日本語字幕:手書き書体下、石田泰子/シネスコ・サイズ(マスク、スーパー35、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米R指定、日PG-12指定)
LAPDの人質交渉人ジェフ・タリー(ブルース・ウィリス)は、自分の妻と息子を人質に立てこもった男の説得に失敗し、全員を死なせてしまう。1年後、LAPDを辞職したジェフはカリフォルニア州ヴェントーラ郡の小さな田舎町ブリスト・カミノ警察の署長となった。しかし妻とは別居中、娘は反抗期で家族の誰ともうまくやっていけない状態だった。そんな時、郊外の豪邸に3人の若者が侵入し家族を人質に立てこもってしまう。 |
不幸な出来事に不幸が重なっていく不幸の波状攻撃。これでもかという展開は、リアルな暴力と悪意がちりばめられ、ハリウッド・テイストとはちょっと違う感じ……と思ったら監督はあのアクション作品「スズメバチ」(Nid de Guepes・2002・仏)のフランス人監督、フローラン=エミリオ・シリ。 多重に発生する事件がすべて主人公にストレスとして襲いかかってくることで、ブルース・ウィリスはそれらを一身に引き受けなければならない。そこにドラマが生まれるわけで、アクションを主体としながらも、うまくドラマを折り込んで絶妙なアンサンブルを奏でている。ただ、あまりにもかわいそうすぎる気はするが。 これだけトラブルが降りかかってきても、ブルース・ウィリスは苦悩はしても落ち込まない。前向きに1つずつ解決していく。アメリカ的ということか。だとすれば落ち込んで悩むのがヨーロッパ的か。いずれにしてもこの落ち着き。うーん、見習いたい。 映画中で問題となるデータを記録したDVD-Rを隠すのが「天国は待ってくれる」(Heaven can wait)という映画のDVD。これには3作あって、「天国は待ってくれる」(Heaven can wait・1943・米)と「天国から来たチャンピオン」(Heaven can wait・1978・米)と「天国からきたチャンピオン2002」(Down to Earth・2001・米/独/加)だ。ボクは1978年版が好きだが、IMDbの評価は古い順に7.5、6.8、5.1という順。で、組織の会計士がDVD-Rを隠すのは1943年版。 これを後から少年が探しにきて1943年版と1978年版があって、原題は全く同じなので迷うんだろうなあと期待していると、迷わず2ホントも持ち出してしまう。あらら……。しかも2001年版はナシね。ボクは劇場の予告編を見て(クリス・タッカー主演)見る気を無くしたくらいで、その後ほとんど噂すら聞かなかったから大コケしたのかも。アメリカでも5.1ではダメでしょう。 で、ラスト少年からジェフは2本受け取ると、ここでも迷わず1943年版を持っていってしまう。おいおい、だれも迷わないのかよ。だったら2本出すことないだろ。こっちはてっきり迷わせるために2本出したと思ってるのに。しかもさりにラストでこのDVDは……、そんなのあり? バカな無軌道若者と人質との駆け引き、そして彼らと警察とのやり取り、組織とジェフとの駆け引きのほうがウェイトが大きく、すべてに主人公のウィリスは関わっているのに存在感はやや希薄。まあ等身大で実在感のある人物を目指したのだとは思うが、少しはスーパーロヒーロー的なところがないと、ウィリスを使って意味がないのでは。まう、そうすると「ダイ・ハード」になってしまうかもしれないけど。 ブルース・ウィリスは最初LAPDのSWAT所属ということになっているので、制式装備としてキンバー・カスタムIIを持っている(髪もあって髭ぼうぼう)。突入する隊員はM4カービン。のちに小さな町の警察署長となってもキンバーを使い、バック・アップにアンクルのM4か。 ばかガキどもはベレッタM92シルバー(イクイノックスか?)と黒いベレッタM92と見えたのはブラジルのタウルスPT92。 地元警察は大きな事件なので郡警察に引き継ぎ、なかなか解決できないと連邦警察、FBIがやってきてさらに指揮権を奪っていく。この警察の組織構造が面白い。 組織の男は覆面をしていて誰だかわからない。そしてリーダーらしき男が持っているのがUSPのたぶんエリート。さすがに高い銃を持っている。さらにバイソンのシルバー4インチを持っている者も。これも高い。武器担当は「S.W.A.T.」はじめ多くのアクション映画を手がけているマイケル・パパック。どうりてキンバーなんか出してくるわけだ。 ラストの撃ち合いはスゴイ。西部劇を彷彿とさせる緊迫感溢れる対決。かなり凄絶でアメリカのR指定も頷ける。しかしアクション・ファンは必見。今のアメリカでは家族を守るためにコレくらいはしないとってことか。男はつらいなあ。 書き割りのような街のイラストに名前が書き込んであるタイトルはそのまま公式サイトでも使われているが、うまい。平面的に見えて実は3Dで作られており、カメラが回り込んだりして風景が変わっていく。そして、そのイラストが徐々に実景になって映画が始まるという仕掛け。すばらしい。イキだ。 手がけたのは「スズメバチ」のタイトルも手がけたローレン・ブレットという人。今後注目したい。センスいいなあ。 ちなみに最後の方で洗面所に人質になった娘が逃げ込むと、壁のモニターに外の様子が映っているのは明らかなミス。冒頭で特殊部隊が全てのカメラを撃って破壊しているので映るはずはない。あらら。 公開初日の初回、前日の深夜がサッカーの日本対バーレーン戦だったのでたいていの人はリアル・タイムで見ていて朝はダメだろうと予想して、45分前くらいに着いたら予想通り朝9時の回はわずかに5人。自分以外は全員が30代くらいの男性。35分前に15人くらいになって、中高年が2/3に増えた。女性はオバサンが2人。 30分前に20人ほどになり、15分前にやっと開場。さすがにこの時点では60〜70人に。1/3は女性で、20代は1/3くらい。 ペア・シート以外は全席自由で、10席×5列×左右の赤いシートの席もOK。さすがにサッカーの翌日早朝は空いていて良い。1,064席に2割程度の入り。 スクリーンは最初から1.66ビスタであいていて、予告が始まったら1.85作品は上下にマスクがついた。日本はビスタ・サイズ・ワイドはヨーロッパのように1.66で上映することが多い。しかし実際の上映する作品は1.85のハリウッド作品が多いというこのギャップ。何なんでしょうかねえ。 予告では「キンゼイリポート」(映像化できるの?)、11/26公開だというのにもう予告が始まった「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」(内容はほとんどないけど)、「サハラ」の新しい版、「アイランド」が気になった。 |