日本語字幕:手書き書体下、鎌田郁子/ビスタ・サイズ(Sony High Definition Video)/ドルビーサラウンド
(米ビデオ公開、R指定、日R-15指定)
科学者のアボット(ロバート・ナッパー)は軍の研究所から、宇宙からのメッセージに基づいたDNAと人人間のDNAの結合によって誕生したシルの細胞から再生されたイヴ(ナスターシャ・ヘンストリッジ)と、火星探査で謎のDNAに犯されて帰還した宇宙飛行士と人間の女性との間に生まれたハイ・ブリッド種の少年を乗せた救急車を強奪。しかし途中で少年がイヴを襲う。イヴは、体内に宿していた宇宙飛行士との子供を産み落として、息絶える。アボットはその赤ん坊を連れ逃走。しばらくして大学の講師の職を得、自分の実験を手伝わせるため学生のディーン(ロビン・ダン)を引き込む。アボットは短期間の間に成長した少女にサラと名付け、人間のDNAを取り除き純血種を作り上げようとしていたのだった。 |
アメリカではビデオ公開作品。IMDbで3.8という低得点。しかも1年前の作品ということはDVDが近々発売されるということか。日本はとりあえず劇場公開と。印象としては「アナコンダ2」(Anacondas・2004・米)とほとんど同じ。予算がないためか、肝心のクリーチャーがほとんど出てこないのだ。見どころは美女二人のヌード。 ソニーのハイビジョン・デジタル・ビデオで撮影されているので、スクリーンで上映しても違和感なし。むしろフィルムよりシズル感があるシーンが多く、生々しくて良い。ただフィルム効果をかけた方がフィルムらしい重さと味わいのある絵にはなるような気がする。一部フィルム効果がかけられていないかもしれない。 デジタルでクリーチャーの全身を合成するのは大変お金がかかるので、かぶり物とかで現場撮影していったらしい。クリーチャーは出てきてもバスト・ショット以上のアップばかりで、なにがなんだかよくわからない。しかも一瞬しか映らないからよけいにイライラする。このシリーズはクリーチャーと美女が売りのはずなのに、美女だけになったらキャンプに行った若いカップルが殺人鬼に襲われる映画てでも良かったわけで、SFアクションを撮る意味がないと思うが……。 全裸でがんばっているのは、オーディションで選ばれたサニー・メイプリーというほとんど新人。クリーチャー役なので感情がないという設定、セリフも少ないことから、何をオーディションしたんだか。見た目だけなら写真審査とかで充分だろうに。 もう1人はアメリア・クックという人で、役名もアメリア。あらら。これは劇場映画ということにならないと思うが、映画初出演の新人だ。こちらも無表情が多く、「ターミネーター3」(Terminator 3・2003・米)の女形ロボットT-Xを演じたクリスタナ・ローケンのような印象(もちろんクリスタナの方がうまいが)。 2人とも、今後活躍するかどうかはわからない。この作品がせめてSFXにお金をかけていれば、もっと注目され2人も結果的に注目されることになったのだろうが……残念。 監督はダラッド・ターナーという人で、TVで新しい「トワイライト・ゾーン」とか新しい「アウター・リミッツ」とか「ニキータ」とか「24」を撮っている人。実力は充分だ。この低予算をちゃんと作品にまとめたのだから、うまいのだと思う。しかしちゃんと予算をかけて、いわゆるスターを使ってどんな作品が撮れるのか、そこはわからない。でもせっかくなんだからこんな低予算ではなく、ちゃんと撮らせてあげればいいのに。 ということは製作総指揮のフランク・マンキューソ・Jrに問題ありか。「13金シリーズ」とか「スピーシーズ」シリーズをプロデュースしてきた人。「RONIN」(Ronin・1998・米)とか「スティグマータ」(Stigmata・1999・米)なんていうBティスト満載の面白い作品も作ってきているのだが、たしかに「RONIN」以外はB級ものばかりという印象だ。うーん。 公開2日目の初回、銀座の劇場は35分前で4人。中高のオヤジのみ。劇場は灯さえ点いていない。20分前にやっと灯が点き、順次開場。列は12〜13人になっていた。みごとにオヤジのみ。 最終的に指定席なしの177席に30人くらい。ほとんどオヤジで、20代後半らしき女性が1人と、オバサン1人。 スクリーンはカーテンなしでビスタであいていた。日本の場合ほとんどがヨーロピアン・ビスタ(1:1.66)なのだが、どうやら珍しくアメリカン・ビスタ(1:1.85)のようだった。 気になった予告は、実写版の香港映画「頭文字D」。「狼たちの鎮魂歌」はビデオ予告で酷い画質。でも前売りはないというので見るのは止め。韓国のSF映画「ナチュラル・シティ」は「ブレード・ランナー」のような印象。でも監督があのガッカリの「ユリョン」の人だからなあ……。「マイ・ファーザー」はただの親子の断絶物語かと思っていたら、WWII中にナチスの“死の天使”と恐れられアウシュビッツで人体実験を繰り返した医師ヨゼフ・メンゲレとその息子の話だった。これは見る価値があるかも。上映劇場はちょっと問題だけど。 |