日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(Techno Vision)/ドルビーデジタル、dts(IMDbではSDDSも)
(仏-12指定、米R指定)
ダニー(ジェット・リー)は幼い頃に取り立て屋のボス、バート(ボブ・ホスキンス)に拾われ、取り立てのための用心棒のような“狂犬”として、首輪を付けられ檻に入れられて、まさに犬のように育てられてきた。そんなある日、ボスと乗っていた車が襲撃され、ダニーは命からがら逃げ延び、盲目のピアノ調律師サム(モーガン・フリーマン)に助けられる。やがてサムは世間のことを何も知らないダニーに、買い物の仕方など色んなことを教えていくのだった。 |
「ジャンヌ・ダルク」(The Messenger・1999・仏/米)以後、「トランスポーター」(The Transporter・2002・米/仏)以外あまりパッとしなかったリュック・ベッソンが関わった映画で、久々に面白かった。ちょっと涙が……。 ジェット・リーがこんな微妙な、繊細な演技ができるとは意外だった。感情のないただの道具として育てられた男が、人の優しさや家庭の暖かさに触れ人間らしさを取り戻していく過程がいい。そしてサムの娘のヴィクトリア(ケリー・コンドン)との淡い恋心のようなものがまたいい味を加えている。アイスクリームのエピソードなどちょっとわざとらしいが、ちゃんと後でギャグとして使っており、悪くない。それに、こういった情緒的なものがないと、暴力シーンが生きてこない。首輪の使い方もうまい。 その格闘シーンの振り付け(殺陣)をしたのが、「マトリックス」シリーズのあのユエン・ウーピン。やっぱりうまい。本当にパンチやキックが当たっているように見える。いかにもいたそう。それにまさかりのような武器を使った時の怖さは別格 。よくこんな危険な振り付けができたものだと思う。もちろん重力に逆らったワイヤー・アクションも使われているが、比較的控えめで受け入れられる範囲。 ジェット・リーもいいのだが、やっぱり何といってもモーガン・フリーマンがいい。演技力ということになるのだと思うが、とにかく理想的な父、慈父という雰囲気がモーガン・フリーマンにはあり、それが本作ではピッタリはまっている。いい役者だなあ。ピアノを教えるシーンも良いが、スーパーで買い物を教えるところや料理を教えるシーンなど実に良い雰囲気。サムを盲目という設定にしてはどうかと提案したのはモーガン・フリーマン自身だったという。 またボブ・ホスキンスの嫌らしさがいい。本当に悪く見える。漫画と実写の合成の「ロジャー・ラビット」(Who framed Roger Rabbit・1988・米)が強烈な印象だったので、ついついコメディアン的に見てしまいがちだが、公式サイトのプロダクション・ノートによれば、実際には昔イギリスのギャングやロンドンのイースト・エンド地区の下町のコックニーと交流がせあったという。そう言えば「スターリングラード」(Enemy at the Gates・2000・米/独ほか)でも怖かったもんなあ。ホスキンス自身はほとんど暴力を使わないが、精神的な暴力はものすごい。これも公式サイトのプロダクション・ノートで触れられている。後半彼が使う銃はフルオート射撃が可能なグロックで、本来ならG18なのだろうが形はG34のような感じ。スライド上面に大きなポートがあった。カスタムだろうか。 フランスが主体(ユーロパ)で作っていながら、セリフはすべて英語でアメリカ映画のようだが、町の雰囲気が全く違う。空もなんだかどんよりしていることが多い。で、町の名前を注意して聞いていたらグラスゴーといっていた。これはスコットランド最大の都市で、文化や芸術の中心地とも言われているらしい。だからサムが娘のヴイクトリアにピアノの教育を受けさせるためにアメリカからやってきていても無理がない設定になっている。でも治安はこんなに悪いのか? ボスのバートとダニーが襲撃される時使われる銃は、たぶんSIG SG 552コマンド(550シリーズの一番短いタイプ)。このへんがとてもヨーロッパらしい。 他にバートの部下が持っている2挺拳銃はベレッタ系のロング・スライドに見えた。M92のスライドを延長したものか、それともM8000クーガーのスライドを延長したものか。 公開初日の初回、銀座の劇場は65分前で下のボックス・オフィスに4人の待ち列。60分前に案内があり、間もなく窓口が開いた。完全入れ替え制のため前売り券を持っていても当日券との交換が必要なのだ。エレベーターで上にあがり、階段に再び並ぶ。 50分前に開場となり、この時点で30人くらい。アクションものだというのに8割くらいが女性。しかもオバサンが多い。どうなっているんだろう。10人くらいのグループで来ているオバサン軍団までいた。いや、ぺちゃくちゃ必要以上の大声でうるさいこと。なぜ、いちいち自分の行動をクチにするんだろう。誰にということなくしゃべっている。 初回は10席×3列のレディース・シート以外、全席自由でカバーのかかった10席×3列とその後ろの10席×1列のぴあ席も自由。それにしても、やはり早く開くとついコーヒーを買ってしまう。いかんなあ。節約しようと思っているのに。 30分くらい前で60人くらい。8割ほどは中高年で、白髪がけっこう目立っていた。オバサンがかたまって20人くらいいたが、男女比はほぼ半々。夫婦50割引を使っている人が多いのか。モーガン・フリーマンのおかげか。 15分くらい前から劇場案内の上映が始まり、最終的に540席の7割くらいが埋まった。男女比は4対6くらいでやや女性が多く、7割くらいが中高年。 「シンデレラマン」の予告が始まったが、ホテルマンへ電話を投げつけて主演のラッセル・クローが逮捕されたので、まったく説得力なし。 関係者らしい人々もいたが、ロビーにいたり、入ってきても後ろの壁際にしかいなかったのであまり気にならなかった。ただ人数は多すぎると思う。2〜3人で充分だって。 |