日本語字幕:手書き書体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビー、dts
(米PG-13指定)
悪の組織の手先としてデアデビルと戦い命を落としたエレクトラ(ジェニファー・ガーナー)は、善の組織「キマグレ」のリーダー、スティック(テレンス・スタンプ)により蘇生され、無敵のファイターとして徹底的に訓練された。しかしある時スティックを理解できなくなったエレクトラは組織を飛び出し、いまはマッケイブ(コリン・カニンガム)を代理人に、暗殺を請け負って生計を立てていた。そこへ新しい暗殺の依頼があり、13歳の女の子とその父親を殺さなければならなくなる。 |
「デアデビル」(Daredevil・2003・米)の敵キャラクターの1人が、とても魅力的だったことからスピン・オフ。ボクもそう思ったが、多くの観客も彼女を死なせないでくれと思ったらしい。それで彼女を復活させ、あらたに主人公にした独自の話を作り上げた。これは受けが良ければシリーズ化されそう。 「X-メン」のような超人というかミュータントの戦いの話。同じように力を持っていながら、善と悪に別れて戦うというのも似ているし、キャラクターも石のような体を持つストーン(ボブ・サップがセリフなしで熱演)や、触れた相手の精気を吸い取るタイフォイド、体の入れ墨を実体化させるタトゥーとか、さすがはマーベル・コミックというところか。 面白いのは、アクションのテンポが良く、主人公が女性で徹底的に強いわけではないというところ。だから結構ハラハラドキドキ。なんと監督はあのボクのお気に入り「サラマンダー」(Reign of Fire・2002・米/英)のロブ・ボーマン監督。さすが「X-ファイル」シリーズで鍛えただけのことはある。荒唐無稽な物語をファンタジーを失わずに現実敵に描いて見せた。 主演のジェニファー・ガーナーはTV「エイリアス/二重スパイの女」の主役で注目され、スピルバーグの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(Catch Me If You Can・2002)にちょっとした役でしっかり印象を残して「デアデビル」の役を獲得した。アクションができる美女で、本作でも体がキレている。動きがキビキビしていて本物っぽく、格闘技をちゃんとやって見せているところが良い。 それにしても、日本の要素入れ過ぎ。組織の名前がキマグレってのはどうだろうか。「死」だとか「善」だとか「悪」だとか漢字もあふれているし、忍者は出てくるし、悪の組織のボスはタガワヒロユキだもんなあ。ボブ・サップも出てるし。かなり意識してるなあ。それはそれで嬉しいけど、何か違う感じがするんだけど。 いい組織のボスがテレンス・スタンプというのは、オールド・ファンには嬉しい。「コレクター」(The Collector・1965・米)や「世にも怪奇な物語」(Tre Passi Nel Delirio・1967・仏伊)では、非常に恐ろしい役を演じて光っていた。ガッカリだった「ホーンテッドマンション」(The Haunted Mansion・2003・米)では、テレンス・ステンプ1人良かった。比較的最近で言えば「イギリスから来た男」(The Limey・1999・米)が強烈で良かった。とにかく、どこかエキセントリックというか、何をやるかわからないような感じがいいのだ。 冒頭の暗殺シーンで殺されるのは、「パトリオット」(The Patriot・2000・米)で強烈なイギリス将校を演じ、「スゥイート・ノベンバー」(Sweet November・2001・米)でご近所のオカマ、「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)では厳格な上官を演じていた名優ジェイソン・アイザック。なんとクレジットなしのチョイ役出演。こりゃ、ビックリ。 このシーンで出てくる銃はMP5K、P229など。そして、エレクトラのエイジェントが持っているのがS&W・M686の4インチ。あとで出てくる組み立て式のアーチェリーも、ちょっと「パニッシャー」(The Punisher・2004・米)に似ているがなかなか良いデザイン。悪の組織の「ザ・ハンド」の刺客、忍者が使うリボルバー型のフルオート・ボウガンは、サイズはミニチュアながらたぶん元ネタは「ヴァン・ヘルシング」(Van Helshing・2004・米)のあのボウガンだろう。なかなか迫力があって、普通の銃よりもグッドです。 現れてはくだけて飛び散り、煙のように消えていくタイトルの文字は秀逸。でもクレジットには誰がデザインしたのか出ていなかった。かなり良いと思うのだが。 公開初日の初回(といっても12時から)、新宿の劇場は40分前で7人。中高年のみで女性が1人。30分前に20人くらいになって、20代くらいの若者が1/3ほどに。女性3人。ここで開場し、指定席ナシ、千鳥配列の場内へ。カーテンはあって、左右開き。 最終的には350席に3割ほどの入り。初日なのに……。 アンジェリーナ・ジョリーとブラピが共演するスパイ・アクション「Mr. & Mrs.スミス」はおもしろそう。それとスティーブン・キング原作(ということは良いかダメかのどっちかか)の「ライディング・ザ・ブレット」。興味津々。 |