日本語字幕:手書き書体下、林 完治/ビスタ・サイズ(Arriflex 535)/ドルビーデジタル
(米R指定、日R-15指定)
フリーランスのプログラマー、サイモン(ジェレミー・シスト)は自宅のアパートで依託された仕事の締め切りに追われていた。そんなある日、鍵がかかった部屋の中に宛先のない小包が置かれているのを見つける。開けて見ると箱は空だった。それが何回か続き、やがてアパートの住人が謎の変死を遂げる。警察が捜査を始めるが、大家、隣室の男……と次々に不可解な死を遂げていく。やがてサイモンも体調を崩し、誌が迫ってきたことを知るが。 |
うーん、難解……というよりあまりわかってもらおうという努力をしていない。サンダンス・フィルム・フェスティバルで絶賛されたと宣伝しているが、その割にIMDbでは6.0という凡庸な得点。しかも何が起きているのか、最後の最後まで分からないので、主人公に感情移入しにくく、観客はほとんど蚊帳の外。主人公の焦りや恐怖があまり伝わってこないから、最後まで冷静に見てしまう。 しかも日本版はチラシや前売り券のキャッチ・コピーに謎の答えが堂々と書かれているので、謎が明かされた時のショックも無い。なぜ、こんなことをするのだろう。タイトルに答えを入れてしまった「乙女座殺人事件」(January Man・1989・米)と同じではないか。アメリカ版のキャッチは「Are you infected ?(あなたは感染していますか?)」だ。 しかし本当に説明不足。説明しなくても、すべての材料を見せて判断はお任せしますというのとは分けが違う。もともとジグソー・パズルのピースが足りないのだ。全部組み合わせてもわからないところがある。 まあ、タイトル自身が答えの1つなのだが、見る前からコンピュータ・ウィルスだの何だのと聞かせられて、バージョンVer.1.0かとわかってしまって……まあ、それだからどうドラマを組み立てるのか興味があって見ることにしたわけだが。 雰囲気はカフカ的な不条理世界にはなっているのかもしれない。映画で言えば「裸のランチ」(Nakid Lunch・1991・米/加)よりは「KAFUKA/迷宮の悪夢」(KAFUKA・1991・米)に近いか。行き詰まった感じは「マシニスト」(El Maquinista・2004・西)っぽい。アパートの雰囲気は「テッセラクト」(The Tesseract・2003・日/タイ/英)か。まっ、ようするに何かの映画に似ていると。オリジナリティはあまり感じられない。 監督はこれがデビュー作というジェフ・レンフローとマーテン・トーソンの2人。脚本も二人で書いている。うまいのか普通なのか、これだけではよくわからない。 ただ、出演者は多彩だ。主演は「クライモリ」(Wrong Turn・2003・米/独)や「Uボート最後の決断」(In Enemy Hands・2004・米)に、さえない感じの青年役で出ていたジェレミー・シスト。本作でもさえない感じを発揮している。 隣室の住人が「ダンジョン・アンド・ドラゴン」(Dungeons & Dragons・2000・米)「ハイランダー/最終戦士」(Highlander : Endgame・2000・米)の不気味な悪役、ブルース・ペイン。向かいの住人は出ているだけで怖い「悪魔のはらわた」(Fresh for Frankenstein・1973・伊/仏)のウド・キア。そして近所の色っぽい看護婦が「ゲーム」(The Game・1997・米)のデボラ・カーラ・アンガー。アパートの修理人が、なんと「エイリアン2」(Aliens・1986・米)のアンドロイド、ランス・ヘンリクセン。豪華というか贅沢というか。 15分前に付いたら、通常上映が終わってからの入場で、受付でチケットに受付番号を押された。番号順の入場になるという。しかし日本人というのはばか正直なのか、15人くらいしか待っていないのに、ちゃんと番号順で入場させる。221席もあるのだから一斉に入場したってほとんど変わらない。最初に入った5人くらい以外、ほとんどの人は番号が呼ばれてもすぐには入らなかったようだ。ボクもチラシなどを見ながら後から入った。混んでいたらもちろんすぐに入ったのだが。 指定席はなし。女性が5人ほどで、オバサン1人。オヤジが3人いた他は若い男性。最前列の中央に若い男性の外人さんが1人。最終的には25人ほどに。 スクリーンがたいして明るい劇場ではないのに、場内灯をつけたまま予告が始まりよく見えない。1本目の予告が終わってから場内が暗くなりやっとよく見えるようになった。「ライトニング・イン・ア・ボトル」の予告はビデオか。画質が良くない。というか汚い。「兜王ビートル」はなんだか「ゼブラーマン」のような印象だがプロレス映画らしい。なんとあの懐かしの人間風車ビル・ロビンソンが、すっかりおじいさんになって登場。びっくりした。 期待は傑作「CUBE」の監督、ヴィンチェンゾ・ナタリが作ったという「NOTHING」。何もない真っ白な場所に主人公達2人がいるアパートがあるという設定。さて、これは面白いのか。気にはなる。 |