日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(オリジナルは1.85)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米PG-13指定)
ボルチモア第33消防隊の第49はしご隊のベテラン、ジャック・モリソン(ホアキン・フェニックス)は高層ビルの火災で、逃げ遅れた男性を救出するため上層階へ突入し、救出した直後、床が崩落して落下、気を失ってしまう。ジャックはがれきの中で気が付いて助けを呼び、横たわったまま第33消防隊に初めて来た日を思い出していた。 |
うーん、音はすごいが、ごく普通の印象の物語。泣けることは泣けるのに、なんだかTVっぽい。消防士の話なら「バックドラフト」(Backdraft・1991・米)の方が優れているし、さらにさかのぼれば「タワーリング・インフェルノ」(The Towering Inferno・1974・米)という超大作もある。今作るのなら、せめてそれらと違う何か、それを超える何かを見せて欲しかった。 もちろんこれはビジュアル面ばかりでなく、ストーリーでも911のテロ事件で多くの勇敢な消防士達を失っているのだから、もっと別な話がいくらでもあったはず。それなのにあまりにオーソドックスすぎて……あえて言えばラストが目新しいか。 ただしホアキン・フェニックスはつい最近アル中で入院しており、というか病院に収容されており、言うことに全く説得力が無くなってしまった。これは辛い。いろいろあるだろうけれど、イヤでも世界中の注目を浴びてしまうハリウッド・スターは、日ごろの行いにも気をつけてもらわないと公開映画に大きな影響を与えてしまう。それだけの出演料をもらっているのだから最低限それくらいのことは気をつけてもらわないとなあ。 それに、似ていないけどわずか23歳で夭折した名ヤング・スター、リバー・フェニックスの弟で、兄を見てきたはずなのに……同じような道をたどるつもりなのか。ブルータス、オマエもか。 上役のキャプテン・マイクを演じるジョン・トラボルタは、独特の存在感とウマサでピタッとはまっている。ただ、ほとんど活躍しないので彼である必要があったのかどうか。ちょっともったいない感じもした。 事故に巻き込まれる同僚には、あの傑作TVドラマ「24」で娘をいじめる異常な父親を演じていたビリー・バークという人。二枚目で、それだけに悪い役をやると冷酷な感じがして怖い。本作は最初どちらかわからないが、これは「24」を意識しての演出なのだろうか。 同僚のひとりで唯一ちょっとクセがあって嫌なヤツ、レニーを「T2」(Terminator 2: Jugement Day・1991・米)のT-1000を演じて一気に有名になったロバート・パトリック。この人、すっかり悪役が定着してしまっている。と言っても「T2」以前からそうだったわけだが。 監督はジェイ・ラッセルというひと。これまで日本で劇場公開されたのは「マイ・ドッグ・スキップ」(My Dog Skip・2000・米)という作品だけで、しかも小劇場での公開だったような……。評価は高いようだが……。そういう人が作るので、超大作ではないだろう。それなのにこのキャストということは、それだけで予算が取られてしまうわけで、全体としてTV的な印象になってしまったか。 脚本は、あの傑作青春物語「遠い空の向こうに」(October Sky・1999・米)の脚本を手がけたルイス・コリックという人。ということは、低予算の範囲内でうまく感動ストーリーにまとめたということか。 超大作のように宣伝していたし、劇場も大きいところなので用心して60分前に劇場に着いたら、銀座の場合オバサンがたったひとり。あれ? 45分前くらいに係員がきて案内があったが、この時点でも5〜6人。オヤジとオバサンが半々。35分前になって開場した時点でもようやく10人ほど。これは少ない。でもこの作品では当然かも。主役がアル中で入院というのと関係しているのか。 初回のみ全席自由で、17席×2列のカバーの席のOK。下は中学生くらいからいたが3人くらい。20代のカップルもチラホラ程度で、ほとんど8割ほどは中高年。最終的に654席に50〜60人ほどの入りはかなり寂しい。関係者らしい人が5〜6人いたが、きっとガッカリしたことだろう。でも見た方も意外に小作品で、予告とのギャップにガッカリしたのだ。 予告編でディズニーのしゃべるフォルクスワーゲン(ビートル)が登場する新作「ハービー」をやっていたが、これって昔あった「ラブ・バッグ」(The Love Bug・1968・米)のリメイクじゃないの? ハリウッドっていよいよネタがつきたのか。リメイクばっかりのような気がする。 ラストのラスト、東京現像所50周年の文字と新ロゴが出た。サイト(http://www.tokyolab.co.jp/)を見たら2005年4月22日で創立50周年なんだとか。 |