日本語字幕:手書き書体、王雪鈴/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
(日R-15指定)
ソウルから田舎の女子高に転校してきたイ・ユジン(イ・セウン)は、クラスのあるグループから陰険なイジメを受け、どうにかしようと「コックリさん」をやって呪いをかけようとする。すると30年前に起きた事件で死んだ29番の机の少女キム・インスク(イ・ユリ)が現れ、ユジンに取り憑いてしまう。それから次々とイジメグループの少女たちが焼身自殺を遂げる。呪いの噂は広まり、ユジンは逆に孤立してしまう。 |
怖いが、やっぱりこれも音で脅かすタイプ。音で脅すのなら誰でもできるってのに……。そしてストーリーというか話の構造がほとんど「囁く廊下 〜女校怪談〜」(Whispering Corridors・1998・韓)と同じ。女子高で起こる事件だし、過去の事件が現代に祟っているというのも同じ。それにコックリさんを組み合わせたところが新しいわけだが、いかんせん最初に描かれているだけで、コックリさん自身の不気味さというか不思議さは少しも描かれていない。 目新しさもなく、だから後半は普通のホラー物のパターンになってしまう。先が読める。「囁く廊下」の方が謎解きの過程が面白く、ただのホラーではなかったから楽しめたが、これはどうだろう。どちらかというと怖がらせるのがメインになっているため、底が浅い。しかも怖がらせ方が音というのでは……。音うるさいし。 最初、この人が主人公かと思わせる新任の女性教師は、見たことがあるなあと思ったら「囁く廊下」に出ていた人だとか。彼女が謎を解く……のではなく、物語は事件の当事者である都会からの転校生でイジメられるユジンが中心となって展開する。ただ視点があいまいで、女性教師が主人公かと思ってしまうのだ。 同様に男性教師も、唯一のセリフの多い男性キャストなので、この人が事件を解決していくのかと思うと、これがなんとも頼りない。物語の展開上、全く役に立たないキャラクターなのだ。むしろ出てこないほうがいいくらい。 ザーザー雨が降っている日にわざわざテラスでコーヒーなんか飲みながら男性教師と新任の女性教師が話をするというのも理解できないなあ。それでいて二人は事件の解決になんの役にも立たないのだ。観客としては二人が恋に落ちて、力を合わせて事件を解決するのかと思ってしまうではないか。 ただ、女優さんたちは皆きれい。これが見どころか。女子高が舞台になると怪談になって、男子高が舞台になると「火山高」(Volcano High・2001・韓)になるのかも。 監督は、かなり面白かった「ボイス」(Phone・2002・米)のアン・ヒョンギという人。「ボイス」の後半、ややザツになってとんでもんない話になっていく部分を考えると、本作の感じも納得かもしれない。ただ前半の面白さは特筆物だったわけで、それが本作にはない。だからのれずにラストすごいことになってもふーんという感じしか出てこない。脚本が問題なのか……。 「コックリさん、コックリさん、おいでください」というフレーズが韓国語だと「ブンシンサバ、ブンシンサバ、おいでください」というふうに聞こえたんだけど、「コックリさん」は日本からの輸入? 公開7日目の初回、新宿の劇場はチェーン3館のうち一番小さい劇場に変更になっていて(入りが悪かったのだろう)、45分前に着いたら20代くらいの男性が1人待っていただけ。しかも彼は劇場が変わったことに気付かず、別の作品を待っていたのだった。で、40分前になって3人、15分前にやっと開場したときで5〜6人。若いカップルがいたので、かろうじて女性が1人。ここでは韓流どこふく風といった感じ。 劇場が変更になって一番がっかりしたのは、チェーン3館のうち一番力の入っていない劇場になったということ。フィルムが切り替わる(正確には映写機が入れ替わる)後半になるまで、ずっとセンター部分がピンアマだったのだ。気合いの問題かこの劇場ではこんなことがしょっちゅうなのだ。プロとしての意識とかプライドとか、観客に一番良い状態で映画を楽しんでもらいたいなんてものは……。 その後中学生くらいの女の子3人とか、小学生くらいに見える女の子5人グループ(R-15のはずだが)とか現れて、男女比は4対6くらいで女性が多くなった。年齢層は下は小学生くらいから上は老人までいたものの、指定席なしの300席に15〜20人の入り。まあ、このできではしようがないかというところ。 |