日本語字幕:手書き書体下、石田泰子/ビスタ・サイズ(1.66上映、IMDbでは1.85、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts
(米PG指定)
いつとも知れない時、どことも知れない場所に、14歳の発明の天才少女ヴァイオレット(エミリー・ブラウニング)、その弟で読書が大好きで読んだ本の内容を全て覚えているという少年クラウス(リアム・エイケン)、噛みつくのが大好きな4歳の少女サニー(カラ&シェルビー・ホフマンの双子)の3兄弟がいた。ところがある日、屋敷が火事になって両親が死んでしまったことから、遺産管財人によって後見人のオラフ伯爵(ジム・キャリー)に長女が成人するまで預けられることになる。ところがオラフ伯爵は子供たちが相続する財産目当てで、とんでもない人物だった。 |
結構笑えると思うのだが、描かれている話がイジメで、悲惨で、笑っていいのかどうか戸惑ってしまう。ここが最大の問題。笑い飛ばせる作りなら、きっと面白いものになっていただろうに。 ただ、ジム・キャリーは水を得た魚という感じで、気持ち良さそうにワル伯爵を演じていた。やっぱりこれがジム・キャリーでしょう。「グリンチ」(How the Grinch Stole Chiristmnas・2000・米)と被るところが多いキャラクターだけど。「エターナル・サンシャイン」はジム・キャリーにはなあ……。 美術は良い。素晴らしいセット。19世紀のヨーロッパのような雰囲気というか、良い感じのレトロ調。そのくせ黒電話が車についていたり、その車のドアにリモコン式のロックがついていたり、めちゃくちゃでありながら世界観が破綻していないのも驚かされる。 ただ、話がオラフ伯爵のずる賢さより、いじめられる子供たちのかわいそうな方が目立ってしまって、惜しい。物語はつぎつぎととんでもない親戚が現れたり、なきべそ湖とかどろどろ洞窟とか、謎や冒険がいっぱいなのだ。もっと面白くなるはず。一番大きな謎も、謎というよりそのまんまという感じ。これじゃ、いくら子供向けの作品だとしてもなあ。子供だましになってるもの。ディズニー・ワールドが受ける理由を研究して欲しい。 驚くのは、ジム・キャリー以外の大物俳優。まず顔は出ないがナレーターのレモニー・スニケットがジュード・ロウ。最初に訪れるオラフ邸の向かいにすむ女性検事が「ビートルジュース」(Beetlejuice・1988・米)のキャサリン・オハラ。ジョセフィーヌおばさんがなんとアカデミー賞受賞女優のメリル・ストリープ。そしてオラフ伯爵の芝居を観に来る批評家に、これまたアカデミー賞を受賞したダスティン・ホフマン……という豪華さ。どうやら原作の大ファンらしい。 監督はブラッド・シルバーリングという人。「ムーンライト・マイル」(Moonlight Mile・2002・米)……ダスティン・ホフマンも出演している……は見ていないが、「ベルリン・天使の詩」のリメイク「シティ・オブ・エンジェル」(City of Angels・1998・米)やかわいい幽霊映画「キャスパー」(Casper・1995・米)を撮った人。何か納得するものがある。 オープニングはクレイ・アニメで、エンディングは影絵ととても凝っていて本格派。手がけたのはAXLOMデザインのジェイミー・カーリリという人らしい。特にエンディングの影絵は素晴らしい。本編よりこちらの方が印象に残ったくらい。エンド・マーク(最近の映画には珍しく出る)が出たらすぐ帰ると、この素晴らしい影絵は見られない。 公開3日目の初回、45分前についたら新宿の劇場はたった4人。40分前になったら140人くらいになったが、驚くことに自分以外全員女性。母と娘という組み合わせが多い。しかも娘は中学生くらいだ。どういうことだろう。35分前くらいから増え出して、50人くらいに。男性がどうにか3割くらいに。やっぱり若い人が多く、オヤジは1割ほど。 30分前に80人くらいになり、開場。ペア・シート以外は全席自由。10席×3列×左右の赤い席も10席×1列×左右のぴあ席も、自由。 最終的には1,064席に5.5割くらいの入り。男女比は4.5対5.5といった感じでやや女性が多かった。中高年は全体の2〜3割くらいか。 「アイランド」の予告はなかなかおもしろそうなSFアクションもの。マカロフのシルバー・モデルなどという珍しい銃が出ていた。ただ。監督があのマイケル・ベイだからなあ……。「ロスト・イン・トランスレーション」のスカレット・ヨハンソンがきれいで印象に残った。期待しても良いのかなあ。アメリカもまだ未公開。うーん。 |