日本語字幕:丸ゴシック体下、笹津祐未子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/ドルビー
(日R-15指定。前売り券では読めないほど小さい)
大学生活最後の夏休みに、2組のカップルと1人の男が山奥のキャビンを借り、ピックアップトラックでやってきた。すると夜、キャンプファイヤーをしているところへ1人の男があちこちから血を流しながら具合が悪いので助けてくれとやって来る。気味悪がった男たちともめるうち、追い払おうとしたたいまつの火が男に移る。そして火だるまになった男は森へと消えて行った。翌日、上流の貯水池に男の死体があり、そこから水を引いていたキャビンの水を飲んだ女の子に異変が起きる。 |
なぜ今さら2002年の古い作品を持ち出してきたのだろうか。DVDが発売されるから、そのための劇場公開か。面白い作品で公開されていなかったのを持ってきたというのなら劇場公開も理解できるが、この程度のレベルのものをわざわざ劇場公開する意味は、そこにしかないのではないだろうか。IMDbではそれでも5.1点も得点していて、ボクには信じられない。 とにかく脚本が穴だらけ。突っ込みどころがあちこちにある。矛盾点だらけ。単に観客に受けるとハリウッドが考えている要素、若者だけの田舎の山奥でのキャンプ、若い女性の裸、エグイまでの惨殺シーン、常軌を逸した人々……を詰め込んだだけ。タイトルを「13日の……」とかに変えても差し支えないような設定。 そういう意味ではモンスターが出てこないだけこの映画は拍子抜けで、謎(隠してさえいないが)の殺人犯が病原菌だったというのはどうなんだろう。 登場人物も、卒業旅行に片田舎の山奥のキャビンを選ぶようなヤツらだから、バカばっかりで、無礼だしマナーは悪いし、すぐ銃は持ち出すし、まったく同情できない。もし彼らが礼儀正しく、大学の研究の調査のために山を訪れたさわやかな若者たちだったら、観客もどうにか助けたいという気持ちになるだろうが、むしろ早く死んじまえと思うようなヤツらでは話が成り立たない。よくもこんなセコイ感じがするキャストを探しだし、そういう格好と雰囲気を作り出したものだと、唯一そこが感心できる。役者さんたちは実際にはもっと感じのいい人なんだろうに。 親戚の小屋がすぐ近くにありながら、わざわざめったに人が来ない他人のキャビンに助けを求めてくる病人というのもどうかとと思うが、それを気持ち悪くて追っ払ってしまうのだから、主人公たちの運命はこあなっても仕方がないとしか思えない。 1人のバカは、途中の雑貨店でキャンデーか何か万引きしようとするし、到着するとビール片手に実弾の入ったミニ14を持ち出してリス撃ちをしようとするし……。まったくウンザリ。あまりにヒドクであちこちで失笑が起きていた。 監督は自ら製作と脚本までやってのけたイーライ・ロスという人。ということはほとんどの責任はこの人にありか。公式サイトによるとイーライ・ロスが19歳の時に150万ドル(約1億6千万円)という低予算(?)で初めて作った劇場作品らしい。それをピーター・ジャクソン監督やクエンティン・タランティーノ監督、トビー・フーパー監督が絶賛したため、世界公開ということになったようだ。うーん。 まあこの映画では、見どころは不必要なのに出てくる若い女性の裸だけだろう。 公開2日目の初回、銀座の劇場は25分前についたら、中高年が3人。お昼近いというのに劇場はまだ明かりさえ付いておらず真っ暗。まったく活気のない劇場は15分前にやっと明かりがついて開場。この時点で10人くらい。20代くらいが1/3、女性が1/4、後は中高年のオヤジ。 それにしても、改装してカップ・ホルダー付き、傘ホルダー付きのイスに変わったというのにスクリーンが低くて見にくい劇場で、せめて千鳥配列にしてくれれば良かったのに。 ギリギリで若い人たちが増え、老若比は半々くらいに。最終的には130席に3割ほどの入り。まあ、この劇場では混んだらスクリーンが見えにくいし、この出来ではこれでもいいほうじゃないだろうか。 |