日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ(OTTO)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米PG-13指定)
前回の事件で息子のエイダン(デイヴィッド・ドーフマン)を連れてオレゴン州の小さな海辺の町アストリアへ越してきたレイチェル(ナオミ・ワッツ)は、小さな新聞社アストリア日報に務めていた。そんなある日、ハイティーンの少年が絶叫を顔に貼り付けて絶命するという事件が起き、前回の事件との共通するものを感じたレイチェルは、事故現場に侵入し問題のテープを回収、焼却してしまうが、その翌日、エイダンが絶叫とともに目覚め体調の不良を訴える。 |
アメリカのオリジナル・ストリーリーによる続編。しかしIMDbではわずかに5.1点。そこで第3作は予算を縮小して製作されることになったという。それても3作目が作られるのだからスゴイ。 もちろん怖い。怖いがホラーというよりも親子愛をメインにした謎解き。良くできたミステリーを見ている感じに近い。たまたま相手が心霊現象だというだけで、サスペンスもあるし、快刀乱麻を断つような心地よさがある。ただ、それだけにホラー色が薄い分(それでも結構怖いが)、遊園地的な怖さやビックリを期待するアメリカの観客には受けなかったのかも知れない。映画としての完成度はかなり高いと思う。 もともと原作の小説「リング」は、おそらく文字で書かれた最も怖いものの部類に入ると思うが、メインの流れというのは不可思議現象の謎、根源を探っていくミステリーだったのではないだろうか。それが映画化され、謎解きよりもアトラクション的おどしや心霊現象の方にばかりスポットが当たり話題となったために、別物ができ上がってしまった。映画とはそういうものかもしれないが、ハリウッド版の「2」ではそれを原点にもどしたと。で、あまりアメリカでは受けなかったと。ボクはこの方が面白いと思うけど。 だいたい「リング」の映像化は高橋克典主演のTV版がいちばん原作に近い。原作を読んだ直後くらいに見たので、めちゃくちゃ怖かった。でもストーリーの面白さに引かれて目を背けることができない、そういうすごさがあった。映画はただ怖いだけ。しかしTV版でも(というか放送コードのあるTV版だからこそ)「二形」(ふたなり、両性具有)という問題を描くことはできなかったが。映画ではそれに切り込むのかと思ったら、女性を主人公にして別な話にってしまった。つまり貞子の真の悲しみの部分には触れていないのだ。祟ることになった恨みの深さは、いずれも原作に及ばない。 以前も描いたが中田秀男監督はデビュー作の「女優霊」(1996)がめちゃくちゃ怖かった。ただ尻切れトンボで、結末がなかったけれど。「ガラスの脳」(1999)もラストのキャラクターの壊れ方なんか日本映画としてはなかなかおもしろかったと思う。なんでもタイ映画のホラーというかミステリーの「the EYE【アイ】」(The Eye・2001・英/香/タイ/シンガポール)をリメイクするらしい。たしかトム・クルーズがリメイク件を獲得してプロデューサーに名を連ねている。すでにプリ・プロダクションには入ったらしい。すごいなあ。 あいかわらずというか、以前にも増して、主演のナオミ・ワッツはきれいで、またきれいに撮られている。その魅力を存分に引き出しているだろう。撮影監督というより中田監督が意識して撮ろうとしているのだと思う。 息子を演じるデイヴィッド・ドーフマンは前作に引き続いての出演で、前作の時が9歳、今回12歳。インタビューなどを見ていると、かなりしっかりした子らしい。メイクもあるのだろうが、目の下に隈がある感じで、それだけで怖い。この子が出てくると何か起きそうだ。他の作品ではどんな感じなのだろう。ちょっと気になる。「テキサス・チェーンソー」(The Texas)に出てているらしいが、こどもなんていたっけ? 今回のサプライズは、サマラの本当の生みの親、エヴリンを演じるアカテデミー賞女優シシー・スペイセク。あの絶叫映画「キャリー」(Carrie・1976・米)で主役を演じて絶叫していた人。今回は精神病院にいて、髪振り乱したそのようすはまさに鬼気迫るものがある。それだけで怖いもの。 残念だったのは幼児虐待を疑う医師を演じたエリザベス・パーキンス。トム・ハンクが大人子供になる「ビッグ」で心優しい美女ぶりを発揮して注目を浴びた人。「キャッツ&ドッグス」(Cats & Dogs・2001・米)では優しい母親役を演じていた。「34丁目の奇蹟」(Miracle on 34th Street・1994・米)だってよかったし。この人も美しい金髪で、ひょっとして中田監督はヒッチコックのように金髪好き? でも、エリザベス・パーキンスはとても美人なのでいやがおうにも目立って存在感があるのに、あっさりやられて騒ぎにもならない。おいおい、ここまでの人を出しておいて、その扱いはないだろう。 ちなみに特殊メイクは、あの巨匠、リック・ベイカー。どのメイクも派手さはないがかなり怖い。 前日座席予約をしたので、公開2日目の2回目、余裕で15分前くらいに劇場に着いたら、すでに開場済み。なんと入れ替え時間が30分取られているので、余裕があるのだ。素晴らしい。ひどいところは15分しかなく、ドリンクなんかのんびり選んでいられない、下手をするとトイレも行ってこれない(特に女性は)からなあ。天と地ほどの差がある。 場内はカーテンがしまっており、左右にあく方式。ただ場内が廊下より暑かった。これはいかん。 最終的に全席指定の400席に何とたったの30人くらい。まだ公開2日目だぞ。こりゃ途中で打ち切りになるかも。1/3がオヤジで、2/3が高年齢車。女性は1/4からせいぜい1/3。下は中学生くらいもいたが1人のみ。 特に印象に残った予告編はないが、新しい劇場はスクリーンが驚くほど明るい。音響効果も抜群でしかもクリア。同じお金を払って見るなら、その価値のある劇場で見るべし。 |