日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米R指定)
吸血鬼退治に明け暮れるブレイド(ウェズリー・スナイプス)は、ある日、路上でカー・チェイスの末、1匹のヴァンパイアを“退治”するが、それはヴァンパイアのふりをした人間で、その模様を撮影されたことで普通の殺人者として指名手配されてしまう。やがて隠れ家まで発見されて逮捕されたブレイドは、署内に入り込んだヴァンパイアの奴隷によって抹殺されそうになるが、そこへ新たな仲間が現れる。 |
とにかくカッコ良さにこだわってスタイリッシュに撮影されたMTV感覚のSFアクション。容赦なくバッタバッタとヴァンパイアを倒して行くさまは本当にカッコよく、スカッとする。ひさびさに何も考えず映画を楽しんだような気がする。 ただ何か心に残ったかというと、それは……。まあそういう映画ではないし、たまにはこういうタダ単に受け身で楽しむという映画もなければいけないのだ。 今回の目玉は何といっても女ヴァンパイア・スレーヤーの登場だろう。TVでバフィーがいて、映画でも「アンダーワールド」(Underworld・2003・米独ほか)であれだけ強くてカッコいい女ヴァンパイヤ戦士が描かれてしまうと、もはやヴァンパイアものに強い女は欠かせないだろうというもの。それを「テキサス・チェーンソー」(The Texas Chainsaw Massacre・2003・米)で、薄いタンク・トップ1枚で悲鳴を上げながら逃げ回っていた美女、ジェシカ・ビールが実に男っぽく精かんに演じて見せている。これはすごい。特訓したのだと思うが、格闘シーンが実にさまになっている。ところが、プロモーションのため来日した映像を見てみると、実に女っぽい人なのだ。「テキサス……」もそうだったわけだが。中でも良いのは、初めて登場する地下鉄だかの駅で数人のチンピラのようなヴァンパイアに襲われるシーン。カッコいい。 もう1人相棒、ややコミカルなパートを担当しているライアン・レイノルズは、「セイブ・ザ・ワールド」(The In-Laws・2003・米)でマイケル・ダグラスの息子を演じていた人。結構、優男なので、ヒゲを伸ばして強そうな感じを出している。 前作あたりで死んじゃったと思っていたら、「コンボイ」(Convoy・1978・米)やユナイテッド・アーティストを倒産に追い込んだ大問題西部劇「天国の門」(Heaven's Gate・1981・)のクリス・クリストファーソンは本作でも健在。さすがに今回はすごいことになっているが、それは見てのお楽しみ。 もう聞き飽きた感じの最初のヴァンパイア、ヴァンパイアの始祖とかいうのにはうんざりで、しかも完全復活する前は骸骨のようで迫力があるのに、復活してしまうと普通で、なんかガッカリ。もうちょっと工夫が欲しかったなあ。他の作品でも繰り返し描かれているんだから、それを超えてくれないと。 逆に印象に残るのは、女ヴァンパイアのダニカ・タロスを演じたパーカー・ポージーという人。痩せている感じが血に飢えたヴァンパイアのイメージにピッタリ。ラストはあっけないが、前半の高慢ちきな感じがいい。髪をとさかみたいに逆立てていて、付け歯をしてあのメイクなのでジャンキーみたいな雰囲気になっているが、本当は笑顔が素敵な上品な感じの普通の美女。さすがは女優。180度くらい変わってしまっている。「スクリーム3」(Scream 3・2000・米)の劇中劇の出演者とか「ユー・ガット・メール」(You've Got Mail・1998・米)に出ていた人だとか。本作からは想像もつかない。 武器はたくさん登場するが、中でも良いのはジェシカ・ビールが使う弓、コンパウンド・ボウ。滑車がついて、ツヤ消しの黒でいいデザイン。そして紫外線でヴァンパイアを両断するUVアーク。使った後いちいち折り畳まれるのがうっとうしい感じもしたが、とにかくカッコいい。彼女はS&WのM686の4インチも使っていたようだ。 ライアン・レイノルズはたくさんの銃を使って見せ、正体不明の電子銃、ノン・フルート・シリンダーを付けたS$WのM629(か686)ベースらしい6インチ銃身のリボルバー、マーリン・レバー・アクション・ライフル・ベースの3銃身?銃、などがそれぞれちょっとずつ登場する。 ブレイドが使うのは、H&KのUSPなのだが、これがかなり「アンダーワールド」でケイト・ベッキンセールが使っていたものにそっくり。フル・オートで撃つことはなかったが。そしてソード・オフ・ショットガンは公式サイトで見ると、どうも2連発の信号拳銃、第二次世界大戦中にドイツ空軍用に作られたL型シグナル・ピストルにカバーをつけたもののようだ。 他にもM16A2やベレッタM92、MP5といった定番の銃も使われている。 公開初日の初回、新宿の劇場は系列館内で劇場が変更になっていて、一番良い70mm劇場だった。45分前に付いたら劇場前に案内の看板が出ていて、そこに行列ができていた。20代くらいの若い男性を中心に20人くらい。中高年は1/3くらい。女性は中年クラスが3人。 40分前くらいに案内があり、30分前に開場して、この時点で50人くらいになっていた。日本では年齢制限がないので下は小学生くらいから、老人までいたが、中心が20代前後の若い多男性なのは変わりなし。やや女性も増えたが3割までいっていないだろう。 最終的に指定席なしの420席に7〜7.5割くらいの入り。これはなかなか立派。 エンド・クレジットが終わった後にまた映像が出て、車に乗ったブレードが走り去る。早く立つと見逃すので要注意。これでシリーズが終わるのはちょっともったいないかも。ウェズリー・スナイプスのハマリ役だと思う。 |