2005年6月26日(日)「オープン・ウォーター」

OPEN WATER・2003・米・1時間19分

日本語字幕:手書き書体下、野崎文子/ビスタ・サイズ(Sony DSR-PD150、フィルム上映)/ドルビーデジタル(IMDbではdts、SDDSも)

(米R指定)

http://www.openwater-movie.jp/
(全国劇場案内もあり。重くて遅い。音に注意)

いつも仕事で忙しいダニエル(ダニエル・トラヴィス)とスーザン(ブランチャード・ライアン)の夫妻は、やっとそろって休暇を取ってカリブ海にダイビングに向かう。予約をしたダイビング・ボートはほぼ満員で、水深18mの沖へ出ると35分の約束で客を送り出す。ところが、集合時間ぎりぎりまで潜っていたダニエルトとスーザンが水面へ上がってくると、すでにボートの姿はなく彼らをおいて帰ってしまった後だった。岸は見えず、塩によって2人は流され、やがてサメが現れる……。

60点

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 ソニーのプロ用DVカムで撮影した(アメリカとしては)超低予算映画。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」と比較されることもあるようだが、IMDbでは6.0と普通の評価。実話とは言えこういう結末ならば、果たして作る必要のあった作品なのか、ちょっと理解に苦しむ。つまりタイビングではちゃんとした業者に頼まないと、飛んでもない目に遭うぞとそういうことを言いたかったのか。

 いみじくも映画の中で主人公達が言っているように「一生の自慢話」になったのなら語る価値はあるだろうし、耳を貸す価値もあるだろう。しかし、この結末では前述のような教訓以外、得るところがないし、感動もないし、貴重な時間を費やして見る価値もないのではないだろうか。さすが「ブレア・ウィッチ……」と比較されるだけのことはある。

 そして怖いかというと……微妙。どちらかいというと音楽と音で不安を煽るだけで、むしろ腹が立ってくる。本当にすぐ近くにサメがいるように見えるのはスゴイと思うが、それ以上がない。

 さらに2人が海に置き去りになったあとは、ほとんど画面に変化もなく、新しいこともほとんど起こらないから、見る方は飽きてくる。かなり退屈。あくびが何回も出た。うーん、つらい。

 これだったら2時間23分もあって退屈だったトム・ハンクスの「キャスト・アウェイ」(Cast Away・2000・米)の方が、ロバート・ゼメキス監督だけに、また実話ではないだけに、そして陸地があるだけに、いろいろな事件が起きて登場人物が1人でも単調にならないように工夫が凝らされている。

 一方、こちらはわずか1時間19分なのに長い。移動しても、多少状況が変っても、海の真ん中なので絵に変化が無いのだ。潮に流されているとか言っても見た目では何も変化ないし。

 それにしても、ダイビングの業者はアバウト過ぎ。名簿で照らし合わせることもせず、適当に目で数えて総人数をノートに書き、上がってきた人の数を書いて合わせるだけ。途中から潜る人もいるし、もう一度潜る人もいるのに、あんな簡単なチェックじゃ絶対にお客を把握することなんかできるわけがない。それでも混んでいるから業者はいい加減でも商売ができる状況なのだ。確かにこのことは映画からよく伝わってきた。

 ただ、よくわからないのは、ダイビングに出かける前にホテルでラブ・シーンがあるのだが、いくら夫婦愛を描くためとは言え、わずか1時間19分しかない映画であんなに長いラブ・シーンは不要だろう。バランスが悪い。しかも女優を全裸にする必要なんてまったくなかったはずだ。監督が映画に関係なく撮りたかっただけじゃないか?

 撮影はデジタル・ビデオで、そこから上映用のフィルム・プリントを起こしているわけだが、ここでかなり画質をロスしているようだ。ビデオ上映ならもっといい画質で見られたことは間違いない。もともとPD150は画質が良いので、もっといい上映フィルムが作れるはず。アメリカはHDビデオからフィルム起こしするシステムならいくらでも良いものがあるのだろうが、普通のビデオからフィルム起こしをするシステムは充実していないのかもしれない。あるいは、ここでも予算を節約したのか。とにかく画質は良くない。ベタッといろがつぶれてしまっているところがあるし、ジャギーも目立ち過ぎ。

 たぶんアメリカだったら、劇場公開を前提としているんだったらフィルムで始めから撮った方が安上がりなのではないだろうか。まあ、そこまでの予算も無かったということかもしれないが。撮影も監督自身が務めているし。

 公開2日目の初回、劇場のあるビルが開くまで中に入れないので、30分前に到着。オープンと同時に20〜30代くらいの男性3人とオヤジ2人が劇場へ。劇場も空いていて、1つのインターネット予約席以外、全席自由。このインターネット予約席、なかなか問題があって、位置を指定できないので当日来てから一般席へ移動する人が多く(満席になるような作品では別だが)、ほとんど意味なし。しかもインターネット予約するとペナルティを科せられるのか、初日プレゼントなどがあってももらえないことになっている。いったいどんなサービスなんだろう。今回も1席あったが、やってき女性は座りもしないで他の席に移っていた。

 最終的に227席に30人くらいの入り。がっかり映画「ブレアウィッチ」の名前などを出したからではないだろうか。もっともこの画質とこの内容ではしようがないとも思うが。2/3は若い人達で、女性は1/3ほど。中高年も1/3ほどしかいなかった。初回のみ予告なしでの上映。


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