーという目に見えない友達ができ、不審な出来事が重なる。

72点

1つ前へ一覧へ次へ
 結構怖いが、音で脅かすことが多い……ということは……。よいサスペンス映画やホラー映画は音で脅かすようなことをしないという公式で行くと、こりゃヤバイかもという予感が見始めてすぐ頭をよぎった。ただ、悪くはない。ロバート・デ・ニーロ、ダコタ・ファニング、ファムケ・ヤンセン、エリザベス・シューといった名優がそろっているので、それだけでもしっかりした感じがするし、見る価値はある。

 ラストの結末はどうか。納得できないということはない。というより、むしろ冒頭でなんとなく予想がついてしまう。それがどうなのかなあ。名優がズラリ出てきて、それがごまかされてしまうということはあるけど。見終わって、さかのぼって思い出してみると、どうにもつじつまの合わないところもあるような気がする。ひょっとしたら、いくつかの結末が可能なように、わざとボカして作ったとか……。

 IMDbではなんと5.2点という、キャストを考えたら酷い評価。なぜかと監督名を見たら、ジョーン・ポールソンとあった。オーストラリア出身の役者さんで、本作の前にあの呆れるスペンス「プール」(Swimfan・2002・米)を撮った人。IMDbで4.5という低得点だ。そうか、その人だったら見なかったかも。でも、ロバート・デ・ニーロとダコタ・ファニングって、二人とも好きな役者さんだし……。

 予告編ではオカルトチックな、なんか霊の仕業のような雰囲気をにおわせていたが、まったくそういうことはなく、いわゆる心理サスペンスだった。心理サスペンスなのに音で脅かすのだ。これはイカン。せっかく名優達が出ているんだから、彼らの演技力を利用しろよ、って感じがしないでもなかった。たぶんロバート・デ・ニーロとかダコタ・ファニングが出ていなかったら、結構つまらないものになっていたかも。

 ネタバレとなるのでこれから見る人は以下を読まないで欲しいのだが……

 冒頭、心理学者のデ・ニーロは夜、部屋の中で天体望遠鏡を使っている。なぜ心理学者が天体望遠鏡? しかも天空には向けられておらず、水平になっている。それをのぞき込みながら「まだ仕事があるから先に寝てくれ」とか言うのだ。冒頭だから聞き流してしまったが、あとから考えてみるとこれはおかしい。二重におかしい。そして、事件が終わって思い直してみてもよくわからない。ラストの方でその天体望遠鏡が再び水平で出てくるので、思い出すのだが。

 眼に狂気の色が移り込むとか(「ブレードランナー」のレプリカントのよう)、ミス・リーディングをしようとしてダコタ・ファニングの目の下の隈がどんどん大きくなって過剰メイクになったりと、あざといところが多いような気がする。名優の演技に任せておけばいいのに。役者でもある監督はなぜ訳者の力を信じられないのだろう、そんな気もした。

 この作品は、たぶんDVDなどで細かなエピソードと結末を照らし合わせて行くと、つじつまの合わないところがたくさん出てくるのではないだろうか。それに、一部の劇場では違うのエンディングのバージョンも上映されたという。アメリカでは、スニーク・プレビュー(タイトルを明かさないで試写し、感想を聞く)ということもよくやり、その結果で映画を手直ししたり、結末を変えることまでするというから、どうとでも変えられるように作ってよけいにつじつまが合わなくなったということはありそうなことだ。うーん、どうなんだろう。

 ようはヒッチコックのような作品を作りたかったのではないだろうか。あちこちにそんな影が見えた気がした。言ってみればこれは「サイコ」なわけだし。曲も電子音でそれっぽいものが使われているし、シャワーにカーテン……

 初日は銀座の劇場は舞台あいさつがあるというので(誰だろう)パスし、2日目の銀座の初回へ。60分前についたらオヤジが5人。いつもよく見かける人が少なくとも2人。45分前になって7人に。意外に伸びない。この劇場にしては珍しく、30分前になってやっと開場した時でもわずかに20人くらい。やっぱり「プール」を撮った人だってバレていたか。女性は2〜3人。

 劇場の名前が変っていて、スカラ座1はスカラ座に、スカラ座2はみゆき座になっていた。

 小学生くらいも来て、いいの子供に見せて? それに劇場はキレイだが、窓口の接客はおそまつなもの。朝一から疲れ切っている感じ。劇場はこの辺から変えて行かないと。客が来ないという前に、やることは山ほどあるはずだ。おっきなポップコーンを胸に抱え、嬉しそうに席に座って映画が始まるのをわくわくして待っている若い女の子たちの姿をみていたら、ホントにそう思った。

 女性が少ないのは、インタビューなどを聞いてみると女の子に「怖いのはイヤ」という声が多かったようだ。しかし「呪怨」なんかはほとんど女の子で、しかもオカルト。理由なんかほとんどなく祟るのに。つまりは心理ホラーというかサスペンスがイヤなのか。よくわからん。こっちはロバート・デ・ニーロとかダコタ・ファニングが出ているんだぞ。

 最終的には654席の2〜3割の入り。女性は3割ほどいただろうか。ほとんどは中高年。チャイムが鳴り、カーテンが左右に開いてまずCMが始まった。予告は、意外にウィル・スミスのりラブ・ストーリーがおもしろそう。あんまり似合わない気はするのに。それと「デアデビル」からのスピンオフ「エレクトラ」もおもしろそうかも。

 冒頭のクレジットは手書き風の文字でなかなか凝っている。デザインしたのはリッチー・アダムスという人。ほかに「S.W.A.T.」や「タイムライン」を手がけている。これから公開される「炎のメモリアル」のタイトル・シークエンスもデザインしているらしい。よく注意して見ることにしようっと。


1つ前へ一覧へ次へ