2005年6月5日(日)「フォーガットン」

THE FORGOTTEN・2004・米・1時間32分

日本語字幕:丸ゴシック体下、岡田壮平/ビスタ・サイズ(with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://www.forgotten.jp/
(入ったら音に注意)

9歳の息子サム(クリストファー・コバルスキー)を航空機事故で失った母親のテリー(ジュリアン・ムーア)は14カ月も経つというのに悲しみをこらえ切れないでいた。ところが、ある日、ふと気付くと親子3人で撮った写真からサムだけが消えていた。夫のジム(アンソニー・エドワーズ)にそのことを言うと、我々には子供はいないと断言。流産したからそれがショックで妄想となったのだという。アルバムを取り出すと、そこには1枚も写真が無くなっていた。そんな彼女の前にNSA(国家安全保障局)と名乗る男たちが現れる。

70点

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 うーん、予告編は物凄く面白そうで、興味をそそるのに……。とてもスケールの小さい映画で、やっぱり音でおどかすタイプ。それじゃスリラーとは言えないだろう。たぶん予算のあるハリウッド映画なら、この映画が終わったところから主人公の戦いが始まって、SFXを駆使した壮絶な決戦の末、幸せを取り戻してめでたしめでたしとなることだろう。プロローグに過ぎないって感じ。TVだったらパイロット版だ。

 「結末を話すと記憶を失う」と予告していたが、残念ながらそれほどすごい大どんでん返しがあるわけではない。ヒネリもなし。だいたい映画の中盤で主人公が考えた通りの真実が明かされるだけ。そして、こんなラストで良いの。つまり、自分の息子と友人の娘を守っただけで、それ以外は何も解決していないのに、めでたしめでたしみたいな雰囲気で終わっていいの。夫はどうなったの。

 予算がないのに、こんなに前振りで大風呂敷を広げてしまって、バランスの取れないエンディングになってしまったような気がする。ほとんどの観客は前半を見て、これでつまらないオチだったら許さないぞという気になったのではないだろうか。特にボクのように多くの映画でどんでん返しや肩透かしを経験したスレた観客には、どうしても始まってすぐに、あーゆうオチとか、こーゆうオチなんかが次々と浮かんで、ついつい悪い結果を予想してしまう。それを良い意味で裏切ってくれと願わずにはいられなくなる。この時点でちょっと失敗だと思うが、どんでん返しを予測して「バタフライ・エフェクト」(The Butterfly Effect・2003・米)同様に楽しめないことに。

 木々が風邪で葉を鳴らす音とか、サラウンド感は素晴らしい。立体感がある。

 ちなみに気の毒な夫の役は、アンソニー・エドワーズ。「ガッチャ」(Gotcha!・1985・米)で主役のサバイバル・ゲーム好きな大学生を演じていた人が、「トップガン」(Top Gun・1986・米)を経て、こんなに頭髪が薄くなってしまって……。うむむ。

 監督はなかなか怖かった、ジュリア・ロバーツの「愛がこわれるとき」(Sleeping With the Enemy・1990・米)や現金強奪アクション「マネートレイン」(Money Train・1995・米)のジョセフ・ルーベン。少なくとも怖がらせるのは、音を多用しなければなかなか達者な人。

 事件に疑問を持つ刑事に黒人女優のアルフレ・ウッダードという人。やっぱり銃はグロックを持っていた。必要な時はためらわずトリガーを引くなど、プロらしい演技を見せてくれる。でも、彼女もあまり活躍しない。うーむ、残念。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら0人。30分前に10人くらいになって、20代のカップルと中高年のカップル以外はすべてオヤジ。20分前に開場して、指定席なしの場内へ。

 ここは指定席も内が、なぜかBGMまでなし。これは寂しい。なんでだろう。

 最終的には406席に3.5割ほどの入り。


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